目次5、「モンマルトルの丘(魔性の女)」 | カメラマン 兼 作家の備忘録

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あの頃まだJekyllから時々Hydeだった、だが今ではもうすっかりハイド時々ジキルなのだ。

 

 六本木のスクールで「私がここの総責任者よ」という、ちょっと高飛車で高慢な女。

 

人は何に一番興奮するか・・・

 

それは「普段何気なく見ている近いもの」

 

と、映画『羊たちの沈黙』でレクター博士が言っていたように

俺も社長夫人であり、真っ赤なレクサスを転がす本物のセレブ妻を

しょっちゅう目にするうちに、一番気になる存在となっていた。

 

 

 

フランス土産のスノーグローブを手に取った彼女は、揺らしながら水の中でキラキラ

光るスパンコールや雪に見立てた白いものがエッフェル塔に降り注ぐ様を見て

「うわぁ~きれい~、ありがとう」と言った。

 

俺はエッフェル塔ではなく、彼女のモンマルトルの丘に雪を降らせた。

 

 

 

 

 

待望の第2弾「続・Hyde時々Jekyll」9月1日文芸社より発売


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