No.0699

 

こんにちは!

 

高見 義裕です

 

 

 

 

No.0640から始まった、

 

子供の頃の新興宗教の話のつづき

 

 

第32話はコチラダウンダウンダウン

 

 

 

 

 

 

最初からはコチラダウンダウンダウン

 

 

 

 

初めて、

 

高見家の墓と対面した

 

 

 

 

これまでに見た縦長の墓とは違い、

 

背が低く、横向きの直線の目立つ

 

石の塊だった

 

 

 

正面に、

 

「高見家」と彫ってあるだけの

 

シンプルな造形だった

 

 

とりあえず

 

両親も、兄も、上の弟も

 

その前に立ったが、

 

 

 

父を除いては

 

墓参りの方など知らないので、

 

 

 

何をしていいか分からず、

 

墓を前にして

 

しばらく立ちすくんでいた

 

 

 

ほんの少し時間が経ち、

 

父が、持ってきた弟の骨を

 

後ろの穴から入れ、蓋を閉じた

 

 

 

そして、

 

花立には

 

ひまわりを活けた

 

 

 

ひまわりのおかげで

 

無機質な石の空間が

 

一気に華やかになった

 

 

 

 

ロウソクや線香は

 

持ってきていないし、

 

そもそも飾る場所も

 

作っていないので、

 

 

 

もうこれで

 

儀式のようなものは

 

終わってしまった

 

 

 

あとは、

 

もうそれぞれ

 

満足するまで

 

自由に過ごすだけだった

 

 

 

 

 

父は、

 

しゃがんで話しかけながら

 

手を合わせている

 

 

 

 

母は、

 

手こそ合わせないが、

 

父の横にしゃがみ、

 

じっと見つめたり

 

父と話したりしている

 

 

 

僕ら兄弟も、

 

近くによって話しかけたり

 

遠くから眺めたり、

 

思い出話をしたりしていた

 

 

 

時折笑いながら、

 

時折涙しながら

 

不思議な、

 

でも

 

なにか解き放たれたような時間だった

 

 

 

 

上の弟も既に

 

20才になっていた我が家では、

 

人前で涙を流すことなんて

 

もうなかったが、

 

 

 

下の弟が亡くなってからは

 

泣くことに抵抗がなくなっていた

 

 

 

大の大人がそろって泣いている姿は

 

周りから見れば不気味だったろうが、

 

それでも

 

それが自然なことであり、

 

 

 

「恥ずかしい」とか

 

「ちゃんとしないと」という

 

気持ちはもう

 

どこかに行ってしまっていた

 

 

 

 

これまで、

 

家族の中でさえ

 

真面目に、正しい人間に見られるように、

 

必要以上に虚勢をはって

 

暮らしてきたが、

 

 

 

 

ここで皆

 

少し解放されたのかもしれない

 

 

 

思い返してみると、

 

これまでの人生の中で

 

家族がこんなに

 

自然体で顔を合わせたことが

 

あっただろうか

 

 

 

 

次回に続く

 

 

 

 

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