[広島湾要塞]鷹ノ巣低砲台③観測所・電燈所(厳島海峡/宮島地区)

※2024.1.28修正

 

鷹ノ巣電燈

起工:明治32年2月13日

竣工:明治33年3月30日

種類:射光機(シ式90センチ)、機関舎

廃止:大正15年6月(大正15年7月、射光機は陸軍築城部に移管/その他は同年8月に陸軍第5師団経理部または陸軍運輸部に移管)

※明治37年に臨時軍事費にて石炭倉1棟増築

 

鷹ノ巣低砲台観測所から舗装道を少し南下すると現れる。こちらも鷹ノ巣低砲台観測所同様、道路開発工事で電燈敷地の多くが削られてしまった。

 

 

 

明治時代の昇降式電燈所の仕組み

芸予要塞:大久野島砲台の南部電燈所

 

探照灯は奥の電燈井に格納されていた。

使用時は探照灯をリフトで引き上げて使用。

 

電燈井

 

 

 

上部。

右端の電燈井(四角の穴)から探照灯がせり上がる

 

 

 

 

探照灯の電燈井を上から見下ろす

 

 

 

電線を通した穴か?

 

 

 

 

上部の海側、側面(向かって左側)からみる

 

 

電燈敷地の内、海側は道路建設で削られた。機関舎(発電所)や石炭備蓄倉庫があったと思われる。

 

電燈所からの眺め

 

 

終わり

 

*

広島湾要塞

呉軍港と宇品港がある広島湾には多くの島々があるが、多くの海峡で艦船の航行が可能だった。敵艦船の防圧を担うために、明治30年3月〜明治36年12月までの間に7つの砲台と6つの堡塁で構成される広島湾要塞が築城された。

 

明治20年計画当初は広島湾要塞、明治26年の防御計画策定時に呉広要塞から呉要塞と名称変更、建設中の明治36年から広島湾要塞、広島湾要塞廃止直後の大正15年から呉要塞、と名称変更が激しい(もう少し細かく変わっているようだが割愛)。

 

出典:『現代本邦築城史』第2部第19巻「広島湾要塞築城史」

 

日露戦争では全砲台が戦闘位置についた。その後、砲の技術向上などで射程距離が伸びたことなど複合要因により、瀬戸内海の封鎖は瀬戸内海そのものに入る豊後水道・関門海峡・紀伊水道を抑えれば良いことになった。これら海峡に豊予要塞(豊後水道)、下関要塞(関門海峡)、由良要塞(紀淡海峡)が築城されたことにより、瀬戸内海の内側にある広島湾要塞や芸予要塞は大正14年〜15年8月に廃止された。

 

 

出典:『現代本邦築城史』第2部第19巻「広島湾要塞築城史」

 

厳島海峡・奈佐美瀬戸防禦

大那沙美島砲台(大奈佐美島)

起工:明治30年3月20日

竣工:明治33年3月31日

備砲:24センチ加農砲×4門

廃止:大正15年6月(大正15年10月呉鎮守府に移管)

 

奈佐美瀬戸西方・能美島防禦

鶴原山砲台(西能美島)

起工:明治30年5月20日

竣工:明治33年3月31日

備砲:24センチ加農砲×6門、9センチ加農砲×2門、

廃止:大正15年6月(大正15年10月呉鎮守府に移管)

 

厳島海峡防禦

鷹ノ巣低砲台(厳島/宮島)

起工:明治30年8月21日

竣工:明治33年3月31日

備砲:27センチ加農砲×4門、9センチ加農砲4門(1座2門)

廃止:大正15年6月(大正15年8月陸軍第5師団経理部に移管)

 

奈佐美瀬戸防禦奈佐美瀬戸西方防禦

岸根鼻砲台(西能美島)

起工:明治31年6月

竣工:明治33年9月

備砲:27センチ加農砲×4門、斯加式9センチ加農砲×4門(1座2門)

廃止:大正15年6月(大正15年10月呉鎮守府に移管)

 

厳島海峡防禦

鷹ノ巣高砲台(厳島/宮島)

起工:明治31年7月21日

竣工:明治33年3月31日

備砲:28センチ榴弾砲×6門(1座2門)

廃止:大正15年6月(大正15年8月陸軍第5師団経理部に移管)

 

大野瀬戸防禦

室浜砲台(厳島/宮島)

起工:明治31年10月11日

竣工:明治32年3月31日

備砲:斯加式9センチ速射加農砲×4門(1門2座)

廃止:大正15年6月(大正15年10月内務省に移管)

 

奈佐美瀬戸西方・能美島防禦

三高山堡塁(西能美島)

起工:明治32年3月9日

竣工:明治34年3月7日

備砲:28センチ榴弾砲×6門(1座2門)、9センチ臼砲×4門(1座2門)、9センチ速射加農砲×4門(1座2門)

廃止:大正10年9月(大正15年10月呉鎮守府に移管)

 

早瀬瀬戸防禦

大君低砲台(西能美島)

起工:明治32年5月16日

竣工:明治33年6月30日

備砲:12センチ加農砲×4門(1座2門)

廃止:大正15年6月(大正15年10月呉鎮守府に移管、但し大正14年に一部を陸軍第5師団に移管)

 

早瀬瀬戸防禦

早瀬第1堡塁(倉橋島)

起工:明治32年10月7日

竣工:明治34年3月31日

備砲:28センチ榴弾砲×6門(1座2門)

廃止:大正8年8月

 

倉橋島防禦

早瀬第2堡塁(倉橋島)

起工:明治32年10月

竣工:明治33年8月(第2)/明治34年3月(第1)

備砲:9センチ加農砲×6門(1座2門)、9センチ臼砲×4門

廃止:大正10年9月

 

音戸瀬戸防禦

休石砲台(呉)

起工:明治33年9月15日

竣工:明治34年3月31日

備砲:9センチ速射加農砲×2門(1座2門)

廃止:大正15年6月

 

音戸瀬戸・広方向防禦

高烏堡塁(呉)

起工:明治33年12月25日

竣工:明治35年6月30日

備砲:28センチ榴弾砲×6門(1座2門)、速射野砲×2門(1座2門)

廃止:大正8年8月

 

広方向防禦

大空山堡塁(呉)

起工:明治35年4月11日

竣工:明治36年12月28日

備砲(未配備):28センチ榴弾砲×4門(1座2門)、速射野砲×6門

廃止:大正8年8月(大正15年10月呉鎮守府に移管)

 

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