北浜防空監視哨(聴音壕)

島根県出雲市十六町

 

出雲市北部の北浜地区の山塊に風力発電の新出雲ウィンドウファームがあるが、当地には十六氏の居城である高島城跡(室町時代)と北浜防空監視哨がある。

 

(風力発電は尾根にあり、ここに防空監視哨がある)

 

北浜防空監視哨では主に西から進入してくる敵機を、地元の尋常高等小学校の卒業者の中から、特に聴覚と視力の良い男女が選ばれた16ー18歳くらい学生が、三交代24時間体制で監視の任務に当たった。

 

 

北浜防空監視哨は半島の稜線上(標高212メートル)にある。1941年(昭和16年)に設置された。

 

 

聴音壕と塹壕が現存!

 

聴音壕はコンクリート製円筒で半地下構造になっている。外径3.7メートル、内径3メートル。深さは2.2メートル。

 

 

コンクリートの基礎に小さなコンクリートブロック(煉瓦?)を二重に積み上げて、音がより反響するようブロック壁とブロック壁の間に空間を作っている、内側と外側はモルタル仕上げ。

 

床面は雑草と土砂堆積でわかりにくいが、床面はコンクリート仕上げで、東西南北の4カ所に監視員用の腰掛けのブロックがある。

 

 

これとは別に聴音壕の屋根を支えるための柱の穴、排水溝もある。

 

敵機の飛行状況は電話にて地域の防空監視本部に連絡した。

 

 

藪化していてわかりにくい。

 

防空監視哨(聴音壕)は見晴らしが良い丘陵や山の山頂部にあり、ここで敵機襲来を察知する。具体的には人が聴音壕の内部に入り「耳で聴く」。

 

昭和16年(1941年)に防空監視隊令が公布、都道府県が防空計画を策定した。防空監視哨は地下式の一部コンクリート+煉瓦製モルタル塗りの聴音壕(集音壕)と詰所で構成されている。聴音壕は主に青年団や警防団が建設した。都道府県ごとに30~40ケ所は造られたようだ。

 

哨員は尋常高等小学校の卒業者の中から、特に聴覚と視力の良い男女が選ばれた。機種の判別は手引き書、音による機種の判別(戦闘機や爆撃機等の区別)は録音されたレコードで学んだ。哨員は慣れてくるとほぼ的中した、とのこと。

 

1班5人で3〜4交代制(24時間監視)の奉仕勤務に従事した(地域差あり)。4人が聴音壕に入り、接近する飛行機の敵味方/飛行機の数や種類/方向や距離や高度」を聞き分けた。壕内は様々な音が遮られ、飛行機の爆音が増幅されて聞こえやすかったようだ。

 

双眼鏡で目視した情報と合わせ、通信士が発見時刻と共に軍用電話で所轄の警察署に連絡。この情報は所轄から県警警防課から県庁内の監視隊本部を経由し、航空情報隊に伝達され、軍管区の防空作戦室に集約される。

 

防衛作戦室では参謀が敵機の状況を判断して、各方面軍から隷下防空部隊に撃墜の出動命令を下す一方で、放送隊が警戒警報または空襲警報等の伝達を行った。

 

なお、軍部の聴音機はマジ、優れもの

こちらは海軍の照聴所に設置された。

最大追聴距離15,000m/最大補聴距離10,000m

出典:工藤洋三『徳山要港防備図でたどる周南の戦争遺跡』P.28から抜粋

 

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北浜防空監視哨

島根県出雲市十六町

地図参照のこと