英米のウクライナへの支援が鮮明な中、周辺各国の動きにはためらいも見受けられる。
ポーランドは「所持している戦闘機をアメリカにゆだね、それをウクライナに供与するかどうかはアメリカが判断してくれ」という態度をとった。
中国はロシアの金融システムが壊滅的なダメージを受けるのを避けるために中国人民元決済システムに連結させ、ロシア産の小麦の買い増しを表明している。
そんな中、情報戦は続く。
アメリカ・プリンケン国務長官はイギリスのトラス外相と会談後、ロシア制裁、ウクライナ支援継続を明言。「プーチンは敗北する」と断定的だ。
元駐ロ大使でロシアの事情に通じているバーンズCIA長官もニュースで世界中に拡散されることを見越して議会証言で
「プーチンはウクライナの戦闘能力が予想外に強いことを見誤った」とプーチン氏がブチ切れるような見解を述べた。
今はプーチン氏と話ができるドイツのメルケル氏もいない。フランスのマクロン大統領も4月24日の大統領選挙前に表立ったロシア擁護はできない。EUがエネルギーの多くをロシア産に依存していても、公にプーチン氏をかばう国はない。
エネルギーが欲しければ原子力発電も検討したらどうだ、といわんばかりだ。
フランスには世界最大級の原子力産業会社オラノがあり、再選を目指すマクロン氏もさすがに国内巨大企業の商機拡大に配慮せざるをえない。
しかし、英米の本丸はロシアではない。
世界中から嫌われ、非難の対象になっているプーチン氏をサダム・フセインと同じような展開に追い込めば、ほどなくロシア版アラブの春がロシアを内部から揺るがす。
そこで、中国のチャイナセブンはどう出るだろう?
英米の関心はロシアよりそっちがずっと強いはずだ。
今後、英米と中国はどう折り合いをつけていくのか? それこそがウクライナとロシア問題の究極の本質だと思う。
内政干渉をしているのはいったいどこの国か?
ウクライナに侵攻しているロシアだろうか?
ウクライナに武器供与などで関与しつづける英米だろうか?
台湾、尖閣、ウイグルなどに対する中国に対する問いかけにも等しい。
中国よ、台湾や尖閣に影響力を強めればロシア・プーチンと同じ目に合う、という見せしめ効果。
それがウクライナへのロシア侵攻で現在進行形で示されている。
中国は100年マラソンを走り続ける一環で英米に面従腹背し、アメリカの衰退を待つだろうか。米国債への手当は石油価格上昇で中東の存在感が増しているから、そうそう簡単にはいかない上に感染症という変数も投げ込まれ、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカなど英米企業が利益を席捲した。
ならばプーチン・ロシアと連携し、場合によってはアメリカ中間選挙にもロビー活動によってバイデン氏らのシナリオに影響力を与えようとするだろうか。
今回のシナリオを進めていくためにどうしてもEUとの連結を断ち切っておく必要があったイギリスはブレグジットに成功した。
アメリカ大統領選挙でトランプではシナリオの推進はできなかったため、ウクライナ通のバイデンでなければならなかった。
感染症という変数の後、すかさず、ウクライナ問題で世界の流れをグレートリセットしていこうとする英米の次の隠し玉がロシア版「アラブの春」だ。
サダム・フセインはクウェート侵攻で結果的にはイラクを追われ、大産油国のイラクは目下、アメリカ資本の影響下に置かれる。
ロシアにプーチンがいなくなり、ロシア経済に変化が起こり、ドル建て商品の石油価格が制御されれば、英米は中東への影響力を保持できアメリカの財政問題はひっ迫懸念から解放される。
そうした体制が整えば、後は英米VS中国という構図が鮮明になるはずだ。
習近平氏とプーチン氏の関係とバイデン大統領、プリンケン国務長官の発言に注目。
そして経済カレンダーは以下の通り。
日本メジャーSQ
3月11日
パラリンピックの閉幕3月13日日曜日
FOMC
3月15日 〜 16日 0.25ベーシスの引き上げが事前のコンセンサス
日銀金融政策決定会合
3月17日 〜 18日
米市場のSQ日
3月18日
日本オプションSQ
4月8日
3月末本決算⇒企業業績5月頃
5月には中国・ウイグル問題にアメリカが手を突っ込んでくる可能性がある。
在ジュネーブ国連機関の米代表を務めるシェバ・クロッカー氏は、国連調査のバチェレ氏が新疆のウイグル族やさまざまなグループと個人的に面会し、中国による「残虐行為」や強制労働などの虐待が報告されている場所にアクセスできる必要があると指摘している。
ということは、ロシア・ウクライナ問題が一段落ついたと仮定できても、5月以降は中国とウイグル問題に争点が移っていく可能性がある。こうして世界の視点をロシアや中国に集め、めぼしい成果がなくアフガニスタン撤退で目を覆うばかりの失態を演じたバイデン氏の面目を保ち、2024の大統領選挙では代役としてヒラリー投入などで、アメリカ・中間選挙をトリプルブルーのまま乗り切っていこうということも民主党を担ぐ人々らには計算されているのだろう。
ちなみに英米の動きが際立っているのは新型コロナの時と同じだ。
日本に新型コロナが広がり始めた初動は横浜港に英米が運営にかかわっていたプリンセスダイヤモンド号が停泊してから。
アメリカ、中国、ロシア それぞれの都合のいい内政干渉で世界の人々が振り回されている。
いい加減にしろ、と言いたい。