きよの漫画考察日記2354 大長編ドラえもんvol16 のび太と銀河超特急 | きよの漫画考察日記

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我が家の本棚のマンガを1冊づつ考察中。
ちなみに3,000冊近くあります...

さーて大長編ドラえもんの第16弾。のび太と銀河超特急!
てんとう虫コミックス20巻収録の「天の川鉄道の夜」を元にした作品ですな。評価は…まあ読んでから決めましょうか。

コアラ

さてミステリー列車に乗り込んだドラえもんとのび太、ここで早速今回のゲストキャラクターが登場。
銀河超特急車掌、その声はシティーハンター の槇村香と同じです。せめて名前くらい付けてあげればよかったんですけどね…

そして早速危機に直面する一同。
スネ夫のはいわゆるメタ発言というやつですが、まぁ藤子不二雄作品においては珍しいことではありません。あの手塚治虫もよく使っていましたからね…

そんなこんなでこの道具。
ぺたり手ぶくろとくつ!
ちなみにこの「ぺたり手ぶくろとくつ」が初めて登場したのは1970年。それから25年が経ってこの銀河超特急で再登場となったわけですが、これは藤子不二雄存命中に限れば再登場までに最もブランクがあったひみつ道具ということになります。だから何だというわけではありませんが。

そして再びゲストキャラ。
ボームさん、その声は塩沢兼人。ガンダムのマクベ 、北斗の拳のレイ、キン肉マンのジェロニモ 、聖闘士星矢の牡羊座ムウ、当時少年だった我々には忘れられない声優ですね…

そんなこんなでのび太達がたどり着いたのは、銀河の果てに作られた遊園地「ドリーマーズランド」
いずれこんなのも実用化されるかもしれませんね。もちろん便利でしょうけども、人間はどんどん怠け者になっていっちゃうかもな…

さてこんな宇宙の果てに遊園地が作られたのには理由がありました。

観光開発による地域経済活性化というのは現実においてもフィクションにおいても難しい問題だということです。もちろん上手くいく例もあるけども、全く成果が上がらなかった税金の無駄遣いの例も山ほど有りますからね。人を呼ぶというのは思ってるよりも難しい事ですよ…

さてこのドリーマーズランド、西部劇・恐竜・メルヘンといったアトラクションの他に忍者のアトラクションもあります。
前作であるのび太の創世日記が内容的に難し過ぎたという反省から、この銀河超特急は子供が楽しめる内容になっているそうです。西部劇・恐竜・忍者なんてのは子供達の大好物ですからね、そんな大好物をまとめて詰め込んだのがこの銀河超特急という作品です。

しかしここで今作の敵がスネ夫に寄生しちゃいます。
寄生生物ヤドリ、大長編としては珍しいタイプの悪役が出てきましたね。ちょいと暇なので過去の大長編シリーズにおける悪役を振り返ってみましょうか。
恐竜 ドルマンスタイン 記念すべき初悪役。悪趣味な金持ち。
宇宙開拓史 ギラーミン 宇宙一の殺し屋。それをタイマンで倒したのび太恐るべし。
大魔境 ダブランダー大臣 木製戦車で世界を征服しようと考えていた井の中の犬。
海底鬼岩城 ポセイドン 海底火山が噴火するたびに世界を滅ぼしかねないポンコツ防衛システム。
魔界大冒険 大魔王デマオン 部下のメデューサの方が強そう。唯一の弱点の心臓をなぜか宇宙空間に放置しっぱなし。
宇宙小戦争 ギルモア 部下である長官ドラコルルがあまりにも優秀。だがいかんせんサイズが小さ過ぎる。
鉄人兵団 メカトピア 火力ならドラえもん史上最強。丸ごと歴史から消し去ったドラえもん達の対抗手法はある意味残酷。
竜の騎士 地底人 敵と呼べるかは難しい。とはいえ巨大隕石を敵とは呼べないだろうし…
日本誕生 精霊王ギガゾンビ ドルマンスタインに次ぐ未来人の悪役。仮面を取ると出っ歯のおじさん。
アニマル惑星 ニムゲ同盟 劇場版ではコックローチ団という酷い名前に。でもコックローチ団総長の素顔は無駄に超美形。
ドラビアンナイト アブジル&カシム しずかちゃんにムチを打つというある意味最低の行為を行った悪役。
雲の王国 密猟者 密猟者が敵なのか、天上人が本当の敵なのかは微妙なところ。
ブリキの迷宮 ナポギストラー一世 独裁者ではあるものの、ロボットの側からすれば偉大なる解放者か。
夢幻三剣士 妖霊大帝オドローム 主人公のび太とヒロインしずかちゃんを完全に殺害したのは後にも先にもオドロームだけ。
創世日記 昆虫人 敵?昆虫人は敵じゃないですわな。のび太達はただの観察者ですし。
銀河超特急 ヤドリ 最終的に全滅することなく撤退しただけという珍しい悪役。再登場あるのかも。

振り返ってみると組織力的に見てもやはり鉄人兵団が最強の敵でしたかね…

さて最終決戦前に腹ごしらえ。
ハンバーガーをフォークにぶっ刺す剛田武(笑)

さて脱出するためにSLを探しに坑道に入ったジャイアンでしたが…


ここが銀河超特急で一番盛り上がるシーンですね。忍者の修行シーンなんて物語のストーリーには関係ないと思わせておいてのこの展開、さすがは藤子F不二雄です。

そしてお約束の武田鉄矢
大長編ドラえもんと武田鉄矢とを切り離して考えることはできません。第1作のび太の恐竜から今作のび太と銀河超特急までの17作品のうち、実に16作品の主題歌を武田鉄矢が歌うもしくは作詞してますから。だがしかし 、藤子不二雄永眠と共に武田鉄矢も今作を最後に大長編の主題歌から引退してしまうんですよ。オールドファンにとってはこれが致命的な出来事でね、この後大長編ドラえもんの主題歌を担当したアーティストを見てみると矢沢永吉、SPEED、ゆず、スキマスイッチ、柴咲コウ、BUMP OF CHICKEN、Perfume、miwa、星野源etc…まぁ悪くはないんですが、主題歌という面から見ても大長編ドラえもんはこの銀河超特急という作品を区切りとして分類できるかもしれませんね…

そしてヤドリ大帝との最後の決戦。

のび太の大長編補正というやつですな。藤子F不二雄はこういった活躍までをも予期して、のび太の特技としてあやとりと射撃を設定していたのかなぁ…

そしてあっさりとラストカットへ。
自然保護等の警鐘を鳴らすことが多い大長編ドラえもんにおいては珍しく、この銀河超特急は純粋に子供が楽しめる作品として仕上げていますね。展開的には安定の藤子F不二雄といった感じですが、純粋な藤子F不二雄の作品としてはこの銀河超特急が最後の作品になってしまうんですよねぇ…