《ブラジル》汚職撲滅LJ作戦リーダーが辞任=解任危機が迫っていた最中=表向きは個人的理由 ニッケ | 私たちの50年!!

私たちの50年!!

1962年5月にサントス港に着いたあるぜんちな丸第12次航の同船者仲間681人の移住先国への定着の過程を書き残すのが目的です。

《ブラジル》汚職撲滅LJ作戦リーダーが辞任=解任危機が迫っていた最中=表向きは個人的理由 ニッケイ新聞WEB版より

2020年9月3日 

 

ダラグノル氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 

 ラヴァ・ジャット作戦(LJ)開始以来、特捜班の主任を務めていた連邦検察庁パラナ支部の検察官、デウタン・ダラグノル氏が1日、LJ主任を辞任すると発表した。表向きは個人的な理由だが、このところ、LJに関する疑惑が次々に表面化し、同氏の責任を問う声が絶えなかった。2日付現地紙が報じている。
 ダラグノル主任は1日、ビデオを通じて、LJの主任を離れると発表した。同氏は辞任の理由を「1歳10カ月になる娘の行動に通常とは異なる兆候が見られるため、これが悪化しないよう、もっと時間を割いて見守りたい」とした。同主任によると、娘には「話していたはずの言葉を話さなくなった」「名前を呼んでも自分たちの方を見なくなった」などの兆候がみられるという。

 ただ、同氏はこのところ、解任の危機にさらされ続けていた。それは、ダラグノル氏の強引な手腕や捜査の正当性を問題視する声が相次ぎ、全国検察審議会(CNMP)でも頻繁に取り上げられた。審議会そのものの延期や最高裁による審議の差止命令などで、なんとか解任を逃れていた状態だった。
 その中で最も厳しかったのは、アウグスト・アラス連邦検察庁長官が、LJ作戦に関して強い批判を行ったことだ。「どういう基準で捜査対象が決められているのかわからない」などといった発言を同長官は繰り返し行っており、CMMPで発言を求められた場合にはダラグノル氏の解任を求めるのではないかと囁かれていた。
 ダラグノル氏は、2014年のLJ開始時から主任を任され、パラナ州連邦地裁判事だったセルジオ・モロ氏と共に、「汚職撲滅の象徴」と称され、称賛を浴びてきた。国内のみならず、国際的な検察官の賞を受賞するなど、輝かしい実績を誇ってきた。

 だが、19年3月に「ペトロブラスのLJでの補償金を米国当局と共同のLJ基金に充てたい」と発言し、批判を受けたあたりから、ダラグノル氏への信頼が揺らぎ始めた。それに輪をかけたのは、同年5月からの「ヴァザ・ジャット報道(VJ)」だ。
 VJでは、同氏が携帯電話でやり取りした内容も漏れ、同氏とモロ氏の間で、憲法で禁止されている判事と検察の癒着的な協業状態が起きていた可能性や、ルーラ元大統領を収賄で有罪とするための原告請求の作成で、不可解な判断を行ったことなどが暴露されたりして大打撃を被った。VJは、同年11月にルーラ氏が釈放された遠因となっていた。
 今年の7月には、かねてから噂にあがっていた、LJに対する米国FBIの非公式な協力疑惑が、具体的な人物の名前と共に報道され、ダラグノル氏の立場はさらに弱くなった。そのような流れの中で、4月の法相辞任後にLJ判事時代の判決がしばしば覆されているモロ氏共々、ダラグノル氏は追い込まれている状況にあった。
 LJの中心人物とされていたダラグノル氏の辞任で、今後のLJの行方が注目されているが、後任のアレッサンドロ・ジョゼ・フェルナンデス・デ・オリヴェイラは「捜査の継続」を約束している。