[佐世保鎮守府]地下防空指揮所①機械室など

 

佐世保鎮守府

長崎県佐世保市平瀬町18

明治22年7月1日に佐世保鎮守府が開庁。

 

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地下防空指揮所

佐世保鎮守府庁舎裏手の地下に防空指揮所が造られ、昭和17年12月に完成。昭和19年頃から運用が開始されたようだ。田島岳防空指揮所で行われてきた任務(特設見張所や防備衛所からの諸情報を統括、砲戦指揮)の多くを引き継いだ。

地下2階(地下2階は隧道と通信室=非公開)

総面積約約1,900(700)平米、壁厚は約1メートル。

最新の通信機器、エアコンなどの空調完備。

水洗トイレ

地上部(地上1階)には耐爆式の電話交換室棟があった。

軍人の他、女子挺身隊らが勤務していた。

戦後の米海軍占領時代、最新機器類を処分。不審火(放火説あり)により厠以外の内装は焼失。構造物は堅牢に作られていたので、地下壕は倒壊しなかったが、消火のための水が溜まり、特に地下2階は水没した。返還後の昭和38年に地下防空指揮所の調査のため、排水作業を行ったが、これだけで2年半もかかったそうだ。ただし地下2階から伸びる隧道などは、現在も水没中。

 

なお、呉鎮守府(広島)にも地下指揮所は存在するが非公開。鎮守府の中で地下指揮所を公開しているのは佐世保だけだ。横須賀鎮守府は米軍基地内(だったかな?)、舞鶴は東山防空指揮所としてかろうじて現存するも山塊の中で廃墟化。

 

 

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地上部構造物(非公開)

 

地下防空指揮所は総鉄筋コンクリート製で、壁厚は最大1メートル

 

防空指揮所への「将校用出入口」

海自を通じての特別ツアーではこの出入口を使っている( ˘ω˘ )

 

ここも出入口(非公開)

 

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尉官以下出入口

(特務士官を含む下士官・准士官・兵。そして私達一般見学者)

大正〜昭和期の海軍は、陸軍ほど学歴は重視されなかったと言われているが、海大卒/海軍兵学校卒以外の非学歴保持者は、ますます昇進の機会から排除されてきた。海軍兵学校に入学して卒業すると少尉候補生になり、現場で実務を習うと2年前後で少尉(海軍武官)になる。海軍大学校は参謀や高級指揮官の養成課程で、大尉から少佐にかけての地位にある者が履修するのが一般的。医学部卒業の軍医は中尉からスタート。なお海軍兵学校卒者は戦後の学歴免許等資格区分では、短大卒と同等と扱われた。

 

一方、尉官以下がたたき上げで昇進し続けてようやく少尉になると、「養成課程が異なるので区別する」という建前で彼らを『特務士官』と区別(差別化)した。彼らは科名+特務少尉と称された(滅多になかったが少佐に昇進すれば特務の肩書きは取れる=正規士官に昇格)。昭和17年11月1日に科名および特務の文字は撤廃されたが、敗戦間近でも歴然とした区別があったのは、この出入口の利用からもわかる。←案内人の話を要約しました。

 

屋根のようなコンクリート躯体も往時のもの

*地図①

 

地下防空指揮所内部は、戦後の米海軍占領時代の不審火(放火説あり)により、厠以外の内装が全て焼失。よって内壁は黒く煤けている。

 

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尉官以下出入口の玄関ホール

向かって右端と左端に内部への出入口がある

*地図②

 

 

玄関ホール、向かって右

 

 

では、右側の出入口から入室(・∀・)

*地図③

 

 

重厚な鋼鉄製扉だ。

 

 

扉を内側からみる

 

右側の出入口から入ると、機械室関連の部屋を見ることになる。各種電気設備が発する熱を抑えるために冷房設備が完備されているため、機械室は大きい。

 

機械室

*地図④

 

エアコンのダクト _φ(・_・

 

 

機械室を覗いてみる(デカい)

 

 

 

ここは広々とした空間(約23m×17.5m)な

職員や所属軍人の防空壕としても機能していたようだ。

 

 

 

では、防空指揮所に向かいます(・ω・)ノ

 

廊下、長い・・・・

*地図⑤

 

 

防空指揮所と写真右端にその出入口の扉

 

 

右壁が防空指揮所

(見学者は将校用出入口に向かっている)

 

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地下2階への出入口

 

 

地下2階の図

水没している箇所もあり、全容はわからず!とのこと

 

佐世保市民文化ホール「最新技術を駆使した日本海軍の秘密基地」によれば・・

地下2階は長いトンネル構造となっており、主に通信室として使用されていました。トンネルは海兵団方面や海軍病院方面へ伸びていますが、どこまで続いているのかはわかっていません。地下防空指揮所は防空壕としての役割もあり、鎮守府職員880名を収容することも可能でした(←地下1階の機械室等を指す、思われる)。

 

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正面が将校用出入口(の階段)

*地図⑦

 

 

火災に遭わなかったのか、煤けていない。

 

階段はタイル張り

一般的なタイルの他、蓄光タイルも使われている。

 

 

将校用廊下

*地図⑦

 

右折すると防空指揮所への出入口(将校用②)がある。

 

⑦から⑥をみる(振り返る)

突き当たりは地下2階への階段

 

防空指揮所へ

将校用出入口①

*地図⑧

 

防空指揮所

奥行き約40メートル×幅約30メートル×高さ約4メートル

 

 

 

 

つづく

 

 

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