[実物大模型]神龍1型と回天1型

香川県さぬき市鴨部6228(国道11号線の羽立峠の明石焼むらた、付近)

 

逓信省航空局と大日本帝国海軍が本土決戦用に開発(試作)した「神龍1型」=特攻グライダー。実機は現存していないが、実物大模型が回天1型(模型)とともに羽立峠に屋外展示されている。

 

神龍1型が想定した攻撃目標は、日本本土に上陸した/する米軍(連合軍)の戦車や揚陸艇、とのこと。

 

 

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「神龍」と「回天」 旧日本海軍の幻の特攻グライダー レプリカで戦争の悲惨さ伝える:産経新聞2015/5/3 11:00

 

 

神龍は乗員1名。火薬ロケット推進(グライダー型飛行機)でロケットエンジンは3つ。ホンモノの神龍の躯体は全木製骨格に羽布張りなる簡単なもの。


乗員は胴体内に格納した左右の火薬ロケット(第1エンジン)を噴射して上昇。高度200m(設計上の最高到達高度400m)に達した時点で、胴体内の100kg徹甲弾の安全ピンを外す。目標を定めると中央部の火薬ロケット(第2エンジン)を点火して目標直下に進み、爆弾を投下する。


火薬ロケットの燃焼時間は僅か10秒のものが計3基。上昇までに2基(左右)を使用し、突撃に最後の1基(中央)使用するため、合計で30秒間の飛行しかできない。つまり帰還分の燃料は無い。

 

 

操縦席は開放式、降着装置として3本のスキッドがある。

 

 

 

 

神龍は(3本のスキットがあるから)海面に不時着は出来るが、燃料を使い切っているので自力帰還は不可能だ。エンジン性能や操作性も悪く安定しないため、実戦投入となれば「敵軍に体当たり」しか無かった、と思われる。

 

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神龍は逓信省航空試験所で発案され、海軍艦政本部が意見を言い、昭和19年12月頃に計画が纏まったようだ。機体の設計は逓信省航空局、製造は美津濃グライダー製作所(現在はスポーツ用品メーカーのミズノ)。

 

神龍の発射は横穴壕(穹窖)を想定した。米軍(連合軍)が上陸する海岸近くの山に掘られた横穴壕(穹窖)から離陸、目標物に爆弾投下する。横穴壕(穹窖)に神龍を格納するため翼幅は極端に短い(その分、垂直尾翼面積を増加している)。最終的に海軍は、横穴壕(穹窖)からの発射は止めて、神龍をパーツのままトラックに乗せ、米軍(連合軍)上陸地点近くまで輸送し、現地で組み立てて離陸させる計画に変更した。

 

 

昭和20年7月中旬、大日本飛行協会中央滑空訓練所(茨城県石岡市/現在の法政大学第三中・高校)にて、無動力での飛行試験が行われた(曳航機は95式1型練習機)。同年8月の終戦直前にに海軍霞ヶ浦航空基地にて、エンジンを搭載した状態で無人での飛行試験を行ったが、エンジン停止後に墜落した。海軍は航続距離の長い神龍2型の開発計画を立てた。

 

その一方で、海軍は神龍1型の量産開始も命じている。神龍の搭乗員の飛行訓練は、美津濃製の軍用グライダー若草(MXJ1)で行われた。

 

終戦までに製造された神龍1型試作機4機で、終戦後の8月20日に完成した1機を含めると生産機は5機。幸いにも実戦投入されることは無かった。神龍2型は計画のみで終了。

 

 

 

 

 

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回天1型(模型)

「回天一型」としか書かれていないが、靖国神社遊就館に展示されている回天一型改一(実機)の模型だろうか?

 

 

 

 

終わり

 

 

出典:

楢林寿一著「日本の航空ミレニアム」酣燈社

石黒竜介著「日本陸海軍の特殊攻撃機と飛行爆弾」大日本絵画

 

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