ネットの記事で、芸能人が、元奥さんに勝手に離婚届を出されたという話をしていたというのをみました。
ネタとして話していたようですが、弁護士としてはちょっとドキッとしました。
というのは、勝手に離婚届を出すと、電磁的公正証書原本不実記録罪と不実記録電磁的公正証書原本供用罪に該当するからです。
刑法157条1項は、
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
と規定しています。
離婚届は、双方が離婚の意思があるということで提出するものなので、片方が離婚する意思がないと、虚偽の申立ということになるのです。
また、刑法158条1項は
第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
と規定しています。
離婚届が出されて、その記録がサーバーに入れば、原本としての用に供したということになるのです。
「五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」は、決して軽いものではありません。
今回の事案は、離婚届は、本人(勝手に出されてしまった側)が喧嘩したときに書いていたということでした。
しかし、離婚届を書いたことがあるからといって、出した時点で離婚する意思がないのであれば、虚偽の申立ということになり、犯罪になるのです。
その意味で、笑い話のように言ってるけど、大丈夫かな思ったところです。
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