今年の夏が教えてくれたいろいろなこと | よしだよしこ here now

今年の夏が教えてくれたいろいろなこと

 

 

 

8月4日大岡山グッドストックトーキョーにて

思えば昨年の夏のこの場所でのライブは「ヨイシラセ」の完成記念ライブでした。もっと昔のような気がします。

今回は一人でゆっくりと唄おうということにしました。猛暑の中どうかしら、、、と思っていましたが、暑い暑い昼下がりに皆さんよくぞ足を運んでくださいました。そして配信で観てくれる方もありました。猛暑や悪天候の時にはオンライン鑑賞もまた良いのかもしれません。ありがとうございました。

一曲目は25年ほど前につくった曲から。そして7月のツアーから唄い始めた曲のいくつか。そして正式には今日初めてうたう「クラウディオさんの手」完成形のつもりで挑んだ曲でしたが、まだまだ直したいところ、付け加えたいところが唄いながら浮かんできてしまいました。

長い曲を作るときはいつもこうだったな。。。と唄いながら思いました。この曲は夏の宿題になりそうです。

 

8月5日今日から、壊れた浴室の工事が始まりました。朝の8時半から職人さんが二人来てくれて、外には作業台をつくり、切った材木を玄関から台所を通って風呂場まで、、行ったり来たり、、こういう作業が数日続くのです。

職人さんたちの動きは素晴らしくほれぼれするもので、私もこの際、部屋中の模様替えと大掃除をすることにしました。

親方の持っている電気ドリルやのこぎりも借りながら、棚もひとつ作り直したし、押し入れも大掃除。

今夜は本とCDと紙類の山積になった部屋の片隅に布団を敷いて寝ます。お風呂屋さんに行きたかったけれど、足と顔だけ洗って。それから腰に湿布して。

 

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8月7日職人さんたちの作業が終わり、生まれ変わったお風呂場に見合うように、私の大掃除と模様替えはまだまだ続きますが、8枚のカーテンの洗濯を終えたところでいったん休止。週末は秩父のホンキートンクへ行くので、これ以上腰や手を使って痛めてはいけない。今日はリハビリに行きました。70歳になって、あ、ちょっと安いなあと感じるのは医療費です。

 

8月10日秩父皆野ホンキートンクにて

入るなり8年ぶりと言われました。ほんとうに久しぶりです。いなのとひら・のとこばの三人とマジックボンドの二人と一緒です。

埼玉秩父は猛暑です。

それでも、主のまあちゃんやお手伝いのみんなが、お客さんに声をかけてくれて、客席もにぎやかです。遠いところからも。変わらない場所です。長く続けてきた場所の風格は、誰の時もおんなじデザインのフライヤーやチケットが語ってくれます。

ステージに立った瞬間に「おかえりなさい」とこえがきこえましたました。ちょっと泣きたくなります。よかった。

鈴木まあちゃんのフィドルで道ばたでおぼえた唄をうたいました。。まあちゃんすごく練習した音でした。

いなのとひら・のとこばと三曲も一緒にできました。「みんなの唄」をホンキートンクのステージでうたえて嬉しかった。

打ち上げは階下の部屋で。20年近く昔の中山ラビ×私のステージ映像をまあちゃんがみせてくれました。映像の中のラビさんはキラキラ綺麗で私はたぶんお酒を飲んでヘロヘロしていました。この部屋の奥にはそういう映像が山ほどあります。

翌日は、昨日から細々と動いてくれたミーサに長瀞の美味しい豆腐料理のランチに連れて行ってもらいました。つかの間の夏休み気分です。

 

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8月11日秩父から山道を車に乗せてもらいました。小さいころの夏休みは、よく家族で遊びに来ていた飯能のあたり。この景色の中にいるだけで甦るものがあります。車酔いの酷かった私は祖父の車に乗せてもらうのは苦手でした。川遊びをしている写真が今もありますが、表情が暗くて、多分気持ちが悪かったのだと思います。

そんなこと思いながら、今日の目的地の国立で車を下ろしてもらって歩いた瞬間に、ちょっふらっとしました。

 

国立谷保で34年やっているかけこみ亭の主のぼけまるさんの生前葬というイベントがこの数年続いています。毎年生前葬もないと思うのだけれど、、、。で、なんだかお盆のころは暇な私はもう何回も参加しています。今日は国立の小さなホールのステージの上にかけこみ亭の部屋のような設えをして、そこにゲストを呼んでぼけまるさんと語るのです。

話は尽きず、私の歌は一曲だけにしました。

かけこみ亭という場所に皆さん一度は行ってみてください。

このさき、ぼけまるさんが生きているあいだは何とか存続してほしい場所です。私は20年前、どこか唄わせてくれるところはないかしら?と悩んでいた時に教えてもらった場所です。困ったときにかけこめる場所だよと言われた場所です。

 

8月15日鎌倉の古谷さんの工房へ、ギターを持って出かけました。いつも宅配で送ってしまうばかり、一度は行きたいと思っていました。お盆休みは良いタイミングです。

ギターをつくる部屋というのはめったに入れないからちょっと嬉しいです。

ほんのすこし弦の高さを変えてもらうだけのことでしたが、対面でやり取りする安心感は格別で、直してもらっただけでギターもすごくよろこんでいるような気がしました。預けてあったもう一本の怪我の状態も話し合い、ついでにダルシマーも診てもらい。横須賀線の短い夏の旅でした。

 

8月17日朝から部屋の整理の続きをして、、二つの押し入れの中身と机まわり本とCD、そして膨大な紙類の選別に大体めどがつきました。大家さんが浴室を直してくれたおかげで、まだしばらくはこのアパートに住んでいられそう、そして片付けの良い機会をもらいました。次にここを動くときに困らないくらいまでに本もCDも整理ができました。久しぶりに売り物のCDの簡単な棚卸もできたし。。。

