きよの漫画考察日記2090 ONE OUT第15巻 | きよの漫画考察日記

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我が家の本棚のマンガを1冊づつ考察中。
ちなみに3,000冊近くあります...

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宇宙人

さてリカオンズのオーナーに就任した東亜、しかしまずは球界1リーグ化の流れに立ち向かわなければいけません。
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1949年のプロ野球再編問題はまぁ複雑な事情が絡み合ってるんですが、簡単に言うと当時「プロ野球は儲かるぞ」という話になったので多くのチームがプロ野球への参入を望んでたわけです。そこで読売新聞社に対抗しうる勢力として毎日新聞社を参入させて2リーグ化しようというプランが立ち上がったんですよ。
そしてこれに賛成したのは南海ホークス・大阪タイガース・阪急ブレーブス・急映フライヤーズ・金星スターズの5球団。この5球団にはやはり反讀賣という気持ちがどこかにあったんでしょう。これに対し讀賣ジャイアンツ・中日ドラゴンズ・松竹ロビンスの3球団は反対。戦前からプロ野球を支えてきてようやく儲かるようになったところで新規参入なんて許せないというところだったようですね。
さてここで大阪タイガースが賛成派から反対派へと鞍替えし、2リーグ制賛成派4球団と反対派4球団に分かれたわけです。そして賛成派の南海・阪急・急映・金星は毎日オリオンズと西鉄クリッパーズ、そして近鉄パールスを加えて7球団でパリーグ結成。逆に反対派の巨人・大阪・中日・松竹は大洋ホエールズ・広島カープ・西日本パイレーツ・国鉄スワローズの4球団を新たに加えて8チームでセリーグを結成したんです。つまりセリーグパリーグとは「2リーグ化に反対したのがセリーグ、賛成したのがパリーグ」なんです。

その後、セリーグでは西日本パイレーツが西鉄に吸収され、松竹が大洋に吸収される形で現在の6球団のスタイルに。7チームで始まったパリーグでは高橋ユニオンズを加えて8球団になるもののその高橋は大映スターズに吸収され、その大映も毎日に吸収されることで6球団体制となったわけです。当初はセもパも同じくらいの人気を集めていたそうですが、セパそれぞれの盟主である讀賣と毎日には大きな差がありました。それは「テレビ媒体の有無」です。テレビでの放映がほとんど無かったパリーグは徐々に観客動員数を減らしていき、ついには1リーグ制移行という話が持ち上がってしまったわけですね…

そんな状況を察したプロ野球界の大権力者が動いたわけです。
{24F781EC-BF06-4DBA-9D31-DB88C10D5FD9}誰のことかは言うまでもありませんな。もちろん讀賣の渡辺恒雄です。そしてそのキャラクターはこのONE OUTSにも忠実に反映されてます。
{8B6A11E2-6B82-42B1-9926-8349E18E63CD}田辺常行!
まぁナベツネはプロ野球ファンからは相当嫌われてますが、俺はそれほどでもないです。好きだ嫌いだ言う前に眼中にないですもん(笑)

そんなこんなでオーナー会議に呼び出された東亜、各オーナーからその能力審査を受けますが…
{D96E49AF-24A0-458E-A474-390CBD6D1374}プロ野球に新規参入するための条件
①資本金1億円以上の日本の株式会社であること
②資本総額の51%を日本人が所有していること
③規模の整った専用球場を所有していること
④プロ野球実行委員会とオーナー会議から承認を得ること
⑤30億円の納入金を支払うこと
この5つです。まぁプロ野球球団を持とうとする企業にとってハードルとなるのはほぼ③と④だけですね。

そんなわけで東亜の新規参入を認めようとしないオーナー陣に対し、こんな譲歩案。
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成績不振を理由に監督やコーチが責任を取るのはよく見る光景ですが、オーナーが成績不振を理由に責任を取るのは見たことがありませんわな。まぁオーナーは球団の所有者である以上責任を取らないといけない相手がいないというのは当然の帰結でもありますが、ファンに対して責任を取るというオーナーがいても悪くはないですよね…

