[京都市役所本庁舎]高射機関砲?陣地

★追記あり

 

昭和2年4月に竣工の京都市役所本庁舎。

ほぼ完全に左右対称で、中央と両翼を突き出させ、中央に塔を建てている。

 

出典:京都市役所「新庁舎整備に係る基本設計について」

 

この京都市役所本庁舎の屋上の両端(両翼)には階段室があり、この階段室の屋上に円形(上から見ると螺旋状)のコンクリートの障壁がある。土台になる階段室の強度と狭さを考えると一般的な高射砲ではなく、対空機関砲の類い(高射機関砲)を置いたと思われる。

 

なお京都は(他地域に比べれば)小規模ながら空襲があり死傷者も出ている。

 

 

庁舎正面玄関に向かって右側は現存、左側は撤去されている。

この痕跡(螺旋状)はGoogleMapからも確認できる。

 

 

 

中央の塔は非公開(?)なので確認できないが、防空監視哨のような役目があったのかもしれない。

 

 

市庁舎屋上に高射機関砲や防空監視哨があるのは、そう珍しいものではない(例えば福岡県大牟田市の市庁舎)。これが認識されているか、だ。京都市役所のホームページには一切、記載が無い。

 

戦時中、陸軍第16師団(京都市伏見区)の留守部隊が、京都市域を担当する最大の部隊で、ここの防空隊(高射砲部隊)が担当したのだろうが、詳細は不明。市内の小学校や寺院に警備隊が分駐はしていたが、こちらは治安維持活動が主だったようだ。

 

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現存するコンクリート障壁

(庁舎正面玄関に向かって右側)

 

 

 

GoogleMapでみると中央部に固定された機銃座はない(ようにみえる)。

 

 

階段室内部から屋上に行く階段はないので、人員は外階段を使ったと思われるが、梯子の痕跡は見当たらず。

 

右側の階段室

鉄板で補強された痕跡あり

 

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撤去された方のコンクリート障壁

(庁舎正面玄関に向かって左側)

 

階段室はあるが、その上にあるはずのコンクリート障壁は撤去された(痕跡あり)

 

GoogleMapをみると、ここに螺旋状のコンクリート障壁があったのは間違いない(痕跡在り)

 

 

階段室に入り天井をみると、更にがっつり補強材が入っている。

こちら側は重さに耐えられなかった?

 

みるからに重そうだ。

防御用だから当然なんだけど。

 

★追記(2023.11.23)

BESANの歴史探訪というホームページで「京都市役所本庁舎屋上に残る高射機関砲座について」を紹介されています!

 

BESAN様が入手した資料によれば、市庁舎屋上防空陣地の工事着手は昭和19年3月28日。竣成は3月30日。たいへん濃い内容で勉強になります。ありがとうございました!

 

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京都市役所本庁舎

 

 

 

 

 

 

 

参考資料
戦争遺跡に平和を学ぶ京都の会「語りつぐ京都の戦争と平和」

 

 

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