面接ガイドラインの不思議 ――名義貸しより面接―― | 知財業界で仕事スル

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知財業界の片隅で特許事務所経営を担当する弁理士のブログ。

最近は、仕事に直結することをあまり書かなくなってしまいました。

本人は、関連していると思って書いている場合がほとんどなんですが…

 まず、「弁理士資格を持たないものの手続は違法で、弁理士ならば名義貸しでも違法ではない」というような「論」は成立しようがありません。
 説明に代えて、関連条文を掲載させてもらっておきます。いずれも弁理士法です。

第七十五条 弁理士又は特許業務法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願若しくは国際登録出願に関する特許庁における手続…(中略)…を業とすることができない。

第七十九条 第七十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第八十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第七十九条、第八十一条又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。



 加えて、08年4月1日の改正で、非弁理士に対する名義貸しの禁止規定が以下のように入り、違反すると一年以下の懲役役又は百万円以下の罰金に処せられることになります(改正79条)

第三十一条の三 弁理士は、第七十五条又は第七十六条の規定に違反する者に自己の名義を利用させてはならない。


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 「法律論から言うと、『名義貸し』で無いと結論づけることの方が非常に苦しいです」とのTさんのご意見には私は同意します。というか、私もそう思っておりますから、それに反するようなことを一度も書いたつもりはありません。

 私が前回の記事で言いたかったことは、外からはわかりにくい企業内(事務所内でも同じ)での活動しだいで「名義貸し」か否かを判断しなければならない状態、しかも、明確な「名義貸しでない状態」と明確な「名義貸し状態」との間のどこに(合法-非合法)の境界線を引けばよいのかがハッキリしない「名義貸し」という概念、それらに鑑みますと、実際問題として「名義貸し」と結論づけるのは簡単ではないでしょうということです。

 「名義貸し」を相手にする場合には、Tさんが書かれているように「結論づけることの方が非常に苦しい」「かなりの割合でアウト」「認識は甘い」というようなあいまいな表現にならざるを得ません。

 一方、本人ではなくかつ代理人資格を有さないものが委任状を持って特許庁に来て面接審査で意見を述べている状況はどうでしょうか?社内(や事務所内)での業務内容がどうなっているのかを調べるまでもなく、白黒をはっきりとつけられます。
 特許業界を合法化するために努力するのだったら、まずはそっちで勝負した方がよいのではないか、というのが私の言いたいことです。