小巻沢林道橋(九九式重構桁鉄道橋)
北海道夕張市鹿島地区
日本陸軍が戦地における架橋のために設計した軍用組み立て式のトラス橋「九九式重構桁鉄道橋」。これが現存している話を聞いて行ってみた。
小巻沢林道橋は北炭夕張炭鉱地域、下夕張森林鉄道夕張岳線(鉄道)の第五号橋梁。
戦後、木材を搬出する貨物専用鉄道を敷設するが、極端な物資不足の中で注目されたのが、国内で放置されていた九九式重構桁鉄道橋(JKT)だった。
*※重構桁鉄道橋(JKT):Jは重い、Kは構桁(Truss)、Tは鉄道。
重構桁鉄道橋は、蒸気機関車に牽引された重加重の列車が通ることを想定して設計されている。九九式は1939年(昭和14年)に量産が開始された。
トラス(Truss)とは構造体骨組みの一種。九九式重構桁鉄道橋は全溶接された三角形の骨組みをピン(釘)のみで結合させる仕組みから、分解して運ぶことが出来た。
ピンは差し込むだけで溶接はしない。
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日本陸軍は中国、タイなどの河川にこの重構桁鉄道橋を架橋している。爆撃などで橋の一部が破壊されても、損傷箇所を容易に補修交換ができた。九九式重構桁鉄道橋は仮設橋としても大いに活躍した。
下夕張森林鉄道夕張岳線(鉄道)では、重構桁鉄道橋を並列に3本使って1つの橋にしている。小巻沢林道橋の全長は約50メートル、そのうち九九式重構桁鉄道橋部分は20メートルだ。
鋼製鈑桁(8メートル)×2連ー重構桁(20メートル)ー鋼製鈑桁(9メートル)という組み合わせ。
鋼製鈑橋桁の下流部の側面には「伊藤組鉄工部」の銘板がつけられている。
トラック輸送が本格化した1964年(昭和39年)、下夕張森林鉄道夕張岳線(鉄道)は廃止になり、以後しばらく林道として使われた。車が通れるよう橋梁の上に鉄道のレールをびっしりと敷き、その上に板を敷いた(板は腐食して殆ど無い)。
橋脚の下部は洗掘が進み、すでにレベルが保てなくなりつつある状態。
重構桁鉄道橋は多くがシューパロダムの建設によっても水没。現存するパンケホロカ右股林道の香取橋へは行くのが困難で断念。
小巻沢林道橋
苫小牧方面から夕張川を遡上、シューパロ湖をさらに北上。目印は無いが国道452号線から右側にみえる。
国道452号線から橋までは、背丈まであろう熊笹の藪漕ぎが必要(約100メートル)。
ここから橋に行ける
かつては道路だった・・
いや、車の通行はそもそも無理(T_T)