『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』 | yoshi's drifting weblog -揺蕩記-

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私の一番好きな言葉、揺蕩(たゆた)う。……
日常の、ふとした何気ない出来事について、
その揺蕩う様を書き留めていきます。

長らく積み置いていた坂本龍一の自叙伝第2巻『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』を読了いたしましたよ。

 

 

 

 

前巻『音楽は自由にする』が2009年までのことが書かれてましたが、今巻はそれから2023年の1月に発売になった最後のアルバム『12』までのことが書かれてあります。

 

 

つまり、教授の最期まで。

 

 

冒頭、教授が2020年に2度目の癌告知を受け、それから20時間に及んだ手術の後の深傷がかなり生々しく描かれてます。

 

 

直腸がんが肝臓とリンパに転移していて、余命半年の宣告を受けてからの闘病生活。

 

 

その後遺症。

 

 

「せん妄」というのは初めて聞きましたが、これはキツイ。

 

 

財津一郎のタケモトピアノのCMがずーっと脳内で流されてるのは、ちょっと面白かったですが、でも当人にとっては本当に地獄でしょう。

 

 

そんな生々しい生活が克明に書かれてるので、ファンからすればかなり身を切られる思いがするでしょう。

 

 

そんな始まりから2009年、『音楽は自由にする』の続きが始まります。

 

 

『out of noise』から始まり、東日本大震災、札幌国際芸術祭、初めての癌告知、『レヴェナント』『async』『TIME』『playing the piano 2022』そして『12』と。

 

 

シンプルに教授の音楽・音への興味、思考の変遷が教授自らの言葉で書かれてるので、どういう意識が展開されていったのかはかなり面白かったです。

 

 

そして、札幌国際芸術祭直前で受けたがん告知以降、その音楽観に加えて人生観が綯い交ぜになり、一人の音楽家の命の鼓動となって伝わってくるんですね。

 

 

あの『playing the piano2022』の時に感じた命が燃える熱量が。

 

 

対して、コロナになった時に行われた配信ライブの時、すでに直腸がんの告知を受けていたというのは初めての情報で、あの時はかなり精神的に参っていたというのは衝撃でしたね。

 

 

ライゾマティックスの映像も加わってて、完成度はかなり高かったですし。

 

 

あと自伝ということもあって、教授のパートナー(空里香)が結構頻繁に登場します。

 

 

教授の言葉で奥さんについて語られるというのもどこか新鮮でしたね。

 

 

で、この本を読んでいくうちに、またちょっと教授の曲が聞きたくなってきました。

 

 

『async」もそうですが、村上龍が「坂本龍一の到達点」と称した『箏のための協奏曲』とか『レヴェナント』のサントラとか。

 

 

『CODA』も見返したい。

 

 

『TIME』『OPUS』がありますしね。

 

 

モチベーションちょっと上がってきました。

 

 

坂本図書にも来月行きたいですね。

 

 

次。

 

 

このまま教授と福岡伸一との共著『音楽と生命』を読みます。

 

 

ではでは。