わたしは 戦争がいやだ
わたしの父は重度の身体障害者だった
とうぜん、兵隊にはなれなかった
祖母と父の母子家庭はムラの人びとから冷遇された
男まさりの祖母は悔しかったそうだ
戦争は銃後の人びとにまで軋轢を生むのだ
わたしは 戦争がいやだ
人を殺す理屈なんぞがあるものか
殺されても良い人なんか、どこにもいない
同種の動物で殺しあうのはニンゲンだけ
わたしは 戦争がいやだ
正義の戦争なんてあるわけがない
施政者はことば巧みに「正義」という
前の戦争の時、戦争に反対した人びとがいた
彼らは迫害された、でも節を曲げなかった
彼らは非国民と言われた
いま、非国民は誰か
他国の戦争に私たちの子や孫を差し出そうとする人びとではないか
わたしは 戦争がいやだ
だから戦争につながるすべてのことに
反対する、敢えて非国民と呼ばれよう
わたしは 戦争に反対する
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ストーリーは、病み上がりの刑事に任された未解決の殺人事件の捜査と、私怨から流通大手会社の闇に迫る女性記者の取材とが折り重なって一つの方向へと進んでいくというもの。
地方都市郊外に進出する大型ショッピングセンターと旧市街地の空洞化、食肉偽装事件がこの推理小説のウリのようですが、今一つのインパクトでした。
大型ショッピングセンターが郊外にでき車を持たない人たちは買い物難民となること。片方で駅前商店街はシャッター通りと化すことは公知のことです。
食肉偽装については、ミートホープ事件が同様の事件だった。
食の安全については、食品添加物の有害性など多くの問題がある。私の入院している病院の食事も安全か保証されるものはない。
殺人の動機にしては甘いと思う。刃物で人を殺すには、精神的に大きな抵抗があると思う。それも腹を十文字に割くなどとは。
社会派小説としては、面白いのかもしれないが、ミステリーとしてはいまいちの感をぬぐえなかった。