今回の論文は

 

“近代医療と「補完代替医療」の距離 : 石垣島で勤務する医師のインタビューを通じて”

 

というタイトルです。

 

 

八重山諸島には

“ユタ”というシャーマンがいて

病気になった時にユタに相談に行く、という

習慣があるそうです。

 

 

論文の内容ですが

ユタの存在とユタと患者さんの関わりについて

医師はどのように受け止めているかを

インタビューしたものです。

 

概要としては

・患者側は医師とユタとを

それぞれに必要としており

適宜、病院に行くか、ユタに行くか

自身で選択している。

 

・医師の側は

「推奨はしないが、否定はしない」というスタンスを取っており

医学的に重要な場面でない限りは

ユタに行くことについて特に止めたりしていない。

 

・医師とユタとは

お互いの専門性を共有する手段に乏しく

接触することはあまりない

 

 

 

ディスカッションの中で、

ユタを鍼灸師に置き換えて考えてみると

重なるところが多いという意見がありました。

 

「確かに」と思う一方、

世界的に鍼灸の研究が進む中で

鍼灸治療がどのような作用を及ぼすのか

科学的に理解されてきていることや

 

医師が東洋医学を学び、漢方薬を活用していることもあり

鍼灸師はユタほど現代医学と乖離していないと考えています。

 

 

将来的に現代医学の選択肢の一つとして

鍼灸治療が組み込まれていることが

自然なことになればいいな、と願っています。

 

 

 

ユタについても

祈祷が身体(特に脳)にどのような影響を及ぼすのか、

どのような状況だと効果的なのか、

といったことが分かってくると

また見方が変わるのかな、と考えています。

 

 

大事なことは

「何が患者さんにとって良い事なのか」だと思います。

患者さんの利益が最大化されるのならば

様々な選択肢があることは悪い事ではないと

個人的に考えています。