美容鍼灸は鍼灸治療のなかでも
とりわけ関心の高い分野であり
興味を持たれていらっしゃる方も多いと思います。
今回は美顔に対し鍼灸が
どのように作用するのか書いていきたいと思います。
ヒトは皮膚の構造が
体幹部と顔面部では異なっています。
こちらで詳しく見られますが、
https://www.shiseidogroup.jp/releimg/2472-j.pdf?rt_pr=tr381
簡単に言うと
お腹の方では、表面から
表皮
↓
真皮
↓
脂肪組織
と、重なっており(これは顔も同じです)
真皮と脂肪組織は
ショートケーキの断面のように
平たくなっているのですが
顔面部では
真皮の層がサッカーの
スパイクシューズのように突起を出しており
下の脂肪組織に食い込んでいるのです。
これは船のイカリに似ているため
“アンカー構造”と呼ばれています。
このアンカー構造のおかげで
顔のハリと弾力が保たれています¹⁾
真皮にはコラーゲン繊維と弾性繊維が多く、
この2つの繊維がアンカー構造にとって
とても重要な役割を果たします。
加齢にともない
コラーゲン繊維と弾性繊維が減少し
アンカー構造が細く小さくなり
皮膚を支える力が弱くなることで
シワやたるみができてしまいます。
そして、この繊維は
傷つけられると増殖して
傷を修復する性質があります²⁾
美容鍼では
この増殖して修復する性質を
利用します。
鍼で意図的に小さい傷を
真皮につけることで
コラーゲン繊維と弾性繊維の増殖を
促します。
そしてアンカー構造を強化し
皮膚の弾力が回復するよう促していきます。
シワやたるみの改善、顔の引き締めに対し、
当院ではこうした皮膚の持つ性質を利用する、
という考えのもと治療をおこなっています。
これまでも³⁾
美容鍼灸によるシワやたるみ
自覚的な肌の状態(キメ、乾燥、くすみ)の
改善について報告されています
なお、当院では美容鍼灸の際
顔面部に使われる鍼は
長さ15mm直径0,12mmと
とても小さいサイズの鍼を使用しています。
施術前には疑問、質問にお答えし
注意点や治療間隔の説明をおこない
ご納得いただいた上で始めてまいります。
事前のご質問にもお答えしておりますので
お気軽にご連絡ください。
参考文献:
1)資生堂、世界で初めて顔の形状を支える肌構造を解明 顔のたるみの引き金は「アンカー構造」の消失:2015-8
2)Aust MC, Reimers K, Kaplan HM, Stahl F, Repenning C, Scheper T, Jahn S, Schwaiger N, Ipaktchi R, Redeker J, Altintas MA, Vogt PM. Percutaneous collagen induction-regeneration in place of cicatrisation? J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2011 Jan;64(1):97-107.
3)美容鍼灸:北川 毅, 高野 道代, 王財 源:全日本鍼灸学会雑誌2011 年 61 巻 1 号 p. 37-50