「ポーの一族」と出会ったのは小学生のとき。

となりの家のきみちゃんと、セリフを丸暗記した。なけなしのおこづかいでとにかく薔薇を買った。

新作の中のエドガーはいつも苦悩していて、美しくて、上品で、冷たくて、ひとり奮闘している。あまりの良さに私は萩尾先生が今も描いてくださっていることに、感動している。今のエドガーが好きだ。小学生のときに焦がれた彼も、私も、成長したのに、より好きになっている。

 

 

「梅田芸術劇場」に「ポーの一族」を観にいった。こんなときだからどんなに対策していったか、言葉につくせないほど。でも、自分とポーの歴史から言っても、どうしても観たかった。

明日海りおさんのエドガーの鬼気迫る魅力もすごかったし、懐かしい物語は切なく耽美だったけれど、私はとにかく千葉雄大さんに注目しているので、アランを観に行く気持ちだった。そしてすごくよかった。エドガーがアランでなくてはだめだった理由、今もアランと(たいへんなことになっちゃってるけど)いっしょにいる理由、生きていられる(生きてるのかな)理由。推しだからではなくて、千葉さんはそれをちゃんと表現していた。あのものすごい歌の人たちに混じって歌うのはたいへんそうだけれど、演技力と表現力で補い、後半どんどん歌がうまくなっていった。なによりもアランにしかないあの儚さ、淋しさ、気の毒さ、幼さや無垢さをみんな持ってるのがすごい。他の方たちがあの舞台の中に生きているとしたら、千葉さんは原作からひとりで出てきてひとりですっくと立っていた。

 

なかなか大阪にも行けないのでできることを安全な範囲で全部やった。観覧車でぴちょんくんのてっぺんを見て、途中通り道のお初天神に寄りながら何キロか歩いて、行きたかった「こども本の森」へ。いちばん大きな優しさに満ちた安藤建築。川べりが似合う。絵本や子どもの本だけでなく、大人の本もいっぱい。父の本を発見したりして。自分がどれだけ本というものを愛しているかよくわかった。なんていいところなんだ、近所だったら毎日行く。

 

この図書館のことが描かれたすばらしい絵本。

 

石濱さんちに寄ってカレー食べたり(いくらでも食べられるおいしさで怖いくらい!)

たこ焼きを焼いたり

串揚げを食べたり(『010』最高においしかったし、清潔だったし、個室もあり席も離れていたし、いいお店)

旅の友が新幹線から撮ってくれた写真。なかなか旅もできない昨今、マスク疲れ&消毒しすぎて手が荒れたけど、全部消毒したり洗濯したり今もたいへんだけど、やりとげた。新幹線のトイレ行くときの自分の様子なんてほとんどバイオ研究所くらいの勢いでしたね、行ったことないけど。

 

さて、最近すっかり旗色の悪いAmazonだが、「ウォーキング・デッド ワールドビヨンド」が、すばらしすぎた。

ゾンビ関係が苦手な人はもちろんムリです。私だってギリギリなくらいだから照れゾンビ仲間にだけ向けて書いている記事です、ここは。

青春の美しさ、才能のつらさ、欠落の美しさ、旅の良さ、思想の良さ。こんな日々だからこそ強くなっていく友情ときょうだい愛。

出てる子たちがみんなかわいいし、話もすっごくいいし、なにこれ、なんで今さらこんないい話が作れるのか。

山盛り観てきたゾンビ映画の中では今のところ不動の「ドーンオブザデッド」(もちろんロメロとアルジェントのほう)だが、私の中ではなんとこれが2位に食い込んだ。こんなことってあるのだろうか。生きてきてよかった。ちなみに3位は「ショーンオブザデッド」だというのもどうかと思うが。

だから偏ってるのはわかるんだけれど、吉本ばなながゾンビもの作ったらこうでしょうね、という感じの内容だった。

 

今はもちろん、むやみに出かけたり外食してはいけません。あおってるわけでは決してないです。

でも、だいじなことのために、生きるために、書くために、笑うために、大好きな大阪の今を見るために、愛するために、行ってよかったです。

もちろん今も熱はなく、健康です。

そうして、生きていくのです。とても近しい人たちの中にも違う意見の人がたくさんいるのはわかります。でも、私は行ってよかったです。後悔しません。そしてもちろんやたらには出かけません。さらに、違う意見の人を認め愛し続けます。

さて、しばらくはまた引きこもって自炊して(餅もまだたくさんあるし)書いて読もうっと!

 

みなさまも、人生という長い旅の中、良き日々をりんご

 

これの新刊が出てもう嬉しくて!基本的に今回はとても平和な巻だった。