『ぼくは川のように話す』を読む。 | 絵本沼

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『ぼくは川のように話す』(ジョーダン・スコット/シドニー・スミス/原田勝/2021/偕成社)読了。

 

ぼくは川のように話す


カナダの詩人がはじめて絵本の文を書き、グリーナウェイとニューヨーク・タイムズ(NYT)年間ベスト受賞の絵描きがその内容を見事に絵にした作品で、本作もNYT年間ベストを受賞。
評判通りの内容で、読後、「これはいい絵本だ…」と素でつぶやく。

シドニー・スミスが描く抽象と写実が混ざる絵がとにかくカッコいい。
印象的なシーンが多く、音楽でいえば「サビ」にあたる箇所で主人公が思うところの「川」を観音折りを用いた4頁分の横長で表現。

これがとても刺さる。
大胆であり内省的であり、思わず数分ほど眺めてしまう。

また、表1でも感じるところだが、ここぞというシーンでは主人公をパキっとした強い逆光で描く。

読者はこの逆光に込められた意味を考え、そして味わう。

物語が終わり、奥付上部には詩人の献辞が書かれていた。

  • この本を、父、ロイ・スコットに捧げる。

本作は『I TALK LIKE A RIVER』のタイトル通り少年が川のように話すにいたった流れの物語であり、父と子の濃厚な時間の物語でもあるのだった。


で、ネットで表1を見た時から気になっていた箇所を奥付で確認できた。

 


タイトル文字は荒井良二さんでした。