令和5年6月厚生労働省発行「地域自殺対策計画策定見直しの手引き」、「自殺総合対策大綱」変更箇所、自殺対策基本法に基づき策定され令和6年度から5か年を期間とする「第2次吉川市自殺対策計画」をもとに質問する。

 ①吉川市独自の点について
「自殺総合対策大綱」の変更箇所が「第2次吉川市自殺対策計画」重点テーマに反映されていることを確認した。支援体制のリソースなど、吉川市の特性に応じた独自の視点の有無、あればその内容を伺う。

健康問題、経済、生活問題、人間関係の問題のほか、様々な要因とその人の性格傾向、家庭状況、姿勢感などが複雑に関係しているため、自殺を防ぐには包括的な取り組みが重要であり、様々な分野の人や機関が連携する必要があるものと認識している。 その中で、市民に身近な行政の役割としては、市民に自殺に対する正しい理解と周囲への気づきや見守りを促すことや、生活困窮、健康、消費生活などの様々な分野の施策を通じて「生きることの阻害要因=自殺のリスク要因」を減らすことに努めるとともに、 窓口に訪れる方の相談においても、対応する職員や相談員が気づきを得ることも必要であると考えている。自殺に特化したリソースなどはないが、民生委員など関連が深い福祉団体のみなさまを中心に「ゲートキーパー要請研修」の開催などを行い、意識を高めていただいている。

自殺対策基本法の中で、「それぞれの地域の状況に応じた自殺対策」をと明記されている。自殺者が一人いても多く、少ないとは言えないが、吉川市で自殺した実人数から分析していくことはすごく難しい数。自殺者の背景を見ていくのは国のビッグデータを参考にして、答弁にあったように各窓口の方にゲートキーパーの目線を入れていただくことがまず必要だと思う。

先日の一般質問の中で自殺対策が取り上げられた。メッセージの発信、啓発はとても大事だと思いながら、発信に慎重になっていただきたいという観点から質問する。
大綱や、市計画にある「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す」というのはすごく分かる。そのために相談体制の充実、連携体制の強化、スクリーニングなどが実施されていくことを後押ししていきたい。が、「自死の多くが追い込まれた先の死」という言葉が強く、一人歩きしてしまったり…他議員の発言にあった「死んではいけないんだといった教育が必要」といった考え方に発展していくことには懸念を感じる。誰にでも起こり得る、追い込まれた先の死、として行政機関が強い危機感を持って対応に当たる、支援を充実させていくことは本当に重要だと思うが、死生観や希死念慮など様々な要因がある中で「死んではいけないという教育」が多くの人に押し付けられてしまうと、自死を選んでしまった方のご遺族や身近な方をさらにつらく追い詰めてしまうのではないか。遺された方々が「追い詰めてしまった」と自らを追い詰めるような強いメッセージになってしまうのではないか。そんな懸念を持ってる。行政発言ではなく、議会であった発言に対して私が勝手に感じてしまった懸念。人それぞれ考え方があり、それぞれの想いや行動を止めることはしないが、行政としてメッセージを出す時は慎重な発信が 必要だなと感じている。自殺防止のための啓発や発信は重要だからバランスが非常に難しいとは思うが、メッセージの発信の仕方、表現の仕方に慎重になっていただきたいと思うが見解は。

市計画の中でも「周知」は非常に大きな部分を占めていて、市としての役割も大きい。そんな中、この問題に関してはデリケートな部分が含まれているので、発信する言葉や表現を受け止めるご家族、ご友人などがおられることを踏まえ考えていく

計画の中でグリーフケアに当たる「残された人への支援」自死遺族の会の周知や自主活動の支援と書かれている。母数が少なく、市の中だけでの自主活動が発展していくというのは難しいのではと思う。計画策定の議論の中に、自死遺族の方がいらっしゃったと伺っているが、グリーフケアについてどのような話があがったか。

計画策定中、委員からグリーフケアに関して状況や自主活動の確認をするよう意見が出た。

詳細は。

市内においてグリーフケアの自主活動団体はあるか質問が出たが、把握している範囲ではなかった。

 ②市計画の名称について
「命支える(自治体名)自殺対策計画」など、計画の名称においてメッセージを前面に打ち出すことで、計画の趣旨などを広く理解してもらいやすくなると手引きに書かれている。市自殺対策計画の基本理念に「誰も自殺に追い込まれることのない吉川市を目指して」と示されてはいるが、計画表紙からも理念が伝わるような工夫・検討はされたか。

計画書の表紙には、基本理念をもとに「誰も自殺に追い込まれない吉川市を目指すプロジェクト」と表記した。 また、今後においても市が行う自殺対策に係る発信の機会と手段は様々あると思われるので、自殺の現状や自殺対策の理解が図られるよう、市民に分かりやすく伝わる工夫を行っていきたい。

プロジェクトという単語でどのような理念を持っているか、どのような意識を持っているかということを多くの人に知ってもらいたいのか。プロジェクトという単語に持たせた意味は。

基本理念は第1期と変わりない。2期から「プロジェクト」と表現させていただいたのは、自殺対策に関しては国、また県をはじめとして医療機関、各種相談窓口や地域の住民の方々、多様な主体がみんなでつながり、それぞれの役割を果たしていくことがとても大切と考えている。市もその一員を担うもの、とより強い意思の表現として「プロジェクト」とした。

