令和3年12月に抄読会をおこないました。
今回は
Percutaneous tibial nerve stimulation versus sham electrical stimulation for the treatment of
faecal incontinence in adults (CONFIDeNT): a double-blind, multicentre, pragmatic,
parallel-group, randomised controlled trial
-成人の便失禁の治療のための経皮的脛骨神経刺激対偽の電気刺激-
という論文です。
ちょっとタイトル長いですね、、
内容ですが
食事療法や骨盤底筋トレーニングで
効果が乏しかった便失禁のある成人を対象に
鍼治療群と偽鍼群に分けて治療をおこない
効果を比べた論文です。
鍼治療群は
足の裏と足の甲に低周波治療器のパッドを付け、
内くるぶしの後ろ2cm、上5cmの場所に
鍼を2cm入れて通電する方法
偽鍼群は
パッドや鍼は同じ位置におこないますが、
鍼の深さが2mmという違いがありました。
主な評価項目として
一週間あたりの
便失禁エピソードが50%減少するか、
と設定しており
鍼治療群では38%
偽鍼群では31%
の割合で改善がみられ
両群の差はあまりありませんでした
試験終了時の1週間の平均便失禁エピソード総数では
鍼治療群は偽鍼群に比べ
有意な減少がみられたと報告されています。
一方、St Mark's Incontinence Scoreという
便失禁の重症度を評価するスコアでは
両群ともに違いはみられませんでした。
これらの結果から
上記の鍼治療は成人の便失禁に
効果的という結論は導き出せない、
と結論付けられました。
鍼治療の内容をさらに工夫してみると
良いかもしれない、と思う一方で
偽鍼群も浅いとはいえ
鍼を刺して通電していることを考えると
プラセボ群として十分であったと
言えるだろうか?
という疑問が残ります。
鍼は飲み薬と比べ
偽物(プラセボ)を作りづらいので
なかなか難しい問題ですが、
日本の先生が良いプラセボ鍼を
開発して下さったので
今後、より良いデザインの
研究が出てくることを期待しています。
引用文献:
Knowles CH, Horrocks EJ, Bremner SA, Stevens N, Norton C, O'Connell PR, Eldridge S; CONFIDeNT study group. Percutaneous tibial nerve stimulation versus sham electrical stimulation for the treatment of faecal incontinence in adults (CONFIDeNT): a double-blind, multicentre, pragmatic, parallel-group, randomised controlled trial. Lancet. 2015 Oct 24;386(10004):1640-8. doi: 10.1016/S0140-6736(15)60314-2. Epub 2015 Aug 18. PMID: 26293315.