ぎっくり尻の患者さん(3)

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前回書きました大腰筋という筋肉ですが

 

身体を前に倒す、横に倒す、ももを上げる

といった時などに働きます1)

 

イラストで大腰筋を見てみると(青い部分)

       (ヒューマンアナトミーアトラスより)

 

腰から内モモまで伸びる長い筋肉ということがわかります

 

 

これがイスから立ち上がろうとした時に

スムーズに伸びる準備ができておらず

それ以上動かないよう強く収縮しロックされたような状態になり、

その収縮が大腰筋を貫く上臀神経を圧迫して痛みをおこし、

腰を前にも後ろにも動かせず

立ち上がった状態以外の姿勢は

大臀筋が動かないためできない

あるいは強い痛みをともなう

という状態になっているのだろうと考えました

(左側腹位で寝られるのは左半身や右の手や膝に体重を分散し

大腰筋への負荷を免れているからと思われる)

 

 

 

(やっとか、と言われそうですが)

最後に治療方法です


“あんご針灸院”の似田敦先生の

大腰筋刺鍼を採用させていただきました

(いつもお世話になっています)

 

 

左側腹位で寝ていただき

起立筋の外側で腰骨の上際から

背骨の方向へ向けて鍼を打つ方法です

 

そして、大腰筋に加え

臀部の痛みを感じているところにも

数か所ほど鍼を追加して

20分ほど時間をおいて鍼を抜きます

 

 

鍼を抜くころには

起き上がりもスムーズで、座っていても痛みはなくなっていました

身体を前後に倒す動作に若干の痛みが残るものの

“治療前に比べれば随分良い”とのことで治療を終えました

 

若干痛みが残るため痛みの軽減と再発予防の意味も含め

数回同様の治療をおこない終了としました

 

 

追記

ももの曲げ伸ばしができていた理由として

大腰筋は比較的長さのある筋肉で

部位ごとで働きが異なるところがあります

そのため股関節を曲げる部位には異常はなく

腰椎を前弯させる部位に限局して異常がおこったのでは、と考えています

 

 

以上がぎっくり尻で来院された患者さんの治療です

ご本人に許可をいただきブログに書かせていただきました

わかりにくいところもあるかと思いますが

“へぇ~”という感じで読んでいただければと思います

 

非常にゆっくりですが今後も色々とアップしていきますので

ご覧になっていただけたら幸いです

長々とお付き合いいただきありがとうございました

 

 

 

 

参考文献

1)福井 勉:大腰筋機能の臨床的考察.バイオメカニズム学会 誌,2000,24(3): 153-158.

 

2)荒川高光:上殿神経が大臀筋を支配する例における詳細な神経の走行について.日本理学療法学術大会 Vol. 43 Suppl. No. 2