東京ジョイポリスは屋内コースターや大型体感アトラクション以外にも、映画(近年はアニメ)とコラボしたアトラクションがあるのも特色の1つです。1996年の開園から2020年現在まで、その時代を代表する作品とコラボしたアトラクションが数多く登場しています。本稿ではその移り変わりや各アトラクションの情報をまとめました。サウンドホラーアトラクションの歴史はこちら

 

なお、各アトラクション(サウンドホラーを除く)の製作は「(株)渡邉油化」(前身である会社も含む)が行っています。

※東京ジョイポリスのアトラクションの一部が「渡邉油化」というのは一般的には周知されていないですが、2020年6月になってパーク内のアトラクション待ち列モニターにもCMが流れるなど露出が増えてきました。なお、運営的には渡邉油化のアトラクションは「テナント扱い」で、スタッフもジョイポリスとは別所属になるらしい。

 


※2002年「メン・イン・ブラック2」までは実際に体験していないので、当時のニュース記事や他の方のブログを参考に書いているため、信憑性についてはちょっとあやふやです。


〇「3rdフロア」(5F)コラボアトラクション
1996年7月開園当時より、3rdフロア(当初は"5階"と呼ばれていたことも。デックス東京ビーチは1階と2階が駐車場で、ジョイポリスのエントランス含むフロア店舗は3階から)の奥(アクアシティお台場側)はウォークスルータイプのアトラクション枠でした(当時は左側と右側2つあり、2002年「メン・イン・ブラック2」で1つに統合された?)。一番最初はコラボではなくオリジナル作品。


1996年7月(開園と同時)~
・「ウィアード・フォトスタジオ」

廃墟となった写真スタジオを巡るお化け屋敷タイプのアトラクションで、不気味な写真(心霊写真)を見て進み、最後の撮影で実際に自分が映った心霊写真が撮れる、みたいな内容だったらしい。

 

・「ビースト・イン・ダークネス」

巨大な怪物「ビースト」の襲撃を体験するアトラクション。前半はウォークスルーで所々に設置されたプロジェクターにて映像でビーストが襲い掛かってくる、後半はライドに乗りビーストが獲物を食べるリアルな音や水飛沫等の特殊効果を体験する内容だったとのこと。

 

何回かリニューアルをしており、最終的には後半のライドが無くなりウォークスルータイプのみとなり、ビーストのアニマトロクスが設置されるようになったらしい。

 

恐らくですが、後半のライド部分は後に「ホラーライド」というシミュレーションライドにリニューアルされたと思われます。そして「ホラーライド」は2004年7月に現在も稼働している「ワイルドウイング」へリニューアルされている。


1999年7月
「リング ウィルス感染ツアー」
「ウィアード・フォトスタジオ」のリニューアルで、当時大ブームだった「リング」(貞子)をモチーフにしたホラーアトラクション。サウンドホラーも同時オープンした。


1999年12月
「リング0 ~愛と恐怖~」
2000年1月に公開された最新作「リング0 ~バースディ~」に合わせたリニューアル。映画公開より1ヵ月先行してオープンした形に。


時期不明(1998年~2000年頃?)
「マッドストリート」
上記の「ビースト・イン・ダークネス」のリニューアルで、西洋ホラー系のお化け屋敷?


2000年4月
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」
上記の「マッドストリート」を、当時大ヒットした同名映画の内容にリニューアル。映画で行方不明となった学生らを追って曰くつきの森へ潜入するという内容。今回は1組ずつではなく何組か一緒にロープを持って行動する方針。終盤アクターの脅かしもあったようです(映画には具体的に幽霊や怪物等は登場しないので、全くのオリジナル要素)。


2000年12月
「弟切草」
ゲームではなく当時公開されていた映画版とのコラボ。"世界初 出口探索型お化け屋敷"という触れ込みで、分岐点がいくつかあって迷路みたいな構成だったようです(迷ってしまうほど複雑ではなかったみたい)。