さて東亜がこの現状を乗り切るために導入したのはこれ。{37BD63F3-54E4-4AEE-B107-A4234CF5367D}Lチケット!
従来よりも入場料を倍に値上げ、もちろんそれだけならファンは離れていってしまいますが…
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ファン心理としては微妙なとこですな。もちろん贔屓のチームには勝ってもらいたいけど負ければ返金されるわけだし…でもお金を払って負け試合を観に行った時のあの喪失感を回避できるという意義は大きい。

そしてこのLチケットによる収入がそのまま選手の給料に充てられるので…
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チームの成績と連動した出来高払い、さすがに聞いたことありませんが…まぁ一軍選手の最低年俸である1500万円が保障されているのであればこういったタイプの出来高払い契約も許されるかもしれません。

さてここで東亜から「チームワークとは何か?」という質問。
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模範的な回答なんです。世の中のほぼ大半の人がチームワークという言葉の解釈としてはこんな感じです。がしかし東亜の考えるチームワークとはより本質的なところにあるんですよ…

さてこのLチケットシステム、試合での活躍度に応じて給料が分配されるので…{C4681D7D-0383-4A6B-B45E-CC8F984A84D5}
控え選手には不利なこのシステムですが…
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これこそが本当のプロの形なのかもしれませんけどね。年俸制、特に複数年契約を結んだ選手からは必死さを感じません。酷いのになると複数年契約を結んだ翌年から二軍暮らしなんてのもいますもんねぇ…

さて次の試合、今井が大活躍しますが試合に負けてしまったので給料は0。
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これはチームスポーツの中でも特に野球でよく起こる問題ですね。攻守が明確に分かれているがゆえに、特定の選手の活躍が勝利に結びつかないことが多々あります。これが逆に野球というスポーツにおいて個人成績が細かく数値化されている理由でもあるんでしょう。個人の活躍が勝利に結びつかない、それゆえにチームの勝敗だけでは個人の活躍が判断できないがゆえの個人成績なわけです。チームスポーツの中でもやはり野球というスポーツはちょっと特殊なのかもな…

さてこれでチームワーク最悪の状態の中、菅平が活躍を見せます。
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菅平が一二塁間に挟まれてる間に…
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こういう走塁ができるチームはホントに強い。優秀な走塁ができるランナーはたくさんいるんですよ、がしかしこういうランナーが揃ってるチームというのはなかなかないんです。チーム単位で足を絡めてくる健大高崎みたいなチームは見てて面白いんですけどね…

さてこの活躍で0-8から8-8まで追いついたリカオンズ、ここで一発打てればヒーロー確定です。
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プロ野球のダイジェストを見てても、その映像のほとんどは勝利打点を打ったシーンですからね…

そんなわけで試合後、再びチームワークの意味について質問する東亜。
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ここで菅平が少年時代の感覚を語ります。
{529CF308-E3D2-4B47-994F-36DA4F04F8C6}サッカーとかじゃ得点チャンスはなかなかDF陣には回ってこないけども、野球だとヒーローになれる機会がほぼ均等に回ってくるんですよね。これもチームスポーツの中ではなかなか珍しい事なのかも。

つーわけで皆の力を合わせるのがチームワークというのは間違いでした。
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{2CEBF7BD-F552-474D-AEFE-AD90BCACCC52}賛否両論あるところだとは思います。ただあれですな、真のチームワークという概念はスポーツの種類によって微妙に変わってくるのかもしんないな。テニスや卓球のダブルスに要求されるチームワークと、大人数でやるラグビーやアメフトで要求されるチームワークとでは意味合いが異なってくるでしょうし。まぁいずれにせよチームワークというものが最終的に目指すベクトルがチームの勝利という方向に向かっていればそれはそれでいいのかもなぁ…