「タレントの堀ちえみさん(54)のブログに中傷する書き込みを繰り返したとして、警視庁人身安全関連事案総合対策本部は21日、東京都迷惑防止条例違反の疑いで、奈良市の無職の女性(45)を書類送検した。」との報道がありました。
堀ちえみさんを中傷の疑い(共同通信)
3ヶ月ほど前,「逆恨みからのしつこいメールへの対処は」というタイトルで,恋愛感情がらみではないしつこいメールの送信は,ストーカー規制法の対象ではないが,東京都迷惑防止条例違反になるという話を書きました。
https://ameblo.jp/yoshinari-myp/entry-12663409335.html
現在,ストーカー規制法においても,東京都迷惑防止条例においても,「電子メールの送信等」には,SNSでのメッセージ送信やTwitterやブログのコメント欄への書き込みも含まれます。
恋愛感情絡みでなければストーカー規制法の対象にはならないのですが,「ねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」で,拒まれたにもかかわらず連続してブログの書き込みをすれば,迷惑防止条例違反となってきます。
今回の記事によると,「書類送検容疑は昨年10月~今年5月、堀さんのブログに159回にわたって『どうか永遠の眠りについてくださいね』などと中傷する書き込みをした疑い」,「同本部によると、女性は『嫌いだった』と話しているという」ことです。
まさに,悪意の感情を充足する目的で,連続して書き込みをしたということになりそうです。
これには,1年以下の懲役または100万円以下の罰金等いう罰則もあります。
今回は「書類送検」がされたということで,まだ何らの処分が決まったりしたわけではなく,単に警察から検察に事件が送られた段階に過ぎません(ちなみに,「書類送検」という法律用語はありませんし,法曹界の人間は使いません)
ただ,他の犯罪類型にはなかなか当たらないと考えられるケースで,こうして捜査が進んでいることは,心をえぐられるような思いをしている被害者が多数いることを考えると朗報だと思います。
というのは,今回,「どうか永遠の眠りについてくださいね」などといった書き込みをしていたということですが,堀さんの病気に関連して気持を傷付けようとするもので,書いた本人が危害を加えにいくという意味合いでなければ,脅迫罪には当たらないと考えられます。
また被害者が傷ついて精神疾患になるようなことがあれば傷害罪になりますが,これは未遂の処罰がないため,そこまで至っていなければ(そこまで至ってないことが幸いなのですが),傷害罪にもなりません。
また,名誉毀損罪や侮辱罪は,社会的評価を低下させる行為をするものなので,少なくともこの書き込みで,堀ちえみさんの社会的評価が低下するとはいえなそうで,これらにも当たらないように思われます。
そういった意味で,脅迫罪,名誉毀損罪等で被害を申告してもなかなか難しいというところで,迷惑防止条例違反で被害を申告したのではないかと推察されます(警察側のイニシアチブかもしれませんが)
言葉に対する取り締まりは,一歩間違えれば,表現の自由を侵害する可能性もあり,慎重でなければならない面もあります。
実際,東京都迷惑防止条例にも,「本条の規定の適用に当たつては、都民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない」とあります。
他方で,実際に傷ついた人の相談を受けた経験からも,むやみに人を傷つけるような言葉が野放しにされてはならないと思います。
私としては,誹謗中傷に対して,もっと強い制裁で望むくらいがよいように思えるところです。
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