①各学校、市内各小中学校の判断の差についてこの中において、修学旅行や運動会などの事業、入学式や卒業式などの式典の実施において各学校の対応に違いがあった。特に大きな差異があったと認識しているものとその理由についてお聞かせを。

>コロナ禍が始まった令和元年度末から令和3年度においては多くの活動が制限されたことにより、学校によって学習活動や学校行事の実施方法などに差異があったが、これは実施時の社会情勢などを見極めながら、感染症対策と教育活動の継続の両立を図るために、慎重に判断した結果であると認識している。令和4年度においては、新型コロナウイルス感染症により中止した校外行事や宿泊行事はない。また、儀式的行事については、市教育委員会として一律に参加人数や時間についての指示は行っていないが、児童生徒の人数や体育館の規模、そのときの感染状況に応じて適切に対応するように指示した。

文部科学省初等中等教育長局より出された令和5年2月10日付通知「卒業式におけるマスクの取り扱いに関する基本的な考え方について」を受け、教育委員会が市内一律のものとして判断したものはあるか。また、この通知を受けた各校の班が判断はどうだったか。

>県教育委員会の方針に基づき、卒業式以外の学校教育活動は従来通りとすることや、体育の授業などの運動時や登下校時は基本的にマスクを外すことなど、メリハリのあるマスクの着用をお願いした。また、卒業式におけるマスクの取り扱いについては、十分な感染対策を講じた上で、児童生徒および教職員は式典全体を通じて、歌や呼びかけ以外はマスクを外すことを基本とする一方、来賓や保護者はマスクを着用すること、そして学校や教職員が児童生徒に対し、マスクをつけること、また外すことを強いることがないよう通知した。これを受け、3月15日に行われた中学校、3月22日に行われた小学校の卒業式において、特段の混乱もなく心温まる良い式典であったと聞き及んでいる。なお、4月1日以降については、先日文科省および改訂されたマニュアルが示され、学校教育活動において、児童生徒および教職員に対し、マスクの着用を求めないとされた他、具体的な活動場面ごとの感染症予防対策が強化や学校行事名などの別に示されたところであり、市教育委員会より、各校に対し、基本的にはこのマニュアルに沿い、教育活動を行うことを通知した。

(補足…質問の通告は2月末頃、卒業式がどうなるかまだ決まっていませんでした。口頭でのやり取りはもちろん、質問の通告で「通知に基づきながら最大限 模索・検討を」と強く出した感じです)

「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」のアップデート内容を確認した。マスク着用は任意、二酸化炭素濃度の測定といったところは見えたが、濃厚接触者の出席停止が変わらなければ、学校運営において緩まる部分が見受けられない、大きく変わらないのではとも思った。どうなるのか。

>「新型コロナウイルス感染が確認された場合の対応ガイドライン」が出されれ、その中でこれまで通り「出席停止の措置」や「濃厚接触者の特定について」と出ているが、下の方に「なおこれらに該当することのみをもって一律に出席停止の措置をとることを求めるものではない」という文書が加わった。なのでマスクを取って何m以内で何分話したからどう、と厳密にはやらないような形になる。休み時間の児童生徒の行動は教員の目が必ずしも届かないことから、児童生徒本人に感染症対策の考え方を十分理解させる、と書かれており、こども達に対してしっかりと話をせざるを得ない。小さな子にとっては難しいが…日々の子どもたちの健康観察は保護者の方にもしっかりお願いしていかなければいけない。

黙食について、市として各校に具体的に指示を出すのか。それともこの範囲であれば各校の判断で、となるのか。

>教室の大きさはほとんど同じなだが、児童生徒人数は各学校によってずいぶん違ってくる。黙食はしなくてもいいけれど大きな声を出さないでね、もし向き合わせにするなら1m以上離してね、というガイドラインの基準に基づきながら、学校それぞれで給食を行っていただく形になる。

