とはいえ,今回も,少し緩くなったときにペースダウンしたら,あっと言う間に日が過ぎて大変な状況になったので,油断大敵です。
さて,「カルテ開示の際、病院側が患者に請求するコピー代や手数料、開示の条件について、厚生労働省が全国の主要な病院を対象に実態調査を始めたことが分かった。カルテ開示の手数料を巡っては、市民団体が5000円以上の請求をしている病院があるとして、個人情報保護法の規定に反すると指摘していた。」とのことです。
<カルテ手数料>厚労省が調査 高額徴収に批判(毎日新聞)
厚労省は,「診療情報の提供等に関する指針」というものを出しています。
これは,平成15年に最初に出されたんですが,最初は費用について「医療機関の管理者は、申立人から、診療録の開示に要する費用を徴収することができる。」とだけ記載されていました。
これが平成22年に改正され,次の一文が加えられています。
その費用は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内の額としなければならない。
高額請求に対する問題意識によるもので,この問題意識は,今に始まったことではないわけです。
ところで,日本医師会も,「診療情報の提供に関する指針 第2版」というものを出しています。
この3-6は,
医療施設の管理者は、診療記録等の謄写に要した代金等の実費を、診療記録等の開示を求めた者に請求することができる。
としています。
そして,この指針には「指針の実施にあたって留意すべき点」というものが付されているんですが,これには,3-6に関して次のような記載があります。
1 実費負担について
この項は、診療記録等の閲覧、謄写などに要した代金の実費を、請求することができる旨を定めるものである。例えば、エックス線写真等の謄写に要する費用は、当然、患者など請求者の負担となる。記録の量が膨大な場合には、施設内で謄写をするために長時間、職員等を謄写業務に専念させる必要が生ずる。その場合の人件費を謄写費用のほかに加算できるかという問題があるが、合理的な範囲であれば許される。
2 診療情報提供の対価について
この指針では、診療情報提供の対価についての定めがない。これは、むしろ診療報酬体系の中で決める方が、妥当であると考えるからである。したがって、指針に定めがないことは、診療情報提供に対する報酬請求権を否定することを意味するものではない。
医師会の方の指針は,平成14年から改正されていないので,ちょっと曖昧な要素が残っています。
ちなみに,昨年,私も代理人として病院に開示請求をした際,6枚のコピーをとってもらうだけで,5000円を払えと言ってきた病院がありました。
わずか6枚,そして,あらたに何か作ったり考えたりする要素はなく,診療録の一定期間のものをそのままコピーして渡すだけなので,ものの1分もあれば終わる話です。
なんで5000円もかかるんですかと聞いたら,少し考えて,手間賃・・・1万円じゃあ高いと思うからなどとテキトーことを言ってきて・・・
そもそもここは開示請求が不満のようで,終始けんか腰で対応されており,さすがに私もカチンときました。
前記記事にもありましたが,高額な手数料は開示請求の権利を制限することになりかねないと思いますので,厚労省だけでなく医師会も積極的に取り組んで欲しいところだと思います。
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