愛勝布防空高角砲台
北海道厚岸郡厚岸町愛冠
竣工:1944年(昭和19年)6月以降
備砲:40口径3年式8糎高角砲(8センチ高角砲)×2門
砲座②:8センチ高角砲の砲座(手前)と地下弾薬庫(奥)
*
厚岸町が「愛とロマンの愛冠岬」とキャッチを付けた(*_*)
昭和19年頃、ここに大湊警備府厚岸防備隊の「愛勝布防空砲台」があった。
1952/10/01(昭27) USA M10-1-2-7(国土地理院)
40口径3年式8糎高角砲(8センチ高角砲)が2門、各々の砲座のすぐ脇に弾薬庫壕が付属している。森の中にコンクリート製構造物の基礎の残骸、芝の広場にトイレの遺構がある。
砲座①
円の奥が砲床、手前が地下弾薬庫
砲座②にあるような胸墻(土塁)は無い。
元々無かったのか、戦後に削られたのかは不明。
地下弾薬庫があるようには見えないが、
コンクリートと芝の割れ目から下を覗いてみる。
おおおおおおお!
6畳間程度の地下空間が広がっている。
潜入したいところだが、隙間が狭くて私には無理。
なおこちらの砲座は中心部に窪みがあるくらい。
戦後に改悪されたっぽい。
では砲座②に移動してみる
こんもりとした丘に砲座②があるのだ。
おお?(・∀・)
うっひゃっひゃっひゃ〜
砲座も綺麗にのこっている
40口径3年式8糎高角砲(8センチ高角砲)
隣接する地下弾薬庫②をみる
階段がある(・∀・)
では入壕します!(・∀・)
地下弾薬庫①と同じような造り
広さは6畳間程度。コンクリートが美しい!
砲座②の近くにはタコ壺?みたいな凹みがあり、塹壕らしきものもある。
特設見張所の場所はわからなかったが、ここ?
トイレの遺構は発見した。
大湊警備府厚岸防備隊の引渡目録をみると、地下式の弾薬庫、隧道式の倉庫もあるらしい。戦闘指揮所はコンクリートの平屋だったようだ。うむうむ。
*
なお今回行かなかったが、床譚防空砲台には45口径10式12糎高角砲が四門あったとのこと。
*
大湊警備府厚岸防備隊は、厚岸に2つの防空砲台や特設見張所、沼や浅瀬にも水上機基地を構築していたようだ。大黒島にも海面砲台と防備衛所に特設見張所を構築している。
*
根室半島から厚岸の防御陣地
根室半島を含む道東地区は、戦前より国防上の重要拠点と考えられていた(アリューシャン列島方面からの連合軍の侵攻)。1943年(昭和18年)年8月23日、北方軍(のちの陸軍第5方面軍)と同年8月に再編された海軍北東方面艦隊との協定により、北海道と千島列島における陸軍と海軍の分担が決まった
陸軍は道東南部地区(根室から十勝地区の太平洋沿岸)からの上陸と計根別平地の飛行場群の占領を警戒、北海道の主力部隊第7師団を帯広に移駐させた。1944年(昭和19年)年4月、道東〜道南の太平洋沿岸地域に半永久防御陣地を構築することを決めた。連合軍の上陸を水際陣地と塹壕陣地で止めることにした。これは地形的な制約もあり縦深陣地の構築が出来なかったため。
一方、日本海軍は根室市に根室第1飛行場(花咲飛行場)と根室第2飛行場(牧ノ内飛行場)を整備。昭和19年(1944年)6月10日に厚岸に大湊警備府厚岸防備隊を置き、水上機基地、防空砲台などを構築している。