気とは何だろう?② | 鍼灸師 Shuhei Higashi 鍼灸師のブログ

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今回は前回に引き続き気についてまとめていきたいと思います。主に気の働きについてとなります。

 

〇気の働き

中医学の観点からはきは5つの働きを持つとされています。順に説明していきます。

 

1:気化作用

 体内で、精、気、血、津液の間で物質の代謝や相互に変化することをいいます。例えば、食べた食べ物が栄養の気と不要な物質となり、栄養の気は津液、血となり体を循環します。一方、不要な物質は膀胱や大腸から排泄されます。このように有形から無形、無形から有形に形を変える働きを持ちます。

 

2:温煦作用

 気は血に対して陽の働きを持ちます。身体を温める、冷えすぎないように一定に維持する、これは陽的な働きです。

 

3:固摂作用

 血や津液が外へ向かい漏れださないようにする働き。他にも臓腑を適切な場所へ留める働きもあります。温煦作用が弱まると、遺尿、不正出血、内臓下垂などの症状がみられます。

 

4:防御作用

 いわゆる抵抗力です。皮膚表面にある気は皮膚を保護し外邪の侵入を防ぐ働きがあります。また、進入した外邪を追い払うのも気の働きの一つです。

 

5:推動作用

 推動とは、何かを推して動かすという意味です。具体的には、血、津液など体の陰のもの、食べたものや水分感情などの精神面です。

 

 上記の働きは人間だけではありません。植物では、吸い上げた水や二酸化炭素を営養に気化し、冬には、気を蓄えるために落葉し温煦作用で耐え、春を待ちます。気としてのかたちを保つために固摂作用が必要であり、害虫などから身を護るために防御作用があります。根から吸い上げた水を葉まで行き渡らせるのに推動作用が必要です。

 すし職人はネタを数日寝かせます。そうすることで気の固摂作用が弱まり味が良くなるからです。栄養学的にはタンパク質が寝かせることでアミノ酸に分解され人ではうまみをより感じやすくなり、吸収効率も上がります。このように考えると、自分の陽気を増やしたいとき、寒い地域の野菜は中に陽気を多く蓄えますから温煦作用が強いので、意識して食べるとよいです。もちろんすべてがそうというわけではありませんから、傾向があるというぐらいで充分かと思います。

 

〇気の働き

 気の働き(流れ)は穏やかに、早すぎも遅すぎもせず、経絡を中心に全身くまなく流れることを基本とし、生命活動が維持されます。そして季節やその時の感情によって変化していきます。気が滞ったり、不足することによって病気が誘発されます。気が全身をくまなく休みなく動く形式のことを昇・降・出・入といいます。脾の昇清作用(昇)、胃の降濁作用(降)、肺の吸気(入)、呼気(出)などです。

 

〇気の種類

 極端な話全てのものに気は存在します。それが性質を指すのか機能を指すのか状況によって使う用語が変化します。そのため、気の中にも様々な種類があります。代表的なものをまとめます。

 

・原気、元気、真気

先天の気と後天の気が合わさることでできる、最も基本的な気です。先天の気は父母から、後天の気は飲食物から作られるので、脾胃と深い関係があります。この二つが腎蔵で蓄えられ、全身に向かって流れます。

・宗気

心肺機能(呼吸や発声、心臓の拍動)に関係する。水穀の精微と天空の清気があわさって胸中に蓄えられ、血を動かし、呼吸や発声、身体を動かす。

・営気

水穀の精微から作られ、栄養分の豊富な気です。血と一緒に脈中を流れ、全ての臓腑や組織を栄養します。衛気と比較すると陰的要素が強く、営血や営陰などとも呼ばれます。営気にもう一つ働きがあり、営気から血に気化されます。

・衛気

衛気と同じく水穀の精微から作られ、防御作用を担います。脈外を運行し、外邪の侵入を防ぎ、汗腺を開閉して発汗したり体を温めたりして、体温の調節をします。風邪をひいたとき身体が強張ったり肩こりを感じたりするのは、衛気の働きにより皮膚を閉ざし、外邪の侵入を阻むためです。そして体温をあげて外邪と戦ったり、発汗によって外に追い出したりします。