秋水(ロケット局地戦闘機)③陸軍燃料庫①(正連寺地区)

 

正式名称「試製秋水」は陸軍、海軍、民間の三者の共同によって開発されたロケット局地戦闘機。

 

秋水

全長6.05m、全幅9.5m、全高2.7m

特呂2号(KR-10)ロケットエンジン、推力1,500kg

 

1回の飛行に消費する燃料

甲液1,149L・乙液536L(この膨大な燃料を3分で使い切る)

①甲液・乙液はそれぞれ調量装置に入れられた。

②甲液は12本のパイプに、乙液は6本のパイプに分割され、二重壁構造の燃焼室に入る仕組み。燃料室は冷却のために乙液の一部が外壁を循環する。

③パイプ先端に付けられた噴射機から、甲液・乙液が霧状になった燃料を燃焼室の噴射する。

④この燃焼室の中で両液が接触すると激しい化学反応を生じて爆発。

⑤高温高圧の燃焼ガスは球状になっている燃焼室の中でさらに圧力を高められ、ガスは出口を求めて一気にノズルから噴出する。

推力1,500kg

実用上昇高度は離陸から3分半で約12,000m(計算)

最大888km/h

 

甲液・乙液とも、異物混入時の爆発の危険性と有機物に対する強い腐食性があったため、陶器(耐酸炻器)が用いられた。

 

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呂号燃料庫(陸軍)

 

陸海軍は秋水を昭和20年3月に155機、同年9月に1,300機、昭和21年3月までに3,600機を実戦配備する計画でいた。1回の飛行に消費する燃料は甲液1,149L・乙液536L。月に1,900機余の秋水がフル装備で1回ずつ飛べる量の燃料、貯蔵する呂号陶器(呂号乙薬甲液製造装置)、最終貯蔵庫を製造をしなくてはならない。

 

陸軍は藤ヶ谷(柏市・鎌ヶ谷市)、成増(東京都)、谷田部(茨城県)、厚木(神奈川県)の4飛行場とともに、この秋水の基地に指定した。

 

陸軍柏飛行場では昭和20年4月、秋水開発と配備のための実験・訓練・研究が開始された。

 

花野井地区・大室地区、飛行場の東側に隣接する正連寺地区(こんぶくろ池自然博物公園)に秋水の燃料貯蔵庫が設けられることになり、陸軍航空本部第一作業隊が工事を開始した。

 

現在、貯蔵庫は施錠または封鎖され、自由に見ることは出来ない。

 

柏歴史クラブさんが不定期だが見学会を開催してくださっており、参加した。

 

 

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地下燃料貯蔵庫

正連寺地区(こんぶくろ池自然博物公園)地区

 

秋水燃料庫(2号基)

 

飛行場東側の隣接地に昭和19年(1944年)末から建設が開始された。戦後、その地域が柏ゴルフ倶楽部(1961~2001年)となるが、貯蔵施設がコンクリート製だったために、一部がコース小丘に埋められて破壊されず現在に至った。


2010年に柏歴史クラブが燃料庫5基を発見。公園内に保存されているのはそのうち3基。2号機のみ2023年初に公開予定とのこと。1号基は埋め戻し、3号基は本体なし。

飛行場隣接地では、飛行訓練のため急いで燃料庫を造る必要があり、昭和19年(1944年)末から、既製のヒューム管(下水道管)を利用・加工して建設された。ヒューム管の長さは約2メートルで、9〜10個つないだ燃料保管場所が、エル字の長い部分にあたります。そこには両側に棚があり、過酸化水素20リットルを入れたガラス瓶を並べて保管した。


ヒューム管先端部分のリング状の遺構は、円筒状の消火用貯水槽の底部だったと思われる。貯水槽とヒューム管は管でつながれ、過酸化水素の流出や火災の場合などに大量の水を流す仕組みだった。

 

 

 

おおおお!

 

 

柵で覆われて、間近ではみられないがよくわかる(・∀・)

 

 

 

 

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秋水燃料庫(1号基)

 

残念ながら発掘作業後、埋め戻してしまった。