ICT 機器活用状況や対応について、学校・クラスによって差が見られる。児童生徒の端末持ち帰り頻度、授業での活用頻度の違いについてご説明を。

>端末の持ち帰りは、登下校時の児童生徒への負担などに配慮しながら、少ない学年でも週に2回程度、多い学年では毎日持ち帰りを行っている。授業での活用頻度も、授業の内容や特性に合わせて少ない学校で少ない学級でも週に2回程度、多い学級では毎日活用している。

ICT 機器は必ず絶対使わなくてはいけないといったものではないとも思うが、教職員にとっても児童生徒の表現の点でもメリットがあると考えられ、高額な費用をかけて導入した。活用頻度を上げていただきたいと思っている。答弁にあった、持ち帰りや授業での使用頻度が週2回という数字を、良しとし改善不要と考えているのか、習熟度を上げ使用頻度を上げていくことが必要と考えているのか、お考えは。

>これからのデジタル社会を生き抜くためのこども達をしっかり育てていくためには毎日の持ち帰りを基本として考えている。教員に対しデジタルシチズンシップ教育や研修を充実させ、少しでも近付けるように努力していく。

ICT 機器活用状況や対応について、学校・クラスによって差が見られる。学校へ行けない行かない児童生徒へ、また学級閉鎖時のオンライン授業の対応、配信時間、内容の違いについてご説明を。

>様々な理由により登校できない児童生徒に対しての授業の配信は市内全小・中学校で実施しており、配信時間は授業数に換算して1日あたり4時間程度実施している。一方、感染症予防のために学級閉鎖などの臨時休業を行った場合、多くの児童生徒が療養している状況下で授業を進めることにより学習の進み具合に差が出てしまうことなどから、この間のオンラインによる授業配信は実施していない状況。

学級閉鎖中、多くの児童生徒が罹患しているかどうか、休みの期間毎日どの子がどんな状況であるか確実にどの学校どのクラスでも把握されていると認識していいか。

>学校によってバラつきがある。端末を持ち帰りさせ朝の会のような形で健康観察を行ったり、教委としてはそれが望む形ではあるが、中には体調が悪い子が多いから持ち帰りもせず「この3日間は休業しましょう」という形にしているところもある。

直近の2月、知人のお子さんのクラスが学級閉鎖になった時に「うちのクラスは朝の会の1時間だけだったけど、近い時期に学級閉鎖だった他の学校の子は1日に何時間もオンライン授業をやっている」とお話をいただいた。タブレット端末を活用してできる子は一度点呼を取る、こども達の状況を把握することが理想かと思う。活用を進められるようにしていただきたい。


②教員の負担軽減について
吉川市教育委員会教育長より、市内小中学校保護者宛に出された令和5年1月18日付「学校における働き方改革に向けた取り組みについて」に対し学校や教育委員会あて、また市民の声などで届いたご意見はあるか。

>今回配布した手紙では、勤務時間より前の朝の活動は原則として行わないことや、児童生徒が安全に登下校できるように地域での見守りのお願いをすること。さらに、緊急の場合を除いて、朝や放課後の時間帯に電話での問い合わせを控えていただくようお願いすることなどをお知らせした。保護者からは「部活動の朝練をなくしてしまうのは運動の機会が減るので残念」というご意見が1件、教育委員会に寄せられたが、教職員の働き方については、この方からも肯定的なお考えをいただいた。市教育委員会としては、教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、生涯を通じて学び続ける姿勢を持つことや、こども一人一人の学びを最大限に引き出すことができる教職員を育成できるよう、負担軽減を含めたさらなる働き方改革の推進に努めていきたい。

朝の時間や放課後の時間での電話は緊急時以外ご遠慮願う、といった内容について。元々保護者もそんなに電話したいわけではない。電話は先方との時間の同期が必要なもの。速報性が必要でない連絡であれば、オンラインでテキストベースのやり取りができたらいいという意見を聞いている。教員の負担軽減のために連絡の幅が少し狭まるのであれば、すぐに返信しないとか、就業時間以外の返信は原則しないといったようなルールを設定した上で、オンライン上で保護者と学校が連絡を取れるような仕組みを検討していただきたい。見解は。

>連絡帳でいいような気もするが、連絡帳がない学校もあると聞いている。実施にあたっては様々な課題が出てくると思うので、手法やルール作り、他市事例があるのかどうかも含めて確認をしながら、内部で研究をさせていただく。


