虚偽の陳述とは? | 弁護士吉成安友のブログ

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荒川区西日暮里に事務所を構える弁護士。
大分県豊後高田市の若宮八幡神社の宮司を900年務める家に生まれ,神職資格を持つ。
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 先日もネタの端緒にした某大臣の某学園の件,訴訟に関与していない旨の答弁をしていたものの,実際,訴訟の第一回口頭弁論に出ていた証拠があったようです。


 で,虚偽答弁じゃないかと言われ,記憶に基づいて答弁したから,虚偽の答弁ではないと。


 これは,弁護士資格ある人らしい発言だなあと。


 国会での答弁とは関係ないんですが,刑法の偽証罪は次のような規定になっています。


法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。


 ここで,虚偽の陳述とは何か?という問題がでてきます。


 そして,判例通説は,記憶に反する陳述をすることとしています。


 これは,主観説と呼ばれます。


 真実に反していても,記憶に合致していれば偽証ではないわけです。


 一方,客観説というものもあります。


 これは,真実に反する陳述を偽証とするものです。


 これだと,記憶に合致していても,真実に反していれば偽証ということになります。


 とはいえ,判例通説が主観説である以上,法律家としては,記憶に合致していることを述べている限りは,虚偽を言っているわけではないという発想,発言になってくるわけです。


 さて,こういうと,なんか主観説の方が緩いという印象になるかもしれません。

 しかし,実際のところ,偽証罪においては,客観説の方が処罰される範囲が狭いのです。


 というのは,客観説によっても,記憶に従って話している場合,通常は真実と思って陳述しているといえるので,処罰されません。


 真実に反することを陳述するのは偽証行為には当たるのですが,本人がそれが真実だと思っている以上,偽証の故意がない。


 それで,客観説でも,結果として処罰されないのです。


 厳密には,記憶通りではあるが,真実ではないと思って話した場合は,処罰される余地がありますが,記憶通りだが真実ではないと思うなんてことはほとんど考えられない事態だと思います。


 一方で,主観説では,記憶に反することを述べた場合,思い違いをしていて,話した内容が真実だったとしても,処罰されます。


 結果として本当のことを言ってたとしても,記憶に違うことを言ったら偽証なのです。


 嘘から出たまことも処罰するのが主観説!

 

 

 これに対し,客観説では,嘘だと思って話した場合でも,実際には話した内容が真実に合致していた場合は,偽証行為に当たらず,処罰されません。


 そんなわけで,主観説の方が処罰される範囲が広くなるわけです。


 
 

 

 


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