アメリカのMemorial Sloan Kettering Cancer CenterとYale大学の研究チームで中期の直腸がん患者さん18人に対してdostarlimabという抗がん剤を用いた治験が行われました。
その結果、患者さんすべての癌が完全寛解すなわち腫瘍が消失するという結果が出ました。
すごいですねえ。
参加人数が18人と少数ではありますが、stage2または3の患者さんが選ばれているようですので、今後は放射線治療や抗がん剤治療が続く予定だったところが、そういう治療なしに治ってしまったわけです。
これは素晴らしいことですし、希望の光が見えますね。
この治験にはこの抗がん剤を作った製薬会社のGlaxoSmithKline(グラクソ・スミスクライン)が資金提供しています。この臨床実験結果はNew England Journal of Medicineに先日発表されました。
このdostarlimabは多くのがん細胞に見られるPD-1(Programmed death receptor -1)と呼ばれるタンパク質を抑制する働きを持ちます。
このPD-1はノーベル賞を取られた京都大学医学部の本庶祐先生が発見したものです。これにより免疫細胞が賦活化し、癌細胞をターゲットとして認識させ、癌細胞を破壊するという仕組みです。治験者全員の癌がなくなってしまったなんてことは、がんの歴史の中でも初めてのことだそうです。
ただ、この薬はまだ高くて全部で1億円以上かかってしまいますけどね。
でも、京都大学医学部の本庶祐先生の発見されたPD-1を用いて、今回のようなPD-1阻害薬の開発が進んでいき、新しい癌治療すなわち「癌免疫療法」が発展していくのを見ると、本庶先生の功績は大きいなと思わざるを得ません。
そういえば、私の卒業証書を見ると京都大学医学部長が本庶祐先生でした。