2001年7月
「エボリューション」
上記「弟切草」のリニューアル。映画に出てくるエイリアン的なモンスターが出てきたらしい。


「ダークゲート」
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をオリジナル作品にリニューアル。遺跡探検風に。終盤にはいくつかある扉から1つだけある正しい扉を選んだり、アクターの脅かしもある。

 

2002年7月以降についてはこちらを。

 

 

〇3rdフロアコラボアトラクションその2
2003年の「スカイハイ」を皮切りに3rdフロアお台場海浜公園駅側、現在「ローラとカーラの美嬢面接」がある所にもコラボアトラクションが設置されました。


2003年10月
「スカイハイ」

アトラクションは設定のみを取り入れたオリジナルストーリーで、自身が「陰湿な嫌がらせに遭い、殺されたアイドル」となり、入口の「怨みの門」を通り、荒らされた楽屋やいたずら電話、事故に見せかけてスタジオ機材に潰されて殺される様子など生前の記憶を追体験し、随所随所にアクターも飛び出してきます。最後は「釈由美子」さん演じる門番が映像で登場し、3つの扉から好きなルートを選択します。

「生」:天国で再生を待つ。
→青い壁の通路に、アイドルソングが響いている(天国でアイドル活動をしているという設定)。 


「行」:現世で彷徨い続ける。
→赤い壁でおどろおどろしい通路を進む。エアーぐらいで特に脅かし等はなし。通路の窓からは下記の「逝」の部屋が少し見える。


「逝」:現世の人間を1人呪い殺し、地獄へ逝く。
→葬式会場みたいな場所で、棺桶から人形が飛び出してくる。ここのみ再びアクターの脅かしがある。

なお、「釈由美子」さんのサイン及びその時の写真は2020年現在も同所付近の柱にあります。

 

2004年6月頃終了し、跡地は「ムシキング・ワールド」ができましたが、ウォークスルーではなく小型のシミュレーションライドと本物の昆虫が展示&触れ合い体験ができるアトラクションでした。
 


2004年12月
「着信アリ2」

入口で携帯電話(当時スマートフォンはまだなく、折り畳み式のガラケー)を渡され、途中で「呪ってやる…」の文章と不気味な顔の写真と共に電話がかかってくるという演出がありました。それ以外は至って普通のお化け屋敷って感じでしたが、お化け役のアクターが勢いよく飛び出してくる脅かしではなく、すぅ~っと出てくるのが妙に怖かった記憶があります。


2006年4月
「着信アリFinal」

映画シリーズ最新作が公開されたのに合わせたリニューアル。造形物が変わったくらいで基本的には上記「着信アリ2」と同じ、携帯電話を渡される→途中で電話がかかってくるのも同じ。
前回は"画像なし"で無機質な携帯電話の待ち受けだったのに今回は映画の壁紙と俗っぽくなったり、上記のすぅ~と出てくる脅かしが普通の飛び出し来る脅かしになったり、個人的に良かったと思った点が殆ど無くなっていたのが残念でした。また、アトラクション体験中普通に「控室のスタッフ同士の雑談」が聞こえてきたり、アクター役もただいるだけ(脅かさない)時もあったりと、妙に労働環境が悪かったのも気になった…。

 

なお、このアトラクションは2007年6月に終了後、同年夏に東武動物公園にて造形物をほぼそのまま流用した(一部再構成及び着信アリの設定を無くして)「お化け屋敷 呪」として営業していました。

 

 

2007年7月
「忌火起草」

 

ゲーム発売より先行してできたお化け屋敷で、ヘッドフォンをつけて音と実際の体験がシンクロするのが売りでした。なお、音声は一部を除いてゲームの流用とかではなくオリジナルで、声優も渡邉油化所属スタッフが担当していたらしい。

 