③学校と教育委員会の関係について校長を学校の最高責任者として各校特徴を持った学校運営がされている。一方、教育委員会も、私達議員も保護者の方々から様々な声をいただき、学校へ改善や配慮を願うこともある。各校独自の判断となるものと、一律として対応願うものの線引きは何なのか。

>校長は公務を司り、所属職員を監督する。また、地方教育行政の組織および運営に関する法律第33条の規定に基づき定められた吉川市立小中学校管理規則の中では、学校は学習指導要領に基づき教育課程を編成するとしており、様々な学校運営上の業務については、校長が自己の責任において行うこととされている。しかしながらこのたびの児童生徒の命に関わるような未知の感染症である新型コロナウイルス感染性への対応や、教育現場全体の課題である教員の働き方改革など、市として統一した対応が求められる場合などについては、国・県の判断やガイドライン、時には庁内関係各部署と協議に基づき、教育委員会が指示している。


こどもの人権に関しては、市教育委員会から一律指示を願えるものではないのか。

>こども基本法が制定された。制定された背景、理解を促すパンフレットはすでに各学校に配布した。個別具体的な課題が出てくれば「こういった事例があるので気をつけてほしい」といった通知はできる。そのあたりはこちらから発信していきたい。

国から出てきたものについては通知がやりやすいとは思うが、それ以外に議員が議場で教育委員会を通じて学校にお願いすることはこれまでもあった。その時に教委から出せるのは指示なのか、お願いなのか、どのような形で出されたのか。その結果各学校がどのような受け止めをしご判断をされたか見えてこない。教育委員会と学校の関係性について、教育長のお考えは。

>教委は法令規則等に基づいて学校に指示をし、服務監督権者としての行いをしている。教委として「このような方針で教育を行っていきたい」と校長会を通し伝え、法令等についても指導している。校長はそれを受けて最高責任者として学校経営の方針、また教育経営理念を打ち出し、教職員とともに学校経営を行っている。学校長は学校の最高責任者として日々判断決断の連続。教委も学校の細かい課題を把握する必要があり、教育課程が行われているか管理していく立場ではあるが、学校運営は校長の責任においてしっかりやっていただくという関係であると考えている。

最後に教育部長へ質問を。この議場にいる多くの方が、一年前、ある方の「最後は人」という言葉を聞いた。仕事において属人性が高すぎると、働き方改革や公平性、持続可能性が難しくなってくるとも考えているが、それでも制度を動かすのは人であって、一人一人の仕事に対する姿勢や考え方が政策の成果を大きく変えていくものと思う。子育てや教育環境を多く取り上げる私にとって、教育部長とは多くやり取りをさせていただいた。一つ一つのレスポンスが大変早く、日頃から現場に行かれてる様子が伝わった。私が申し上げたことに対し、難しいと感じられたら根拠立てて述べられながらも、その課題に対してどうアプローチできるかを一緒に考えてくださり、胸を借りる気持ちで様々議論やり取りさせていただいてきた。その教育部長の視点から、コロナ対応であったり、 ICT 機器の整備含む大型事業が続いたこと、質問全体に対してでも、総括していただきたい。

>学校と教育委員会の関係について、普段から思ってることを。30年近く前に学校教育課にいた頃、上司から「教育委員会は学校の黒子だ」と言われた。私の一番の基準は現場のこども達の笑顔。現場でこども達と対峙しているのは学校。学校現場の状況が全てと思っている。私達教委は学校が正しく判断できるよう情報提供を行っていくことが使命と思っている。時には指示を出すこともあるが、その指示を出すためにも情報収集が必要、現場に出向いて状況を確認していくべきと思っている。コンパクトな吉川市だからできたこともたくさんあった。学校とも、市長部局とも連携をしながら「家族を、郷土を愛し、志を立て凛として生きていく」ことができるこども達を育てられる吉川市の教育であってほしいと思っている。

(補足…退職される方への最後の質問でした。本当に、あれこれあれこれ×♾申しました。ありがとうございました。)