うまれかわるのは | よしだよしこ here now

うまれかわるのは


 

12月2日岡山禁酒會舘にて

 

いつものホテルに連泊して、美味しい朝食を食べて、洗濯をして、散歩して、昼は近くのカフェでカレーを食べ、ゆっくりと用意をして歩いて1分の禁酒會舘に出かける。この前日の休日には岡山駅近くのイオンシネマで「この世界の片隅に」を観た。

なんて贅沢なことでしょう。岡山ではこういうことが時々できる。ご褒美みたいな時間。

禁酒會舘のマンスリーライブはこの日で190回目。20年の歴史。

Ozaki unitの「小さな館」からいつもの始まりかたなのだけれど、ここからゆったりと客席が埋まっていく雰囲気が好きだ。この夜初めて聴いた(もしかしたら以前聴いていたのかもしれないけれど、この夜はじめて心に飛び込んできた)「君を想う」で私は出番の前に涙が溢れてきてどうしようもなくなった。尾崎ツトムさんの詩に川崎草汰さんの曲は美しい。困難な道を敢えて選んで歩き続ける者への愛情こもるエールの歌。歌は凄いな、唄う人から放たれて聴く人の心の中に届いて、そしてまた素晴らしい光を放ってひろがっていく。この日私の新曲の中にも似たタイトルの歌「私があなたを想うとき」があって、禁酒會舘の190回ライブの夜が膨らんでいくような感覚がやってきた。

沢山のお客さま、遠くからも、そして毎回を楽しみに集う人。200回目の再会を約束できたこと。豊かな時間。みなさんありがとうございました。

 

12月3日鳥取鹿野町 しかの心にて

早朝にてけてくパンの勝部さんがホテルに迎えに来てくださり、新庄村の勝部宅で奥さんの八津美さんと運転を交代して鹿野町まで。途中、倉吉の近辺ではブルーシートに覆われた屋根の家が目についた。10月21日の地震の被害で瓦屋根が軒並み崩れた地域。

しかの心は築80年の縫製工場跡を利用している木造の建物。主宰は鷲峯おろし女子部。

これまで何回もお世話になっている鷲峯おろし音楽会実行委員会の中心者の岡田さん武部さん土橋さんたちを実際にほんとうに支えている女子部の奥さんたち皆さんが呼んでくださった。鳥取で仲良くなったひとたちが集まってくださった。そして早めの時間に終わった後は土橋さんの家でたくさんの人たちとのごちそうと歌の時間。女子部の料理はいつもながら素晴らしくて、セイコ蟹で出汁を取った鍋には沖ギスのすりみが入っていて、長かった旅の最終日に体がいっぺんに解れていった。旅の間に声が出なくなって、それを抱えて治しながら、かなりエネルギーを使ってしまった。一番先に隣の部屋に敷いてもらった布団でうとうとしながら、男子部の唄やギターが子守歌になった。

一年に一度か二度しか会えない人たちとの交流はまさに一期一会のおもいで臨みたい。鳥取に来るようになったのがこの5年ほどのことで、体調が悪かったり、回復したと思ったら風邪の時だったり、それでも入れ代わり立ち代わり皆さんのお宅に泊めてもらいながら少しずつ仲良くなった。今回も思わぬ拍子に米子の大森さん夫妻の車に乗せてもらいながら自分の歌の背骨にあるものの話になった。大事な話というのは帰りがけの玄関先で靴を履いているときとか、こうやって空港に近づいたときなんかにできたりするんだな。

空港へ送ってもらいながら途中、土橋さんのお店STREAMというアウトドアショップを皆で覗き、私は真新しいパタゴニアのリュックサックをプレゼントしてもらった。旅は続くんだ。

 

12月6日美濃加茂ワンダーランドの渡辺修さんが亡くなった。犬山ふうの小川さんから電話で教えてもらった。修さんと最後に話したのはその2日前。修さんがずっと気にしていたギターのことを話した。修さんが頼んでくれていたギターをヤイリの工房で小池さんがつくりはじめてくださっていることを二人で喜び合った。来年はそれで唄いに行けるね、と笑いあった。

8日の夜、美濃加茂のお通夜に行った。Greatfull DeadのTシャツを着て棺の中で眠っていた。

亡くなった人に話しかけることはいつだって「ありがとう」と「がんばるね」という約束だ。

 

長いツアーが年内はないのだと思った瞬間から体の表面に様々な不調が出てきた。

風邪をぶり返したかと思っていたら、帯状疱疹だった。頭に出てきて、顔にもぽつっと発疹があって、ものすごく痛かった。目などに入っていくと厄介と言われたが広がりはしなかったので抗ウイルス剤を処方してもらって数日休んで

