きっと安藤忠雄さんは、「いたずらのすきなけんちくか」の中の安藤さんのように、子どもたちにはしごを登って高いところの本を取ってもらったり、階段でごろごろ寝そべって本を読んでほしかったと思う。あの場所はそういう場所にしたいと。

でも現実は厳しく、上の段の本は下に重ねて立ててある(つまり上のほうにある本は飾りになってしまっていて、人は手に取れない。本棚の上の段から建築を眺めることができない)し、ごろごろ寝ていると(寝てたけど)なんとなく係の人が見に来るし、走り回るのもあまり喜ばれないだろう。ふらりと来た人が入館できる時間も決まっているし、あとはネット予約をしなくてはいけない。大阪だから東京よりは全然四角四面じゃなくって、警備のおじさんも入り口のお姉さんも優しかったけど、やっぱり行政というのはそういうものだし、ものごとが大きくなるとどうしてもリスク回避のシステムができる。

それもどうしようもないことだろう。批判はできない。

だから、安藤さんがあの建物にこめた自由の心は、実際には半分くらい目減りしている。

でも、確かにそこにある何かをくみとることはできる。

そして何より、絶版になったけれど電子にもなっていないたくさんの夢のようないい本が、たくさんたくさん並んでいて時間が足りないほどなのだ。いつまででもいられる。

この建物ができたとき、安藤さんからお手紙をいただいた。子どもたちが本を読まなくなったから困った、なのでこんな場所を作った、大阪に来たら見てやってください、と書いてあった。

やっと行けたので、行った3人全員ではがきを書いた。嬉しかった。

そして受付のお姉さんたちは、まさか私たちが売店ではがきを買って、安藤忠雄さんに寄せ書きで建物の感想を書いているとは思わなかっただろう、ドゥフフ(©️道草晴子ちゃん)チュー

そして安藤さんは「バナナさん(いつもかたかなで書いてくれちゃうの)はわかるんやけど、あとのふたり、誰?」と思っておられるだろう。旅の友の美女たちですよ、ドゥフフ!

 

 

絵本の中では、ここで安藤さんがどこからともなく現れる!

 

きよみんの器を、また少し買った。みやげものなどのいらない器や欠けたものを少しずつ処分したりバザー(今はないから積んであるけど)に出して、整理している。そして人生後半は、好きな器を使いながら生きていきたい。

チゲ雑煮を入れちゃったり。

ミポリンもよろしく!どんな高級な皿よりも料理をおいしくしてくれる幸せな器たち。

 

そんなきよみんのおすすめで観た「サイコだけど大丈夫」。おかしいこの時代には、少しおかしい人のほうがよほどまともだという真実を描いた、とてもすばらしいドラマだった。

OK病院の院長先生が最高で、河合隼雄先生を思い出さずにいられなかった。先生が「はあ」とてきとうに聞いてくれるだけで、大勢の人が大丈夫になる。あまりの名医さに、こんな先生が今ほんとうにいたらいいのになあ、とため息が出た。

ムニョンさんがあまりにも美人で(きよみんが『トイレットペーパーの芯くらいウェストが細くないですか?』と言った)、どこから見てもきれいで、しかも声が低くて、キャラが最高にすばらしい。ちゃんと才能がある童話作家だというのが伝わってくるすばらしい脚本と演技。いつもその才能の奥から、意外性のある、しかし取ってつけたようなエキセントリックさではない思考の閃きが伝わってくる。

ムニョンさんや自閉症のサンテお兄ちゃんのほうが、柔軟で自由でヒリヒリしても活き活きしていて、ほんとうはまともなはずの主人公はいつも融通がきかなくて怒って苦しんでいて、どっちがサイコなんだとしみじみ思う。そして主人公はだんだん変化していく。主人公が変化すると、主人公を愛する人たちもゆるむ。なんていい脚本…ラブ

あの家に私も住みたいなあ!あの病院に入りたいなあ(精神病院だけど)!と切望した。

そして毎回「みんな着替えてから寝ようよ〜」とも思ったびっくり

ソウルから少し離れた田舎町の気持ちよさ、山の緑、潮の香り、太陽の強い光、夜の深い暗さ。その中で動く感情の美しさ、そばにいる人たちの温もり、仲の良さ。全てがどこか懐かしく、なぜかインドネシアで兄貴邸にいながらいろんな人とちょっとすれ違う幸せな日々を思い出した。あの自然のダイナミックさが思い出させるんだな。

これがヒットしているようなら、人類はまだ大丈夫!

ムニョンさんがあまりに気持ちよく差別的な読者をぎゃふんと言わせたり、編集者に「クズには理解できないから合わせる必要はない」などと言い放っているのを聞いて、まず見た目から直さないとだけど、少しは見習ってみようかな、と冗談でつぶやいたら、「そうだそうだ」「やれやれ!」とその場にいたさおりんと梨ちゃん双方にすごい勢いで言われたんだけど…そんなに?びっくり

 

まだまだものものしい日々ですが、家でやることはいっぱいあるので、こつこつと楽しんで生きましょう。

大好きな飲食店があれば、なるべくテイクアウトしてあげてなくならないようにしたいです。

みなさまにも清らかな冬の1日がいい感じで訪れていますように餅