10月はヘッジフアンド決算、12月は外資決算です。
つい先日まで外国人投資家は円売り、日経平均株価先物買いのポジジョンをとっていたとみられます。どうもそのポジションをG20を機に閉じたか、ドテンしたのではないかと思います。
今回の下げのきっかけはG20で「世界経済は低迷している」というコメントが出たことによります。株価は企業の将来利益の分配権利を売買するものです。
世界経済は低迷、というのですから、企業の業績先行きに期待できないとして売る動きが出る。それを見越してのポジショニングとクローズだったのでしょう。
世界経済は第二次世界大戦で唯一、国土が戦場にならずに経済的メリットを得て、大覇者となったアメリカと覇者側ではありながら国土が壊滅的に疲弊した欧州、敗者となった日本の復興によって支えられてきました。
しかし、そのフレームも再々、使い物にならなくなる危機があり、いよいよガタピシしてきて、都度都度、応急手当をしながら、なんとか今日に至っている印象です。
毎度、クライシスが起こるのに、世の中が落ち着くと覇者はなぜかいつもアメリカ。儲かっているのはいつもアメリカです。
リーマンショックの震源地で他国経済に大きな影響を及ぼしたのに、今の低迷している世界経済でも好調なのはアメリカとインドだけという意味でまた覇者の座に位置しているという具合です。
リーマンショックでは大金融緩和政策を実行し、世界にお金の流れを作り、その流れの中で大儲けし、今度は金利引き上げで米国に資金を逆流させるというわけで、リーマンショック大作戦と名付けたくなる大戦略であり、それを成功させています。
世界がアメリカの一挙手、一投足を注視しているという点でも大スターです。2020年にGDPを世界一にすると言い放った中国を抑えて、今も世界の中心に位置できているわけです。
勝つためには何でもやる、というロジックで今回の流れを見てみれば
ロシアとウクライナの対立にウクライナ側に武器、資金を提供し、騒ぎが大きくなり、ロシアが武力で鎮圧しようとすると経済制裁を課し、それによってロシアと経済的に関係の深いドイツは大ピンチに陥ります。
ドイツと言えばユーロの屋台骨ですから、ユーロ安円高となり、円高ドル安となっているわけで、ここでもドル安メリットという点で勝利しています。
そうした流れの中でG20では「通貨安競争は許されない」というスタンスをとるわけですね。
よくいうよ、とはだれも言わない。
そもそも決算月にドル安となるように仕向けたのはロシア制裁に始まったドイツ疲弊大作戦によるものではないか、通貨安で大メリットを得ている国が他国に「通貨安はゆるされない」って?
通貨安メリットを享受している国はどこなんですか?と詰め寄らせない。ここがアメリカのシナリオのよく練られている点です。
勝つためにはなんでもやる。そのロジックで考えれば、次は日本国債かもしれないですし、香港問題による何かシナリオがあるのかも知れません。G20では「日本は財政再建を急ぐあまり、消費増税を急ぐことはない」というニュアンスのコメントが出されました。
額面通りに受け取っていいのでしょうか。
「オリンピックで大金を使いなさい。消費増税を急ぐことはない。どんどん金を使って経済的発展を第一義にせよ」
を別のロジックでいえば、
「オリンピックの後、日本の少子高齢化は一気に進み、財政的にものすごく厳しくなるし経済も低迷する。その時は日本国債を材料に大儲けさせていただく」
という話に聞こえてならないのですが。
ともあれ、直近の外資の決算は今回のG20の開幕と閉幕のスケジュールを十分意識してポジショニングしていたろうこと。円売り、日経平均株価先物買いはドテンされた可能性が高いことは、覚えておくべきです。
今後の日経平均株価の展開は2014年1月パターンに近いものになる可能性を意識したいですね。
もっとも強欲資本主義にとって他人の不幸は蜜の味であり、逆張り発想でまたドテンし、儲けるでしょうから、過度の悲観は禁物。11月のブリスベーンサミット前後からまた様相が変わるはずです。
足元は1月パターンを意識し用心しましょう。
チャートはゴールデンチャート日足より。
追記
FOMCが金融緩和縮小を休止し、緩和するべきとする連銀理事のコメントが2014年10月17日、モーニングサテライトで報道されましたね。
今回の下げ前、米国債の9月販売不振も考慮すると、ずいぶんとわかりやすい茶番劇のように感じられるのは私だけでしょうか。
このコラム→マネバの木村佳子のコラム →18日の大阪・光世証券でのセミナーで今後の見通しをまとめさせていただきますね。
ちなみに
次のFOMCの会議は
2日目の29日、米東部夏時間午後2時(日本時間翌日午前3時)に声明が発表されます。
10月28─29日(火・水)