それにしても紙との格闘は何日もかかりました。

午後、必要なものがあったので新宿に出た足で、久米川まで。

西武新宿線には路線の種類があって、すっかり間違えてしまって開演時間を過ぎていたけれどまだ始まっていませんでした。辻井貴子×ちちんぷいぷい というライブ。佐藤GWANさんも来ていて嬉しかったです。貴子さんをじっくり聴くのは久しぶりでしたが、素晴らしいステージでした。言葉にするとつまらなくなってしまいそうですが、自分の世界を堂々と200%くらいの歓びで表現しているように伝わりました。。歌声も楽器の音色も心に飛び込んでくる響きで泣きました。夏休み気分最後の日にふさわしい夜でした。

 

8月19日高石ともやさんが亡くなったと教えてもらいました。

ちょうど、CDとレコードの整理をしていて、高石さんのフォークソングアルバム第三集を聴こうと思っていたところでした。

中学二年生の夏休みにこのアルバムに出会ったことが大きな出来事でした。ここから始まったものは今でも変わらずに私の中にあります。

「明日なき世界」をひとり大声で唄ってみました。中二の私が心揺さぶられたのはこの歌を高石さんの言葉で唄ってくれたことです。

 

 

 

 

8月31日新宿スペースゼロにて。

今年で4回目の新宿南口フォーク。

前日の夕方に、開催決定メールが来て安心しましたが、お客さんの中にはこれなくなってしまった人たちもありました。

 

友達と天候のことでメールのやり取りをしながら、「天に怒られているような時代に生きているんだな、、せめて皆、仲良く、助け合いながら、生きていきたい。。。」そんな思いが溢れてきました。

 

朝、新宿に向かう山手線に乗っているとメールが。長年、そう20年親しくしてもらっていたひとの訃報でした。早稲田のジェリージェフという店で聴いてもらって以来、沢山応援してもらった。時には遠く山形に連れて行ってくれたり、福島や、岡山まで来てくれたこともあった。いつもたくさんお酒を飲んでノリの良い曲では踊ったりしていたけれど、歌はちゃんと聞いていてくれて、時にはダメ出しもあって、でもそれはとても当っていたから、悔しかったけれど次のための糧になったし、時々褒めてもらうとやっぱりすごく嬉しかったし、会場にその人の顔がある風景はこれからもまだまだあると思っていました。私と同じような思いをしてきた歌うたいミュージシャンは他にもたくさんいる。

 

揺れる気持ちのままコンサートの会場へ入って。リハーサルも終えて、楽屋には今日の顔ぶれが集まりました。

 

私の出番はちょうど真ん中くらい。ひとり15分の持ち時間。今日は、15分の曲ひとつで終わりました。まだまだ、歌詞が頭に入っていなかったから、出番まで頭の中がグルグルしていましたが、、ああ、この歌も聴いてもらいたかったな、、あのひとに、、とそんな思いもよぎりました。

私の少し前に唄った中川五郎さんのうたう「別れの盃」を聴いて、心の中で泣きました。

 

楽屋は、四角佳子、いわさききょうこ、山崎ハコ、私の四人同室でしたが、ハコさんと言葉を交わすのは初めてかもしれません。昔同じ会社に所属したことが一瞬ありましたが、それから50年ですもの。4年前にパートナーを亡くし、また立ち上がって唄っている、今日のステージは圧巻でした。ハコさんの歌に会場が台風の渦のように湧きあがりました。

彼女が監修した亡き夫君の安田裕美さんのギターが存分に聴ける名曲集のCDを頂きました。

はるか昔、一番初めにギターの音色の大切さを教えてもらったのが安田さんであったと思います。感慨深いものです。この30年ほどは直接お会いすることはなかったけれど、本当は実際にギターの話をしたかった。でも今日ここでハコさんと話ができて、CDを手にして、うまくここでは書けないけれど、これまでの道のりを全部肯定できるような不思議な思いに駆られました。少しずつでも前に進んでいけば、これまでの自分はすべてOK!だな、「いま」いつも「いま」に生きよう。

今夜は、ほかにも思わぬ人との再会もあり、、言葉を交わすこともでき、、

こうして人間って、人と会わなければ始まらないんだなあ。。。と。一人で考え込んでいては解き放たれないことが沢山あるなあ。。と、少し興奮気味に着替えをして後片付けをして、おけいさんとタクシーでそんな思いを少し語りながら。

素晴らしい出会いをつくってもらった今年の新宿南口フォーク集会でした。感謝。

 

帰宅すると、やっぱり亡くなった人のことに心が向かってしまい、久しぶりに一人で多めのお酒を飲みました。

これからは、どこで唄っていても360°見晴らしの良い状態で常に聴いてくれているわけですね。あんまりダメ出しされないようにうたいます。それから鰻を食べに連れてってくれる約束だけは、お預けね、久我さん!

 

 

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おまけの9月1日

昼、渋谷にチリのクラウディオさんに会いに出かけました。

昨日やっと歌詞が定まった曲「クラウディオさんの手」を聴いてもらおうと、そして美味しい料理を食べに。

レコーダーの歌を聴きながら何度もありがとうと言われて、お土産に沢山のエンパナーダを持たせてくれました。

今度は友達を誘ってくるからね。

 

つい最近河出書房新社から発刊された雨宮処凛さんの本「難民、移民のわたしたち~これからの共生ガイド」を読みました。この本にもクラウディオさんのことが紹介されています。