朝日俳句、歌壇より | 残日録

残日録

日常の生活で、観たこと、感じたことを書きおければ。。。
「残日録(http://yoshim.web.fc2.com/)」のミラーサイトです。

 4月5日、菅官房長官が沖縄を訪れ、翁長知事誕生から4ヶ月も経ってから知事と会談したそうです。
 双方の言い分は、政府は「世界一危険と言われる普天間の固定化はあってはならない」と。対する翁長知事は「(米軍基地は)すべて強制接収された。自ら奪っておいて、その危険性の除去のために沖縄が負担しろ、お前たち代替案を持っているのかと。こういった話をされること自体が、日本の国の政治の堕落ではないか。」「攻めた翁長氏「政治の堕落ではないか」菅長官と応酬」(朝日新聞デジタル 15/04/06)
{D38A2095-8E71-4E37-84D1-09701BFC89D8:01}
※朝日新聞紙面より
 どう見ても、正義は翁長知事にある。使いパシリの菅とは人間のランクが違う。

 さて、6日付の朝日新聞の俳壇、歌壇より気になった句や歌を紹介します。

◆朝日俳壇
◇春立つと思へばさうと見える空(富津市・三枝かずを:稲畑汀子選)
 暦の実感はないが、言われれば空の色が変わってきたのだろう。そんな意味なのか?

◇水温む旅の鞄に方丈記(名古屋市・山口耕太郎:長谷川櫂選)
 選者も「流れるような句」と評されているように声を出して読んでも流れるよう。
 ああ、旅に行きたい。

◆朝日歌壇
◇蕗(ふき)味噌の苦味を舌に思い馳す摘まるることなき福島の蕗を(小城市・野中暁:永田和宏選)
 野に生える蕗でも誰も摘まないのに、同じ土地で作られた農産物だけ安全だなんて、今まで国してきたことを思い起こせば口にはできない。

◇原発の事故見て止める国あれば稼働続ける当事国あり(川崎市・小島敦:永田和宏選)
 下から二つ目の歌も同じことを詠っている。馬鹿な国である。

◇私には子供もいるし孫もいるだけどやっぱりあなたが恋しい(京田辺市・藤田佳予子:永田和宏選)
 無理だけど、死んでもこんなに思われるなんて。

◇汚染水は海へ汚染土は仮置場へ人々は棄民への流れ故郷想う(日野市・植松恵樹:馬場あき子選)
 海も土地もやがて空気も汚染し、おまけに住民は棄てられるなんて、およそ現代のこととは思えないけど、これが現実。

◇浜通りは汚染土の山仮置き場・仮仮置き場にあわゆきの降る(下野市・若島安子:馬場あき子/高野公彦選)
 仮仮置き場が哀しい。

◇亡き父の月命日を酒の日と定め墓前で一人酒飲む(三郷市・木村義熙:馬場あき子選)
 良い親子だ。私は父にできなかった。

◇あれからの重たさこれからの長さふくしまの春かすんでゆれて(福島市・美原凍子:佐佐木幸綱選)
 福島の原発事故はいつ収束するのか?誰が責任を取るのだろう?

◇一輪の水仙後ろを向いて咲く幼い頃の私のように(四街道市・中村登紀子:佐佐木幸綱/高野公彦選)
 最近、「みんな右向け右」が怖くなってきた。一人や二人、誰の言うことも聞かないような人がいて普通なんだ。後ろを向いた水仙がんばれ。

◇原発事故「起こした」日本は続行し「知った」ドイツが廃止す原発(交野市・遠藤昭:高野公彦選)
 ドイツに学ばなければ。

◇ブロックが一つの意図で沈められ下で拉(ひしゃ)げいん辺野古の珊瑚(嘉麻市・野見山弘子:高野公彦選)
 国の辺野古の基地建設は珊瑚もジュゴンも知ったことかとばかりの狼藉である。


◆芸人と俳句
 今日の俳句、歌壇が掲載されていた紙面に亡くなった坂東三津五郎さんの句が紹介されていました。
<楽屋出で花散る街の人となり>
 味わいのある句でした。
 また、毎日、一句と解説が載る「増殖する俳句歳時記」に渥美清さんの
<朝寝して寝返り打てば昼寝かな>が載っていました。先日の米朝さんの句と言い、皆さん持っているものが滲みでるのだなあと感慨です。渥美清さんについては残日録に書いております。私が好きな渥美清さんの句
<赤とんぼじっとしたまま明日どうする>
 渥美さんの俳号は風天の寅に因んで「風天」、寅さんを彷彿とさせる句である。