 ③子どもの自殺対策について
学校における「SOSの出し方に関する定期的な教育」「タブレット端末の活用などによる自殺リスクの把握」が推進されている。既存の取り組みの有無、あればその内容を伺う。大綱見直しによる推進を踏まえ、今後どのように取り組みが変わっていくかも伺う。

「SOSの出し方を含む命の教育」として、 国や県が作成した子どもの相談関連のリーフレット等を配布する際に担任等から、教科指導において保健体育の授業等で心と体のSOS、悩みの相談先などについて、特別の教科・道徳や日ごろの生徒指導・人権教育など教育活動全体を通して生命の尊さ・大切さについて、それぞれ指導している。
各学校では学校生活に関するアンケート調査を定期的に実施し、児童・生徒の心の状況の把握に努めており、調査結果から、必要に応じて声かけや面談等を行うことで、児童・生徒の不安や悩みの解消・軽減を図っている。
自殺リスクの高いとされる長期休業明けの時期には、お子様を温かく見守り支えていただくとともに、不安や悩みがあれば遠慮なく学校に相談いただきたい旨を記載したメールを、学校から保護者に対して配信している。

「タブレット端末の活用等による自殺リスクの把握」として
学習端末からの不適切な検索や書き込みをブロックし、管理者に通知する見守りフィルターを導入し、自殺関連サイト等へのアクセスを防止するとともに、悩みを抱える児童・生徒の早期発見に努めている また、東中学校・旭小学校・三輪野江小学校の3校においては、学習端末を活用して児童・生徒の心や体調の変化を把握し、早期発見や早期支援につなげるための市独自の心の健康観察アプリ「心音(ここね)」の試験運用を進めている。
今後はいのちの安全教育を引き続き推進するとともに、現在、東中学校区3校で試験運用している心の健康観察アプリ「心音」を早期に全校に展開できるよう、課題等を整理していく。

心の健康観察アプリ「心音」の詳細と課題を伺う。

普段の学校生活の中で行動や態度でSOS を出すことのできない児童生徒の小さな心のサインをキャッチすることを目的に、 無償の google フォームを利用して教育委員会の職員が作成したもの。質問は3つとシンプル、1つ目の質問「今の気分に近いものはどれですかという」に対して「わくわく」「まあまあ」「いまいち」を表現したなまりんのイラストから選択。2つ目の質問「それを選んだ理由」に対して「学校のこと」「家庭のこと」「友達のこと」「体のこと」「その他」から選択。3つ目の質問「先生に伝えたいことがあるかどうか」に対して「ある」「 今はない」から選択。児童生徒が一人一台端末を使い朝の時間等に回答することによって、その情報が担任や管理職、養護教諭などで共有され チーム学校でSOSを早期発見、対応するというもの。 現在、東中学校区の3校で使用している東中では全学年、旭小では2学年、三輪野江小では6学年が使用しているが、今回使ってみたことによって継続的につらいという相談があるという子どもを平均して月5件拾い上げることができたので、担任が日常的に行っている健康観察を補完する効果はあった。今後は得られた情報をどのように活用していくかなど基本的なルールづくりが課題と考えており、これらの基準等の課題を整備して全校展開を図っていきたいと考えている。

先行しての独自の取り組みを評価する。朝の時間とおっしゃったが、毎日なのかとか週頭だけとか頻度はどうなっているのか。

毎日と考えている。

NPOライフリンク主催、自殺対策に関わる勉強会に参加した。そこで子どもたちのスクリーニングにおいて「自殺リスク評価ITツールRAMPS(ランプス)」を紹介いただきながら、自殺対策としては漠とした質問ではなく「自殺を考えたことがあるか」といった直接的な表現が有効とのことだった。その話を聴き、直接的な表現をすることでリスクの把握が確認できるのかなと思いながらも、自殺という手段を意識づけしてしまう可能性もあるのでは…と今回取り上げるにあたって悩んでいた。現状活用している子どもにとって答えやすいシンプルな「心音」活用をしていくとのこと期待する。
SOSの出し方を知るということは、自殺対策のみならずいじめや不登校など学校生活の中ではもちろん、これから先 生きていくために必要なスキルだと重要視している。特定の授業だけではなくすべての場面の指導に 含まれていることは承知しているが、特定の授業として行うのは対象や頻度がどのようになっているか。

学習指導要領や教科書に記載してあるものについては小学校5年生、中学校1年生の保健体育で 取り上げることとなっている。が、教育活動全体を通して「いのちの教育」を行っているので1人で悩みを抱えずに先生や友達、保護者、また専門家などに相談するように機会を捉えて頻繁に行っており、今後もそのようにしていく。

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非常に重いテーマで、一般質問中 何度も声が詰まりました。

私自身の経験とも重なりますが
自分がその道を選んでいてもおかしくないと思う方は少なくないはずで
防ぐことの難しさを痛感しています。

難しいからこそ
少しでも網目を細かくできるように

起こってしまった後に
遺された方々を追い詰めないように

自分で言っていても、
書ききれない気持ちを反芻しても、

矛盾を感じるばかりですが
綺麗に白黒つけるべきものでもないので

それぞれの方々の尊厳が守られるよう
慎重にあたっていただきたいです。