四苦八苦


「四苦八苦」は、もともと仏教の教えの中での「八苦」という概念から派生した日常語です。

 

日常的には「非常に苦しむ」という意味で用いられます。

 

仏教の「八苦」は、人生における8つの苦しみを指し、以下のように分類されます。

  1. 生苦:生まれることに伴う苦しみ
  2. 老苦:老いることに伴う苦しみ
  3. 病苦:病気になることに伴う苦しみ
  4. 死苦:死ぬことに伴う苦しみ
  5. 愛別離苦(あいべつりく):愛するものとの別れや離れることの苦しみ
  6. 怨憎会苦(おんぞうえく):嫌いなものや敵と出会う苦しみ
  7. 求不得苦(ぐふとっく):求めるものが手に入らない苦しみ
  8. 五蘊盛苦(ごうんじょうく):身体と心の五つの要素(蘊(うん))(注)に由来する苦しみ

 

(注)五蘊(ごうん)

 

「五蘊(ごうん)」とは、個人の存在やアイデンティティを形成する5つの要素を指します。

 

これらの要素は、私たちが「自我」と認識しているものの実体を形成していますが、

 

仏教の教えによれば、これらはすべて無常であり、実質的な「自我」は存在しないとされています。

 

この「五蘊(ごうん)」に関連する苦しみや誤解が「五蘊盛苦(ごうんじょうく)(前出の「四苦八苦」の8番目)」と呼ばれる苦しみの原因となります。

 

五蘊(ごうん)の具体的な要素は以下の通りです:

  1. 色蘊(しきうん)
    物理的な身体や形、色などの物質的な要素を指します。

  2. 受蘊(じゅううん)
    感覚や感情の受け取り、例えば痛みや快楽、冷たさや熱さなどの感じる能力を指します。

  3. 想蘊(そううん)
    考えや概念、イメージなどの認識的な要素を指します。

  4. 行蘊(ぎょううん)
    意志や動機、習慣などの意識的な行動や反応を指します。

  5. 識蘊(しきうん)
    意識そのもの、特定の感覚や対象への認識を指します。

これらの五蘊(ごうん)は、常に変化しており、どれも永続的なものではありません。

 

仏教の教えでは、この五蘊(ごうん)を永続的な「自我」と誤解することが、苦しみの原因となるとされています。

 

したがって、五蘊の真実を理解し、それに固執しないことが、苦しみからの解放の鍵となります。

ynのプロフィール
オススメの本
yn