玉島(高島)防空高角砲台②砲台

岡山県倉敷市玉島乙島

 

竣工:昭和20年(1945年)5月頃

備砲:98式10糎連装高角砲×2門

 

 

玉島砲台の東側(水溜公会堂)に砲台の説明板があり、火の見櫓の左横の小道(両側は墓地)を上っていくと三宝荒神宮に至る。社殿の左横の小道を登る(途中に井戸あり)と稜線の小道に合流する。右に行くと電探施設(電波探信儀)跡地、左に行くと高山山頂(標高59m)にある砲台、中央の谷を下り左折すると弾薬庫に出る。

 

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砲台

 

 

鉄塔を挟んで砲座①と砲座②があるが、この2座は造りが異なる。

 

砲座①

 

 

砲座内径は約10m、深さ約2m。

コンクリートの厚さは20〜30センチと薄い。

 

 

即応弾置き場が12か所あるが形状もサイズも奥行きも全て異なる。胸墻の厚みも薄め。急造なのだろう、造りが荒い。

 

 

 

 

深さ(奥行き)も高さも幅もバラバラな即応弾置き場

 

 

 

 

備砲は98式10糎連装高角砲。空母大鳳や秋月型駆逐艦に搭載されていた、細い長砲身の高角砲。日本本土で陸上用に設置されたのは32基64門。日本本土以外での配備は台湾、硫黄島など。

 

98式10cm高角砲

最大射程は19,500m/最大射高は 14,700m(射撃角度は45°)/最大射高における射程は約12,000m。 
 
B-29
最大速度576km/h、上昇限度9720m。
 
計算上では98式10cm高角砲はB-29を撃墜出来る性能を有している(・∀・)

 

(硫黄島:米軍撮影)

 

倉敷市による説明板では、砲座が3基、備砲が12.7糎高角砲となっているが、海軍の引き渡し書をみると備砲は98式10糎連装高角砲が2基。砲座が3基とは未完の1基があったのだろうか?

 

 

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砲座②

 

砲座直径は約10m、即応弾置き場が4ヶ所?

砲座①とは異なり、砲座の外壁はコンクリート製ではなく石積み(たぶん)。

 

 

 

砲座②もそれぞれの即応弾薬置き場の形状が異なる。

 

天板の崩落を抑えるためなのか、木柱がある(*_*)

 

 

砲座①②とも、造りが雑で荒い。

 

現在、首線には倉敷共同発電所が見える。

(写真左手前に飛行場があった)

 

 

 

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昭和18年(1943年)9月1日、海軍機専用製作所として三菱重工業(株)水島航空機製作所が設立。

 

昭和19年2月11日水島で生産された一式陸攻が離陸した。連合軍による空襲で廃墟となる1945年6月22日までに一式陸攻504機、紫電改21型7機(飛行可能3機)を完成していたらしい。敷地内には全長1,200mx幅85mのコンクリート敷の滑走路があった(テスト飛行用)。

 

三菱重工業(株)水島航空機製作所の防衛のために設置された海軍の防空高角砲台は4カ所?あり、他、機銃陣地が2ヶ所ある。

 

 

・中畝防空高角砲台(10年式12糎高角砲×4)

・王島山(防空高角砲台倉敷空隊内含、88式7糎野戰高射砲×6/八八式七糎野戰高射砲×1)

・東塚防空高角砲台(型式不明×5)

・連島防空高角砲台(型式不明×5)

・製作所内の機銃陣地(25粍連装機銃×6/25粍3連装機銃×3)

・亀島山機銃陣地(型式・門数不明)