[大島守備隊]国道特15号とホノホシ砲台?

鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈(ホノホシ園地)

 

 

奄美大島側の大島海峡の東口、皆津崎には陸軍の皆津崎砲台(奄美大島要塞)と複廓陣地(大島守備隊)、海軍の望楼などがあり、これらは瀬戸内町篠川(大島郡西方村)から蘇刈(大島郡東方村)まで国道特15号(=県道79号と県道626号)でつながっている。

国道特14号(=県道627号)は瀬戸内町久慈(大島郡西方村久慈)〜奄美大島西端の西古見(西方村西古見)で西古見砲台などがある。昭和17年1月24日に特14号が延伸(篠川〜久慈間)がつながり、大島海峡北側(奄美大島側)に面した東西が全線開通した。

 

大島海峡南側(加計呂麻島側)の大島海峡に面した東西は、実久村〜鎭西村(安脚場)間が国道特16号でつながっている。

出典:アジア歴史センター(C05034502800) 海軍省「鹿児島県大島軍国道速成に関する」昭和10年

国道特15号は、瀬戸内町篠川〜古仁屋間は県道79号、古仁屋〜蘇刈(集落)間は県道626号、蘇刈(集落)〜皆津崎の北西のヤドカリ浜までは町道、ヤドカリ浜〜皆津崎砲台は国道特15号のまま現存しているようだ。

 

エビ養殖場辺りでは往時の石積が現存。

 

 

 

ヤドカリ浜付近

 

ヤドカリ浜の最奥で藪化する国道特15号・・・・・

ハブ生息地なので色々面倒だ。

 

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大島海峡東口に於ける陸軍の配備

 

出典:鹿児島県大島郡瀬戸内町教育委員会(2022年3月)「瀬戸内町内の遺跡3」P.111、抜粋

 

 

大島海峡の東口:加計呂麻島に奄美大島要塞「安脚場砲台」、奄美大島に奄美大島要塞「皆津崎第1/第2砲台」を設置したが、諸般の都合でどちらの砲台にも固定式火砲は配備されていない。安脚場砲台には移動式の火砲を置いていたが、昭和15年頃に安脚場砲台の大部分が海軍に移管されるのに伴い、陸軍(第3中隊の1個小隊)は安脚場を撤収、野砲×2門を本部の直轄隊として高知山付近に置いた、とのこと(古仁屋湾又は伊須湾より侵入する敵に備える)。

 

昭和18年5月1日時点では、皆津崎にある皆津崎砲台守備隊は、野砲×4、93式探照燈×1、3年式機関銃×2の装備で守備についていた。

 

昭和19年3月22日、10号作戦準備(台湾・南西諸島方面の戦備強化のための作戦準備)が下令され、奄美大島や中城湾・船浮(沖縄)などの要塞司令部及び重砲連隊など要塞の部隊は、新たに創設された第32軍に編入された。部隊は再編され、奄美大島諸島では独立混成第21連隊(球7156)、重砲兵第6連隊などが同年8月に着任した。

 

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昭和20年7月頃の配備

『奄美での戦中の日々(奄美守備隊戦記)』

①皆津崎(皆津崎砲台)には第4中隊が配備された。湾口より進入する敵艦船の妨害と合わせて皆津の浜に上陸する小部隊を側射するよう、洞窟陣地を構築して野砲1門を配備した。

 

②皆津の浜には敵の上陸に備えて野砲弾や漂流機雷を利用した地雷を準備した。さらに敵が上陸を強行してきた場合には、ゲリラ戦により持久して交戦すべく裏山に複廓陣地を構築し、随所に洞窟の拠点を作り、食糧、弾薬等を分散して備えた。

 

③第4中隊の1個小隊を高馬(?)付近に派遣。ここに洞窟陣地を構築して10糎加農砲2門で伊須湾に侵入・上陸する敵に備えた。

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さて「ホノホシ砲台」だが、正確な位置はわからない。高馬という地名が不明でして。公文書ではみつけられなかった。ホノホシ海岸のホノホシ園地(公園)に行くと、ここに何かがあった!っぽい痕跡はある。

 

「瀬戸内町内の遺跡3」ではホノホシ海岸やホノホシ砲台の記載は無いが、「瀬戸内町内の遺跡2」では下記の記載がある。

「当該地点には、ホノホシ海岸や伊須湾に侵入上陸する敵を射撃制圧するために、昭和19年5月に10糎(センチ)加農砲が2基設置された。現在は公園整備されており、詳細な位置は不明である」

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ホノホシ砲台?と思われるホノホシ園地

皆津崎の付け根にある平坦地。平坦地の背後は皆津崎の山々、大島海峡東口の外海は崖だが上は平坦に造成されている(気がする)。

 

 

エビ養殖場(湾内)とは反対側の外海方向に向かって歩く

 

「瀬戸内町内の遺跡2」では下写真の石碑周辺に砲台があったと推測されている。

 

備砲されたとされる10糎加農砲は固定砲ではなく移動式なので、穹窖砲台(洞窟砲台)をつくらなくても、整地され地盤がしっかりしていれば撃てる。ホノホシ海岸から伊須湾に侵入・上陸する敵に備えた、ようだ。

 

10糎(センチ)加農砲

出典:佐山二郎「要塞史」p.198より抜粋

 

石碑の周囲をよくみると傾斜のない平坦地、コンクリートの平打ち?の基礎?がある。

 

 

怪しい・・・・

 

伊須湾方向を見る

 

平坦地の周辺に何かあるか?とみるとアダンの森

怪しい・・・・が、アダンの密度が濃くて突入不可能。

 

 

ホノホシ地区の海岸(と、ヤドカリ浜)は上陸用舟艇を使えば簡単に上陸できそう。

こちらはホノホシ海岸

 

 

 

エビ養殖場(内海)側

 

では、ホノホシ砲台(ホノホシ園地)を去りますか。

 

そうそう、ヤドカリ浜・・・・

ホノホシ海岸と異なり波穏やかなところだった。

 

ヤドカリ浜から皆津崎砲台方向をみる

 

 

終わり

 

 

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古仁屋から蘇刈へ行く県道626号(国道特15号)の途中、「ハートがみえる風景」なる標識が建っていたのでチラ見。

 

 

 

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