建設業における法定福利費確保のための標準見積書の作成方法とは? | 社会保険労務士吉川直子の人事・労務・人材活用実践ノート

社会保険労務士吉川直子の人事・労務・人材活用実践ノート

株式会社シエーナ代表取締役/社会保険労務士&ビジネスコーチ 吉川直子の公式ブログです。





先週から今週にかけて、建設業における社会保険未加入問題に関する講演会の講師を務める機会が3回ありました。



1つは熱海に近い函南商工会様主催で実施させていただきましたビックリマーク







そして残る2つは、東京都内のある建設企業さまにおける安全大会での講演会でした!!




平成23年から取り組んできたこの建設業における社会保険未加入問題について、いよいよ今年はラスト1年ということで、国の本気度もさらに上がってきていますが、やはり一番重要なポイントは、社会保険料をどこから捻出するのか?というお金のところです。



本人負担分は、本人に負担してもらわなければなりませんが、会社負担分(特に健康保険料と厚生年金保険料)をどう確保するか?という課題については、以前から法定福利費を内訳明示した標準見積書を使って保険料を確保しましょうという取組みが行われてきていました。



しかしこの標準見積書の利用については、はっきりいってこれまであまり(というかほとんど)利用が進んでいなかったのですが、今年に入って急激に利用が進んできており、一次、二次協力会社さんかるすると「法定福利費を内訳明示してほしい、と元請企業から言われたけど、どのように作成したらいいのかわからなくて困っている(>_<)」と混乱しているところもあるようですあせる



実は、民間工事においては大手ゼネコン企業、準大手ゼネコン企業、その他元請企業によって、法定福利費の内訳明示に使用する計算式を独自の計算方法で指定してきており(もしくは指定する予定となっており)、一次協力会社や二次以下の協力会社は、元請企業の指示にしたがって法定福利費を算出し、標準見積書に内訳明示をしなければなりません。


ところが、多くの元請企業では、現段階では法定福利費の計算式や対応方法についての詳細を決めている最中であり、具体的な指示をするまでは、一次、二次協力会社において算出した方法で内訳明示してほしい、とい流れになっており、どのように計算したらいいのか迷っている・・・というお声もお聞きしています。


そこで、今回の講演会では、主に二次以下の協力会社さんが、一般的な法定福利費の算出方法と標準見積書の作成方法について学び、上位会社さんへ標準見積書を作成提出できるようになることを目指した内容とさせていただきましたメラメラ








法定福利費を算出する原則の計算式は、【労務費総額】×【法定保険料率】となっています。



ですが、実際には、個人事業で5人未満の事業所や一人親方など、社会保険に加入しない人の分も含まれていますので、さらに【加入率(個人事業で5人未満の事業所や一人親方を除外した率)】を乗じて算出するように指示されるケースもあります。


また、元請企業によっては、【労務費】を「自社の実質賃金」や「公共工事設計労務単価」に置き換えて算出するように指示されるケースもあるようです。



おそらく多くの元請企業では、平成29年度(平成29年4月以降)からの社会保険未加入事業所の排除にむけて、法定福利費確保のための標準見積書の作成と協力会社への指導を進めていくため、2016年の秋(10月前後)くらいまでには具体的な計算式等の指導がされるかと予測されます。



とにもかくにも、加入すべき社会保険に加入しなければならない、ということは当然ですが、あわせて各協力会社さんは、法定福利費を内訳明示した標準見積書の作成も求められてきています。



弊社では引き続き、現在の旬のテーマにあわせた本テーマの講演や研修会の講師を承っておりますので、ご関心のある建設企業様はぜひお気軽にお問い合わせください!!



>>>>>お問い合わせはこちらからお願いいたします!