今日は寒くて風の強い日でした。

よしGがいつものようにフォークリフトで鉄くずをスクラップ置き場に運んでいると、工場の中には絶対いないはずの存在を見つけました。

スクラップ置き場の近くには会社の社用自転車がいくつか停めてあるのですが、今日は風が強くてほとんど倒れていました。

お昼休みに気づいていた人もいたようですが、よしGの会社の人間は「起こしても、今日のような風ではまた倒れるわ」とそのまま放置しておりました。

鉄くずを満載したフォークリフトは前がよく見えないので横から身を乗り出しながら前を確認していると、ランドセルを背負った小学生の女の子が風で倒れた自転車を直そうとしていました。

よしGの工場は近くに小学校があって工場の前は通学路になっていました。

スクラップをデカいコンテナに捨てる作業は小学生たちにとって面白いのかフェンスごしに集まってジーっと見ていることは何度かありました。

しかし、工場の門をくぐって敷地内に入って来た子は初めて見ました。

まだ低学年くらいに見える小さな女の子が大人用の大きな自転車を一生懸命起こそうとする姿は…

かわいい!

と感じました。

おかっぱでちょっとポッチリした女の子は美少女という雰囲気ではないものの、自分には無関係な工場の倒れた自転車を必死に直そうとしてるのは、健気という以外なにものではありませんでした。

そんな健気な少女に怪我をさせたら大変なので、フォークリフトを停めて、

「そんな事、しなくてもいいよ」
と言いました。

イタズラをしようとするような悪ガキなら、めちゃくちゃ怒鳴りつけてやるんですが、相手はかわいい女の子。

勝手に工場入っちゃダメとか、とても言えませんでした。

よしGのその時の格好は作業服にデニムのエプロン。腕カバーに皮手袋、防塵マスクにヘルメットという、子供から見たら結構怖いスタイル。

女の子は話しかけた途端、ピュー!っと逃げて行きました。

こんな善行をする女の子にトラウマを与えてしまってないか心配なよしGでした。


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