“天皇”より“拉致被害者”の方が価値が高い(不謹慎な表現かもしれませんけど) | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

昨年、森田童子さんの死をきっかけに、東京に住む学生時代の友人と何十年かぶりにつながり、それ以来、何度か会ったり情報交換したりをしています。昨日、具体的な用事のついでに彼から「トランプさんの訪日はそちらではそれなりのニュースになっているのでしょうか?」との質問が来まして、改めてその関連でいろいろ思考を巡らせました。

 

私から彼への返答Eメールは以下のようになりました。

 

トランプ大統領の訪日に関してですが、私は今、大阪出張中なので「そちらではそれなりのニュースになっている」のは間違いありません(笑)。米国内でもそれなりの扱い(たいして大きくない扱い)になっていると思います。

アメリカ人は、日本人が期待するほど日本の天皇制とか歴史とかに興味がないです。特に天皇制とかは、自分の税金がそれに使われるのはまっぴらごめん、みたいな感覚の人が多いのではないかなと思います。自由主義と民主主義と資本主義とが基本です。そして、(キリスト教的)博愛精神が基本です。いずれも、天皇制には無理、みたいなことになると思います。天皇制に象徴されるような中世的価値を破壊して作られたのがアメリカ合衆国です。

たぶん、トランプ大統領にとっては、重要度の高い順で、拉致被害>相撲>>天皇の順番ではないかなと思います。日本人がアメリカ人に天皇制を自慢するのはあまりかっこよくないです。ちょっと不謹慎な言い方になりますが、日米同盟強化を目指すなら「拉致被害」で盛り上がった方がよい。これなら、多くのアメリカ人の心の琴線に強く触れます。

以上、私の個人的な観察にすぎませんが。

 

上の内容をEメールで送ってしまってから、アメリカの特色を描写するのに1点、重要ポイントを書き忘れたことに気づきました。

 

それは、「平等」です。もう少し付言すると「機会の平等」です。

 

「自由・平等・博愛」はフランス革命のスローガンで、フランス国の国是となっています。私は、フランスに住んだことが無いので、どの程度にこの概念がフランス国内に浸透しているのかは知らないのですけれども、アメリカ合衆国の良い面を理解する際にもこの3つの概念は有効です。その3概念のうちの1つ、「平等」を友人へのEメールでは書き忘れてしまいました。

 

ここで書くまでもなく、アメリカ合衆国の貧富の格差は日本より圧倒的に大きいです。また、ジャングルの野生動物並みとは言いませんが、強い「弱肉強食」社会でもあります。そのような国が「自由・平等・博愛」って、ちゃんちゃらおかしいと思われるかもしれません。

 

でも、私から見ると、日本よりアメリカの方が格段に「自由・平等・博愛」という人類の生み出した美しい概念では先に進んでいます。

 

たとえば、アメリカ合衆国には天皇制はありません。アメリカでは、その家柄に長男として生まれたらその家に属し続けることを法律が強制し、そこから出ることができない不自由さも不平等さもありません。

 

そんなアメリカ合衆国ですが、他国(日本)に天皇制があっても彼らは意に介さないでしょう。彼らはそれを他人事として処理できるからです。自分の税金が天皇制の維持に使われるというようなことなら、あっという間に天皇制はつぶされると思いますが。

 

一方、北朝鮮による拉致被害は、他国(日本)のことであっても博愛精神が適用される範囲内であり、ほぼ「自分事」としてとらえることが可能です。アメリカ人にとって北朝鮮政府はぶれることなく100%の“悪”といってよいと思います。北朝鮮のような「自由・平等・博愛」に反する国家は、人類のためにならないので叩き潰すべき、なんです。そのような全人類規模の“反社会的勢力”と戦うために使われるのなら、極端に書くと、自分の命さえささげてよい、くらいにです。アメリカの政治家は国民から投票してもらわねばならないのですが、この完全なる悪と戦う姿勢は票獲得のための効率の良い活動になります。北朝鮮による拉致の直接の被害国である日本がそれを活用しない手はないと思えます。

 

北朝鮮のお隣りの韓国では、「反日無罪」という社会通念がまかり通り、違法・合法の概念よりも「反日無罪」という通念が韓国社会では受け入れられている状態と言ってよいでしょう。面白いなと思うのは、アメリカ合衆国でも、同じ論理がまかりとおる点です。ただし、そのベースは「反日」ではなく「自由・平等・博愛」となります。

 

トランプ大統領には、「天皇謁見」はほとんど価値がないはずです。彼の選挙での有利・不利を考えれば、むしろやらないほうがよいくらいかもしれません。アメリカ合衆国との絆を深めていくことを目指すのであれば、日本政府も安倍首相も、北朝鮮の拉致問題をもっと前面に出すべきだと思います。

 

日本が国際舞台で提供できるアイテムとしては、“天皇”より“拉致被害者”の方が価値が高いと言えるでしょう。拉致問題は、不謹慎な表現かもしれませんが、コスパが高いです。日本政府も安倍首相も、米国政府とトランプ大統領に対してもっと拉致問題を前面に出すのがよいと思います。

 

 

 

さて、今回の日本出張は今日が最終日。明日はDCに戻ります。