12月16日の高田馬場の琉球館での中川五郎さんのライブにゲストで参加した。

はじめての琉球館、五郎さんとはミーアンドボビーマギーやだびよんの鳥も唄えてマンドリンの矢野さんとも合わせてもらい、交流会の美味しいごちそうと会話を楽しんで、この場所に何度も来て朗読をされたりしている石川逸子さんのはなしを主の島袋陽子さんとできた。

元気に唄えたので大丈夫と思っていたら、翌日の朝、耳とのどの激痛で目が覚めた。特に耳の近くを走る末梢神経に痛みが走ると、何も手につかなかった。

17日はパギやんこと趙博さんの還暦祝いライブのゲストだった。静かに静かに歩いて電車を乗り換え向かった。

それでもパギやんの歌と朝鮮の古楽器奏者の朴グンチョンさんの打楽器や擦弦琴の音色を楽しんで、板橋文雄さんの真摯なピアノを堪能して、私もしっかり唄わせてもらった。打ち上げは遠慮して翌日に備えてとにかく早く寝た。

よく18日は茅ヶ崎BOTCHY BOTCHY。杉本さんがセットしてくださったが、声がかすれていて無理はできなかった。

それでも、初めて聴いてくれたかた、2回目のかた、遠くから来てくれたかた、みんな優しかったから、のんびりと唄うことにした。店のメニューの鍋焼きうどんが弱った体に効いた。四国松山スタイルのアルミの鍋のうどん、甘い出汁がよかった。杉本さんとのセッションは4回目、砂の唄、サリーアンのマンドリンとのアンサンブルが落ち着いてきた。家までの遠い道のりを送ってくださり本当に助かった。

 

休みの3日間は、ともかく何もしないで養生することだけに専念した。

痛みはその間に消えていき、発疹もなくなったけれど、とても疲れた。ウイルスと戦った体は本当に疲れていた。だから鼻や耳や喉の炎症も完全に収まらず食欲がなかったので、久々に甘酒をたくさん飲んだ。寝る前にも飲んだら翌朝顔の肌がつるっとしていて、やっぱり効果はあるもんだなと感心した。お酒も欲しくなくて珍しく甘いものが欲しかった。

ツアーの最中でなくて本当に守られたが、体の赤信号だから、養生するしかない。

 



21日冬至、なんとなく体が軽く感じた。季節の大きな節目、かぼちゃは毎日のように食べていたけれど、買い足そうとスーパーに行ったらすごく高かった。

 

12月22日立会川 音市にて

生暖かい日。夜からは雨になるという。沖縄の冬のようだ。

音市の貴島さんはいつも私に好きにやってねというだけなので、ほんとうに気を楽にして唄った。

ここはお客さんも唄う人が多いから空気がつくられる。気持ちは楽だったけれど、緊張感もある。拍手が分厚い。ムーンリヴァーのときに貴島さんにギターを弾いてもらった。今年はこの店では悲しいこともあったけれど、みんなで乗り越えてきているんだなぁと感じた。

大森の風に吹かれてで四角佳子さんと青木まりこさんのライブが重なっていて、ちょっとだけ顔を出しておけいさん、常富さん、まりちゃんに挨拶をして表に出たら大粒の雨。本当に沖縄や東南アジアの冬の雨の匂いだ。最寄り駅のタクシー乗り場に長蛇の列。最初の5人分くらいには屋根がある。楽器ふたつがどんどん濡れてきて心配になってきたけれどタクシーは全く来ない。思い切って前の男性に荷物を濡れるままにできないので申し訳ないけれど屋根のあるところで待っていても良いか?と尋ねたのだけれどほとんど反応がなかった。確かにマナーとしては私のほうが違反なのはわかっているのだけれど、無反応は困った。その前の女性二人組にも話したら「はぁ、、」というだけ。もうびしょびしょだったから屋根のあるところに移動して一時間。暖かくて良かったと心から思った。

やっと件の男性の番になったので、すいませんでした、でも助かりましたと言ったら、突然「Can you speak English?」「We'r all waiting、we are all same  situation, you understand?」と強い調子で言われた。

