前回までの記事で、パワハラ的言動を防ぐために「べき思考」を自覚しましょう・・・ということでお伝えしてきましたが、ご紹介した認知行動療法は、パワハラだけではなく、メンタルヘルスの予防や意識改革や多様な人材のマネジメントにも有効な手法です。
これだけの変化の時代ですので、今では誰もが自分の「べき思考」に無自覚に囚われていて、苦しめられていることもあるかもしれません・・・
そして、まじめな人ほど、「べき思考」に囚われてしまい、結果として
◆メンタルヘルスになってしまう
◆パワハラ的な言動を行ってしまいパワハラ行為者として責められる
◆部下のマネジメントがうまくいかない
◆育児・介護と仕事の両立で苦しくなる
という現象を引き起こしている要素になっているのではないでしょうか。
例えば、私自身の事例ですが、まさに「べき思考」に囚われて、育児と仕事の両立に苦しんでいた時がありました^^;
10年くらい前のことですが、子育てと仕事との両立を悩んでいた時代、一生懸命仕事をすればするほど、きちんと子供と向き合おうとすればするほど、どんどん苦しくなっていった時期がありました。
自分自身が苦しくなるだけではなく、抱えきれずに感情的にふるまってしまうということもあったように思います。例えば、学校の保護者会が平日の昼間にあったときに
「平日の昼間は働いているのに保護者会に参加なんてできるはずない!」
と反応していた記憶があります(・・;)。
そんなとき、この「べき思考」を探り、「べき思考」を多角的にみるトレーニングを行う機会があって、本当に、突然「はっ!」と気づきました。
自分の中に、確信度が高い「べき思考」が2つあり、その「べき思考」が相反する信念のため、引き裂かされるように苦しかったことを。
具体的には次の2つの「べき思考」がありました。
「家事・子育ては女性がやるべきだ」
「女性も一生責任をもって仕事をやるべきだ」
私自身、子供のころからの育った環境や社会の常識の影響もあり、「家事・子育ては女性がやるべきだ」の思考も根強く持っていました(実際やっているかは別の話ですが…(・・;)
一方、学生のころから、子供がいても継続して仕事をやり続けたいと強く思っていましたので、「女性も一生責任をもって仕事をやるべきだ」の思考もとても強かったのです。
しかしながら、この思考は、両方大事にしようとすればするほど、どちらも中途半端になる現実に苦しめられていました。
例えば一生懸命仕事をやればやるほど、「家事・子育ては女性がやるべきだ」の思考が出てきて家事・子育てをきちんとできていない自分を責めるということが起きます。
別のケースでは、家事・子育てをやることで仕事に影響が出てくる(例えば子供が熱を出して思うように仕事ができない等)と、「女性も一生責任をもって仕事をやるべきだ」の思考が出てきて自分を責める…
こんな状態を日常繰り返していたのです。今思えば、そりゃ苦しくなるはずだ…と自分でも納得してしまいますが(^_^;)
無自覚に2つの「べき思考」に囚われていて苦しんでいたところ、この「べき思考」に気づき、「べき思考」を多角的に分析して、自分が信じている思考が単なる思考であるということを認識できたことで、憑き物が落ちたかのように、気持ちが楽になり、ストレスが減りました。
相変わらず2つの「べき思考」は自分の中にあるのですが、苦しくなったり反応しているときに、「べき思考」が働いているということを自覚できるようになることで、「べき思考」に振り回されなくなり、自分をコントロールできるようになりました。
もちろん、
◆メンタルヘルスになってしまう
◆パワハラ的な言動を行ってしまいパワハラ行為者として責められる
◆部下のマネジメントがうまくいかない
◆育児・介護と仕事の両立で苦しくなる
のようなことが引き起こされる原因は、複合的な要因によるものだとは思いますが、その原因の1つとして、もしかしたら自分の「べき思考」にあるかも?!と気づくだけでも、まったく世界が違って見えます(私は実際にそうでした!)。
1人1人の自己理解とセルフコントロールが、これからの時代には必要になっていくのではないかと感じます。
繰り返しになりますが、特に責任の重い管理職の方々には、ご自身の「べき思考」に気づき、コントロールし、セルフコントロールの実践へとつなげていっていただければと思います^^