共感の功罪と同情力の可能性 | 弁護士吉成安友のブログ

弁護士吉成安友のブログ

荒川区西日暮里に事務所を構える弁護士。
大分県豊後高田市の若宮八幡神社の宮司を900年務める家に生まれ,神職資格を持つ。
Rockな魂と仕事への情熱であらゆる分野で最強を目指し日々研鑽しています!

 大谷選手の活躍はすごいですね。

 私はどちらかと打者がいいんじゃないか派ですし(粗悪なボールの時代にあれだけホームランを打ったベーブルースに唯一匹敵しうるくらいの人じゃないかと思ってます),ピッチャーとしてはほとんど1年のブランクもあったともいえるくらいなので,心配もあったんですが,既に4勝という予想以上の好成績!

 そして,現地で大谷選手が絶賛されている報道等をみると,自分が褒められているなような気分になります。

 さて,現在私が紙ベースで定期購読している唯一の雑誌「日経サイエンス」の6月号に「共感の功罪」という記事がありました。
 
 共感とは,他者の感情を共有する能力です。

 アダムスミスは,これを,他者に起きていることをそれが自分にも同じように起きていると感じていることとして,「同胞感情」と呼んだそうです。

 私が大谷が賞賛されているのを自分が褒められているように感じるのも,そういったものだといえそうです。

 共感は,人と親密な関係を築く上では極めて重要といえます。

 共感があるからこそ,苦しんでいる人を助けようとモチベーションにもなります。

 このように,共感は一般に「功」の面が強調されますが,この記事では「罪」の面にも焦点を当てています。

 一つは,苦痛を感じている人に共感すると,共感そのものが苦痛になるということです。

 例えば,大谷選手に感情移入をしていると,好調なときは心地よい反面,もしスランプに陥ったりすると,苦痛を感じることになると思います。

 この記事では,他者の苦痛にさらされる医師の自殺率が高いことも指摘されています。

 もう一つの問題は,共感に偏りがあること。

 すなわち,共感が,親しい人,同じ集団内の人などに偏ることです。

 元々共感が発達したのは,家族や緊密な集団における関係を強固にするためであるため,そういった意味で所属意識が強い人の共感は,他の集団の人には発揮されない。

 むしろ,自分の集団への所属意識や愛着が強いと,かえって競合する集団への意地悪さを助長することもあるとのこと。

 例えば,サッカーでは,熱烈なサポーターによる相手方サポータへの襲撃事件などがニュースになったりしますね。

 そういわけで,共感には功罪があるわけです。

 この記事では,その解決策として,同情力を養うトレーニングをすること,すなわち,通常は親しい人に対して持つ思いやりの気持を他の人にも広げるトレーニングの可能性が指摘されています。

 元々の記事が英語なので,日本語訳にしたときに,共感と同情という言葉の区別は日本語的につきにくいのように思われますが,ここでいう同情は,自ら感情的に同じにならずに,一方で困っている人を助けようという感情のことといえそうです。

 このトレーニングを受けると,苦しむ他者の目の当たりした場合でも前向きな感情を持つことが多くなるそうです。

 共感の偏りと,共感による苦痛の問題を解決できる可能性が示唆されているわけです。

 考えてみると,私も,弁護士として,他者の苦痛にさらされているといえます。

 しかし,私は,弁護士になってほとんど苦痛を感じたことがありません。

 依頼者と共感して一緒になって泣き,怒りなどという弁護士もいると思いますが,私は,依頼者に感情を見せることがほぼないです。

 依頼者には,先生はいつも冷静でしたねといわれる。

 まあ,実際には結構熱くなったりもしてるわけですが,依頼者と共感しているのとは違います。

 不当に虐げられているような人に,一緒になってその苦痛,ストレスを感じるのではなく,不当に人が虐げられるという曲がった状況を正したいという気持から,仕事に取り組むのです。

 その状況に激しく怒ったりすることもあるのですが,私自身は依頼者の苦痛を自分のこととして感じて同じようにストレスを感じているわけではなく,語弊があるかもしれませんが常に仕事を楽しんでいます。

 共感ではない感情,それが前述の記事の同情力と同じものなのか別のものなのかは分かっていませんが,とにかく自分がそれをすることに充実感を感じるところをやっている,そして楽しいと感じているからこそ力が発揮できると思っています。

 もちろん,この辺りあうあわないがあるところだと思いますが・・・

 えっ,お前,なんかえらそうなこといっているけど,大谷選手に共感してるんじゃなかったんだっけって?(笑)

 私,プライベートと仕事でかなりモードが違うというか,ほぼ別人です(笑)




にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ にほんブログ村

↑↑↑ブログランキングでの「弁護士吉成のブログ」の順位のチェックはこちら!!

人気ブログランキングへ

↑↑↑こちらも!!


吉成安友著「くたびれない離婚」ワニブックスより好評発売中!


法律問題、企業顧問なら、MYパートナーズ法律事務所にお任せ下さい!!↓↓↓

MYパートナーズ法律事務所HP


弁護士吉成安友の企業法務ブログ
弁護士吉成安友の離婚ブログ