[佐伯海軍基地]佐伯飛行場③長島山機銃砲台

大分県佐伯市中江町

 

佐伯湾に面する佐伯陸上飛行場には、「豊後水道の上空哨戒を任務」とする呉鎮守府隷下の佐伯海軍航空隊が駐留した。佐伯空は内戦航空隊の中では館山海軍航空隊に次ぐ実戦力を持っていた、とのこと。近くには海軍の水上機用の飛行場(スベリ)もある。

陸上機用滑走路:850mx50m、450mx40m
水上機用滑走台:100mx50m、170mx50m

 

出典:国土地理院 1947/03/04(昭22) USA-M100-73、抜粋・加筆

 

長島山は佐伯飛行場(水上機・陸上機とも)を見下ろす好位置にあり、ここに機銃陣地がある。

 

ただこの機銃陣地は、佐伯防備隊・佐伯航空基地・佐伯海軍航空隊の日誌や引渡目録にも『長島山』の記載は無い。つまりこの機銃陣地の所属先は不明。佐伯海軍航空隊が早い時期につくって放棄したのか?別の暗号名で呼ばれていたのか???

 

出典:アジア歴史センター(C08011079300) 昭和20年9月1日 佐伯地区兵器軍需品舟挺施設等引渡目録

 

結構な数の機銃を持っていたようだが、倉庫保管となっている。

出典:アジア歴史センター(C08011079300) 昭和20年9月1日 佐伯地区兵器軍需品舟挺施設等引渡目録

 

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長島山(標高79.5m)は地域の津波避難地に指定されているので、登山道は整備されている。佐伯市平和祈念館やわらぎの駐車場至近にある登山口から入って行く。

 

 

佐伯市平和祈念館やわらぎの駐車場至近にある登山口から登ると、山頂広場で最初に目に付くのが謎の構造物。

 

謎の構造物

 

 

 

 

両側に階段がついた通路、中央に謎の構造物への入口がある。写真の手前側の階段には虎ロープが張られているが反対側には無い。

 

反対側から入ってみた(ちなみに危険性はゼロ)

 

狭い部屋、天井部に穴が開いているだけ。

 

佐伯海軍航空隊の引渡目録図によれば、長島山にあるのは受信所、気象観測所のみ。これら施設の関連なのか、弾薬庫なのか、全く見当が付かない。

 

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機銃座①

なぜか交通壕が埋められている。

 

 

機銃座②

 

 

機銃座③

 

即応弾薬置場も完備。

造りが丁寧、まだ余力がある時機に造られたのだろう。

 

機銃座④

 

 

指揮所

 

 

 

 

 

機銃座側には細長い監視孔が2つ、半ば地中に埋まるようにつくられている。監視孔は四方にあり、海側は特に隠蔽されている感じは無い。

 

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長島山の東側、中江川に面する山麓には8本の大型坑道倉庫が掘られた。いづれもI型で坑道間の連絡路は無い。燃料などが貯蔵されていたようだ。

 

 

 

 

終わり

 

 

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佐伯防備隊

呉軍港(広島)や柱島泊地(山口)、徳山港(山口)などから外洋に出るために必ず航行するのが豊後水道。昭和14年、呉鎮守府は豊後水道防衛を強化するため佐伯防備隊を発足した。佐伯防備隊は上空哨戒・対潜哨戒と撃退を任務とした。敗戦時のデータでは豊後水道に面した島嶼部に4ヶ所の見張所(要衝には9ヶ所の防備衛所)、7ヶ所の砲台を配している。

 

船舶関連では特務艇隊(敗戦時には特設駆潜艇19隻、駆潜特務艇17隻など)、上空哨戒では所属は異なるが佐伯航空隊(敗戦時には零式水上偵察機11型×11、94式水上偵察機12型×2、93式式陸上中間練習機×33、90式陸上機上作業練習機×1)が担当していた。

 

出典:アジア歴史センター(C08011403500) 引渡目録 佐伯防備隊 

 

 

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