毎年のことですが、8/6、8/9の黙祷は、本当に大切な時間だと感じます。
今年の黙祷の時間は、短い時間であっても、思ってもみなかったほど、
リアルな感覚がありました。戦争や平和、原爆について考える原点としての時間です。
 

両日共、できるだけ広島の平和記念式典、長崎の平和祈念式典での市長の平和宣言や被爆者代表、子供代表、首相、国連事務総長などのお話を聞くようにしています
(ライブでなければ、録画で)。

長崎市長のお話も、被爆二世ならではのリアリティが伝わってくるようでした。
 

以下、とくに印象に残った長崎市長のお話を抜粋します。
 

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今、私たちに何が必要なのでしょうか。
「78年前に原子雲の下で人間に何が起こったのか」という原点に立ち返り、
「今、核戦争が始まったら、地球に、人類にどんなことが起きるのか」という
根源的な問いに向き合うべきです。
 

(中略)

核抑止の危うさはロシアだけではありません。核抑止に依存していては、
核兵器のない世界を実現することはできません。
私たちの安全を本当に守るためには、地球上から核兵器をなくすしかないのです。
 

被爆者は、思い出すのも辛い自らの被爆体験を語ることで、
核兵器がいかに非人道的な兵器であるのかを世界に訴え続けてきました。
この訴えこそが、78年間、核兵器を使わせなかった「抑止力」となってきたのでは
ないでしょうか。
 

その被爆者の平均年齢は、今年85歳を超えました。
被爆者がいなくなる時代を迎えようとしている中、
この本当の意味での「抑止力」をこれからも持ち続けられるか、
そして核兵器を廃絶できるかは、私たち一人ひとりの行動にかかっています。
 

***
 

この平和宣言を聞きながら思ったこと。
 

「今、核戦争が始まったら、地球に、人類にどんなことが起きるのか」
---このことを時に考えはしても、ほんとうの深い想像力と共に具体的な行動を
起こすことなく、この危険な状況をやり過ごしているのではないか、
と自分に改めて問いかけます。
 

そして核兵器廃絶は理想ではあっても、現実的ではない、と考える人たちが
いるのは理解できますが、思考停止に陥ることなく、できない理由を挙げる
のではなく、どのようにしたらできるかを現実的に考え続けることも必要でしょう。
 

国連では加盟国の6割を超える122か国の賛成により、核兵器禁止条約を採択
しています。(日本が入っていないのは、よく報道されている通りです。)
 

ウクライナへのロシアによる核の威嚇についても、核配備を増強する動きが
強まる一方、核兵器を持つことで自国の安全を守るという「核抑止」は
本当に現実的なのだろうかという疑問が生まれています。
広島市長も核抑止論の破綻について述べていますが、
私もウクライナのことで改めて考えるようになりました。
 

広島市長も長崎市長も、「平和の文化」を広げる重要性について語っています。
そして核兵器禁止条約に署名・批准していない日本がせめて第2回締約国会議に
オブザーバー参加することを望んでいます。
 

ちなみに2017年に日本人女性初の国連事務次長に就任した中満泉さんは、
国連の軍縮部門トップとして『核兵器禁止条約』の採択に尽力し、
2018年には米フォーチュン誌『世界で最も偉大なリーダー50人』に
選出されています。