アトラクションでは、最初にスタッフからゲーム中に出てくる「ビジョン」という、所謂”危険ドラッグ”のスプレーをかけられます(ゲーム中では普通に食料タイプでしたが、アトラクションでは都合上スプレーに)。

ビジョンとは、かつてとある製薬会社の女性薬剤師が忌火起草を原料とした薬であり、その薬は副作用が強く死亡者も出た事から、被害者やその遺族は女性薬剤師を恨み、灯油をかけ火をつけ殺害してしまう。それ以来、ビジョンを接種すると殺された女性薬剤師に呪われ、最後は黒焦げになって死んでしまう、というのが大まかな設定です。

(ゲーム本編終盤で、ビジョンはなんと人間を焼いて出た油を原料としており、女性薬剤師は亡くなった恋人を蘇らせるため?、ビジョンを作っていた事が明らかになります。)

 

アトラクション内部は、ゲーム終盤に出てくる、女性薬剤師がビジョンを製作していた、周りに忌火起草が生い茂る屋敷(研究所)からスタート。女性薬剤師の似顔絵が描かれた肖像画の間や、廊下ではヘッドホンから「あなたは、誰?」という声が聞こえ、その瞬間に後ろからアクターが追いかけてくる、最後はビジョンを作る人間の油を集める釜(上に人間らしきものが吊るされている)がある部屋で、そこでも最後アクターが追いかけてきました。

 

なお、その後ゲーム(PS3版)は2007年10月に発売、その後2008年8月に移植&追加シナリオのwii版が発売されましたが、その追加シナリオで物語の衝撃的な結末が明らかになっています。

なんと、上記の物語は全て主人公の妄想で、主人公は自分の過失からヒロインや友人を事故で焼死させてしまった罪の意識から逃れるために、ビジョンの呪いでみんなが焼け死ぬという物語を作る事で現実逃避をしていたという・・・(詳細はこちらを参照)。
 


2008年7月
「ヤッターマン ~インチキ遊園地、ドロンジョイポリスだコロン!~」

当時2008年1月から放送中だった新作アニメ「ヤッターマン」のアトラクション。こちらはアテンド役スタッフと共に「ヤッターマン」側ではなく「ドロンボー」側として、"インチキ遊園地「ドロンジョイポリス」"に潜入し、設備を壊した弁償として?遊園地で働かされているドロンボー一味の代わりに秘宝?を盗み出し、最終的にヤッターマンに見つかって倒される…という内容。秘宝はたくさんあるうちから1つ選び、最後それが本物か答え合わせがありますが、確かどれも偽物だった気がします。

 

全体的に内部が暗く、演出も少なく、キャラクターはパネルと音声だけという余りにもショボく完成度が低いアトラクションで、全然人気が無かったのを覚えています。なお、自分の旧Yahooブログ時代のコメント欄にアトラクション製作の関係者と思われる方の書き込みがあり、それによると「本当に予算が無かったのでこうなった」、「(製作者である)自分でも恥ずかしい…」とのこと。

 

2009年6月頃に終了。跡地には2009年7月に「ローラとカーラの美嬢面接」ができ、2024年8月現在も稼働しています。

 

 

2012年7月、ジョイポリスはリニューアルオープンし、それと同時に「ローラとカーラの美嬢面接」隣に新たにコラボアトラクション枠ができました。こちらも企画・運営は「渡邉油化」。


2012年7月
「Another 死へのトビラ…」
当時2012年1月~3月に放送されていたアニメではなく、同年8月に公開された実写映画とのコラボ。ですが、あくまで設定のみを利用した、内容はほぼオリジナルと言っていいものになっていました。

 

最初の教室でアクター演じる「担任の教師」から、このクラスに死者が紛れていることが説明されたあと、次の部屋で1人ずつ「ロッカー」の中へ。入る前に全員で写真を撮ります。

 