「すみません、でも私ニホンゴワカリマス、私ニホンジンデス」と慌てて言ったら、

「なんだ、中国の人かと思った」と言ってすこしその人は少し落ち着いた様子になった。

きっとマナー違反をしている外国人と思ったのだろう。その解釈と納得の仕方も少しおかしいとは思ったけれど、しばらくしてから「もしよかったらお宅を回っていきましょうか・僕は会社の金で乗るんだから」と誘ってもらったが丁重にお礼を言って辞退した。

やはり楽器を持ってウロウロする者は腰低く、迷惑のかからぬように気配り細かく街を動かねばならない。家に戻ってからも気持ちはとても落ち込んでいた。何度も言うが暖かいことだけが救いだった。ギターケースは乾いた後ボコボコになってしまった。

 

12月24日御殿場RINCOLO

リンコロが新しくなった。ワクワクその日を待った。

久我さんが埼玉から車で国立の中川五郎さんを乗せ川崎の私を乗せて御殿場まで連れて行ってくださった。病み上がりには本当にありがたかった。

東名インターからすぐの場所、まだ工事中のやぐらに囲まれた大きな箱は主のタカさん家族の住居と一階がライブハウスという素晴らしいスペース。リハーサルで感動した。音の迫力とステージの存在感。 天野エリカさん・カウチポテトさん・クロキユウタさん、三人三様の素晴らしいステージ。若いひとが素晴らしい。そして客席も若い家族がたくさん、だから小さい子供たちが賑やか。それだけで希望が溢れている。みさえママからのリクエストTooLateLoveComesをうたって、子供の話をしながら凧をうたった。五郎さんが唄う頃には子供たちは少なくなっていたけれど「彼女は山からやってくる」ほんとうに素晴らしいバージョンで唄う五郎さん。途中に御殿場アウトレットモールやそこで永原元ちゃんにブルガリをねだるよしこちゃんとか登場する。こんなすごいの唄いきる人は五郎さんだけだ。SHIMEさんのソロに元さんのジャンベ初めて生で聴けた。来年2月に再び来るときにはどこまで変化しているのかな。参加させてもらって光栄でした。帰りは私が1時、五郎さんは2時、久我さんは午前3時を過ぎていたことでしょう。ありがとうございました。

 

12月25日綾瀬にてプライベートな忘年会。子供たちもいて、沖縄料理のおいしいのをいただいて、みんな酔っぱらっていて、ギターは持参したけれど結局使わずじまいでちくわくんのを拝借した。シバさんが弾いた後だったのでストラップがとても長くてギターはおなかのところにぶら下がった。誘ってくださった川原さんありがとうございました。

 

久しぶりに祖父母の墓の掃除をしに行った。実家のない私にはこの界隈がちょっと懐かしい場所。とても住むことはできないけれど、高輪,白金。

お墓のおかげでちょっと良い気分にしてもらえる。

 

12月30日亀有kidboxにて

この5年ほど12月30日はこの場所で唄い納めとなる。

今回は予約の人が多くて、あまり多すぎると入りきれないし、混雑するところが嫌な人もいるから、残念だけれどもまえもってお断りした人もあった。

事故のおこらぬように、全員が楽しんでもらえるようにと祈った。

10にんでもぎゅうづめなのに16人となった。店内を整理して階段にも座ってもらい、それでも2時間半窮屈ながら聴いてもらえた。おかげさまで終わってからもそのまま忘年会のように、そして大騒ぎではなく、飲む人も飲まない人もなんだか自然にみんなで過ごすことができたこと、ほっとした。

最初は自分の歌、2部は素敵な日本のフォークシンガーの名曲、3部は最近つくった歌。

主の鷲見さんが店に座れずに寒い路上観戦となってしまったけれど、遠くからも、またこの夜を楽しみに来てくださった方も、差し入れしてくださった人も、みなさん本当にありがとうございました。だびよんの鳥「来年もよろしく♪」とうたいながらの唄い納めはなんと幸せな時間でしょうか。

 

今年読んだ本のなかで印象に残ったもの

ローラ・インガルス・ワイルダー全9巻、

ローズ・ワイルダー・レイン2冊

カレン・ヘス作品3冊、

星野道夫著作集4、

ロバート・ニュートンベック豚の死なない上下、

法華経の智慧上中下巻、

緑の革命と心の革命、

新たな地球文明の詩を~タゴールと世界市民を語る

etc.....

 

とてもよく聴いたアルバム

Balm in Gilead

The Other Side of Desire  by RLJones

In The Dark          by Greatfull Dead

Black Diamond                 by RINKA

The Honeysuckle Vine       by Leandra Peak

Get Your Phill                  by Disappear Fear 

これがすべての終わりとしても by 笠木透と雑花塾

etc.....

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