《ブラジル》110周年=国士館構想で見事な手際=二世建築家の早川鋭二さん=安藤忠雄事務所で4年修行 ニッケイ新聞WEB版より
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「国士館スポーツセンターがある地区には1千平米以上の建物、たとえばパビリオン、体育館などを作ってはいけないサンロッケ市の条例があります」――国士館再開発構想の叩き台の最初の現状把握の部分で、そんな衝撃的な説明があった。
木多喜八郎文協会長(当時)は2010年、評議員会で500万レの巨額予算で「国士館エコロジーパーク案」ぶち上げた。プラネタリウムや大イベント会場などを含む大規模な構想で、木多体制2期目の目玉企画だった。ところが完全に頓挫したことは記憶に新しい。
だが早川さんが調べて当日発表した要件によれば、08年に同市条例が制定されており、最初からムリな構想だった。それまでの調査不足が露呈したのと同時に、早川さんの見事な調査能力と堅実な提案内容に評議員は高い評価を下した。
早川さんに経歴を聞くと「安藤忠雄事務所に4年ほどいた」という。USP建築科を卒業した後、コロンビア大学で修士号を取得するために米国で7年間、その後、日本に渡り安藤事務所で4年ほど働いたとのこと。
「なぜ同事務所に?」と尋ねると、「安藤忠雄の建築に学生時代から憧れていました。実は学生時代、『研修生として受け入れてください』と手紙で直訴しました。そしたらありがたいことに認めてくれ、1995年に半年間ほど充実した研修をさせてもらった。ですからもう一度と思い、米国の後に仕事をさせてもらいました」とのこと。
日本の建築一般の特徴を尋ねると、「日本の建築技術は素晴らしい。とくに細部の仕上がり。ブラジルよりも芸術的、詩的な建築物が多い」とのこと。
逆にブラジルは「こちらはニーマイヤーはじめ左派思想が強い。常に建物に社会性を求める。それを作ることでどう町に貢献できるかとか。安藤さんも『社会を変えていくためのツールとしての建築』という考え方をされるので、ブラジル風に近いと思い、修行したいと思いました」。
早川さんは現在、自分で建築事務所を経営。まだ当地では代表的な作品といえる建築物はないという。国士館再開発構想が実現すれば、日伯の建設思想を融合した記念すべき作品になりそうだ。
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