みんながロッカーの中に入ると、教師は死への恐怖から生徒(お客さん)をみんな殺して自分だけ助かろうとする、が不可思議な力(?)が働き、ロッカーは激しく傾き、教師はどこかに消えてしまう。次の部屋で首を吊っている教師が現れ、先ほど撮った写真を見ると1人消えている(映っていない)… という内容でした。

 

この1人ずつロッカーに入って演出を見るという内容は、下記の「四十五番目の話」及び2019年の「貞子」にも引き継がれました。


なお、香川県にある「ニューレオマワールド」では同年夏休み限定のアトラクションとしてアニメ版の「Another」をモチーフにしたウォークスルータイプのアトラクションが運営されました(製作は同じ渡邉油化)。


2014年3月
「四十五番目の話 ~死への誘い~」

ラジオドラマ「四十五番目の話」とコラボしたアトラクションで、声優の「柿原徹也」さんが声で出演します。内容は上記「Another」と概ね同じ流れですが、ロッカー内でヘッドフォン(無線式?)をつけるところが異なります。


2014年11月
「寄生獣 ~Are you a Parasyte?~」

当時公開されていた実写映画版とのコラボ。部屋の中にて窓(映像モニターになっている)の外にて寄生獣に取りつかれた男との戦いを見ながら、ギミック等で体感するアトラクション。窓のカーテンを閉めたり、窓が開いてアクターが飛び出す演出もありました。


2015年12月
「Zombie Zoo ~ゾンビ収容所見学ツアー~」
こちらはオリジナル作品。最初にゾンビに関する解説のシーンが追加されましたが、メインの演出は上記の寄生獣と概ね同じ。


2016年7月
「捜索不能」

こちらはタカラッシュの謎解きアトラクション(スタッフ及び運営は渡邉油化?)。部屋の中の数々の仕掛けを制限時間8分内に解くというもの。最初は謎解きというより基本的に指示された通りにパズル等の作業をしていく感じですが、最後の「手提げ金庫」は偽物で、よく考えなければ解けない構成でした。

金庫をよく見ると、裏にピクトグラムの指示があって、それに従うと大金庫のストッパーが外れて本物の金庫及び中に入っている「宝」を入手できる。


2018年7月
「東京喰種トーキョーグール:re 喰種犯罪対策セミナー~ジョイポリス区の罠~」

部屋の中にて椅子に座ってヘッドホンをつけ、最初はアニメ映像に合わせてアクターによる演技、部屋が暗くなってメインであるサウンドホラー(内容はややグロテスク)、後半はアニメ映像にて本編先頭シーンのダイジェストを見るというもの。最後もアクターによる脅かしがありました。

 

モチーフの「東京喰種」のブームがやや去った時(アニメは2014年、実写映画も2017年に既に公開されていた)ということもあり、当初人気はいま一つだったようですが、当時「ASMR」が徐々に流行し出した事もあって、稼働後期になるにつれ人気を盛り返していったとのこと。

 

2019年7月
「きっと来る… 貞子 ~呪い占いの館~」

 

最初に「呪い占い」というのを体験したら貞子を呼び出してしまい、ロッカーの中に1人ずつ入って外で(映画本編を使った)映像や貞子(アクター)の脅かしを体験。最後はあの”井戸から這い上がる貞子”の映像の後に本物が・・・ という構成。前述のよう「Another」や「四十五番目の話」と同じ仕組みです。

なお、モチーフになっているのは2019年5月に公開された映画「貞子」で、池田エライザさん演じる主人公が”貞子の生まれ変わり”とされる少女と接触、またYouTuberとして活動している彼女の弟が貞子に関連する心霊スポットに動画撮影に行って行方不明となり、それらに巻き込まれて貞子の呪いを・・・ みたいなストーリーです。

 

一応「呪い占い」関連の描写や「(ロッカー等の)物陰から貞子を見る」というのは、映画から取り入れられた要素らしい。

 

2024年8月現在も稼働中で、既に5年以上という長期運営になっています。