落ち込む受験生が立ち直る親の会話術!心療内科医の孤独症候群の対策【受験専門の心療内科】
今日のテーマは、落ち込んでしまって勉強の意欲を失っている受験生のメンタルを立て直し、志望校への合格に導くために、親は何をすべきなのか、その対策についてです。
心療内科のカウンセリングを通し、受験生の落ち込みが長く続く原因が「孤独症候群」であることがわかってきました。
その対策の決め手になるのが親子の会話なのです。
今どきの受験生は、メンタルがとてもデリケートで、ちょっとしたことでも傷つきやすく、それをきっかけに勉強の意欲を失ってしまいがちです。
ましてや、入試に失敗するなどして、心の傷トラウマを抱え込むと、一気に無気力状態に陥ります。
さらに受験生が心の奥底で孤独感を感じていると、落ち込みや無気力状態が長期にわたって回復しないということがわかってきたのです。
これが、「孤独症候群」です。
志望校への合格を勝ち取らせてあげるために、その対策として必要になってくるのが親の声掛けによる精神面への支えです。
ただし、そのやり方が間違っていれば、逆に子どもにストレスを与えてしまい、メンタル面の症状が悪化してしまうというケースも少なくありません。
落ち込んで意欲を失ってしまった受験生に、親は何をすべきなのか?
メンタル医学との脳医学に基づいた観点からは、親のサポートはどうあるべきなのか?
受験生を専門に診療している心療内科医としての経験と知識をもとに、わかりやすく解説します。
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受験生のメンタルが崩壊する「孤独症候群」
落ち込んだ受験生のメンタルを親が早期に回復させてあげるには、まず、受験生のメンタルが、脳内でどのようなメカニズムで強くふさぎ込んでしまうのか、その本質をメンタル医学や脳医学の観点から理解しておくことが必要です。
親御様に頭に入れておいて頂きたいのは、受験生のメンタルが崩壊してしまう大きな要因が、実は孤独にあるということです。
ご自分の感覚としては、そんな実感は全くしない・・・という受験生のほうが多数派だと思います。
しかし、メンタル医学の研究で、本人が気付かぬうちに、孤独がストレス耐性(ストレスを乗り越える精神力)を低下させる大きな要因となっていることが解明されてきたのです。
実際、心療内科医として長期間にわたって落ち込みや無気力から立ち直ることができない受験生のカウンセリングを行っていると、心の奥底に深い孤独感を抱え込んでいることがわかります。
それが精神力の回復を妨げる大きな要因となっているのです。
これが「孤独症候群」です。
様々なトラブルに見舞われて落ち込んでしまった人を分析した研究では、孤独を感じた場合に、落ち込む感情が長引き、そのまま無気力に陥ってしまうという傾向があることが明らかになっています。
仮に不幸な出来事があったとしても、どなたも一時的には落ち込むものの、同じ立場の仲間がいて、一緒に困難に立ち向かうというようなスキームであれば、落ち込んた感情は、比較的早期に回復し、意欲も持続しやすいというデータが出ています。
一方で、不幸な出来事は自分だけに生じ、それを乗り越えるための努力を自分一人で行わなければならないような状況では、落ち込んだ感情が長く続き、また早い段階で頑張るための心のエネルギーが枯渇してしまい、無気力感に襲われてしまうわけです。
この研究結果を受験に当てはめれば、学校でも塾でも、周囲のクラスメイトは、すべてライバルであり、極めてメンタル面が脆弱になるスキームに受験がすっぽり収まっているということになるわけです。
受験生か悩みを抱えた場合に、落ち込んだ感情が長く続き、そのまま無気力感に襲われてしまいやすいというのは、受験が抱える構造上の問題だといえるのです。
脳の扁桃体は孤独感で暴走する!
では、受験生の脳は孤独を感じた時に、具体的には、どのようにな影響を受けるのでしょうか?
人間を含め、集団て生活を行う哺乳類は、脳の中で不安や不満を生み出す扁桃体が、周囲の仲間との間で連動して働く性質を持っています。
このため、孤独感を感じると、扁桃体はバランスの良い柔軟な働きを維持することができなくなります。
その結果、不満や不安といったネガティブな感情を極端に暴走させるということが起こってしまうのです。
このことは、受験生の親にとって、とても重要です。
大学受験の年齢になると、受験生は落ち込んだ時に、親に対して、「ほっといてくれ!」、「うるさい!」と言った暴言を吐くということがよくあります。
これは、扁桃体の暴走によって不満の感情が高まることによって起こるわけです。
その言葉をそのまま受け取って、放っておく親御様も多いのですが、これはメンタル医学の観点では、正しい対策とは言えません。
なぜなら、扁桃体の暴走を招いた孤独感が、より高まってしまうからです。
受験生のメンタルを支えるモデルとなる研究!
では、受験生のメンタルを回復させ、志望校に合格させるには、親は、どのようなことをしてあげれば良いのでしょうか。
参考になるのは、スポーツアスリートを対象にした研究です。
スポーツ選手は、試合でピンチに陥ったときのメンタルがタフなことが、一流になるための必須の条件です。
これは、受験生が置かれている環境と、精神面がとても良く似ています。
だから、受験生のメンタルをサポートする上で、スポーツアスリートがピンチに陥ったときのメンタルや脳機能を分析した研究は、とても役立つわけです。
分析が行われた結果、普段から自分一人で問題を克服している人は、緊張して筋肉のコントロール能力が低下しやすい・・・。
その一方で、監督やコーチなど自分以外の人と精神的に一体化することで問題に立ち向かっている人は、緊張を集中力に転換し、肉体的にも高いパフォーマンスを発揮しやすい・・・。
こうした格差があることがわかりました。
受験生のメンタルについては、スポーツアスリートの監督やコーチの役割を担うことができるのは、他ならぬ親御様です。
そこで、こうした研究結果を元に、私は受験を親子の団体戦だとイメージして、孤独感を払拭するということを推奨しています。
まず、親がやるべきこととは?
ただし、誤解してほしくないのですが、親が勉強の中身に介入してほしいという意味ではありません。
「あの勉強しろ!」、「この勉強をしろ!」と、親が口うるさく言うと、親は受験生の心を支える存在ではなく、受験生にストレスを与える存在となってしまいます。
そうすると、受験生の脳の扁桃体は、さらに暴走を加速することになってしまいます。
勉強の中身には口を出さない・・・。
しかし、心のキャッチボールはしっかりと行う・・・。
これがとても重要です。
まずは、食事の時間などを中心に、勉強以外のことを家族で話すことにより、受験生の心の中に膨らんでいる孤独感の鎧を少しずつ脱がしていくということから始めてください。
受験生との会話で親が心がけるべきポイントは、以下です。
1.親は結果を急がずに、少しずつ話しかけること。
2.大切な話は、食事を始めてから20分くらいが経過すると血糖値が上がり始めるので、その頃に切り出すこと。
3.扁桃体が暴走気味になっている脳は、視線を交わすことに負担を感じるので、視線を交わす時間が長くならないように配慮して会話すること。
4.メンタルが元気だった頃を思い出すと、当時の脳の状態に戻りやすいので、こうした話題を積極的に振り向けること。
以上を参考にして受験生に語りかけてください。
扁桃体の暴走を早期に回復させるには?
ただし、症状が重い場合は、既に「受験うつ」に罹患しているか、あるいはその一歩手前の状態に陥ってる可能性があります。
この場合は、磁気のパルスを脳に当てて扁桃体の暴走を止め、それによって脳や心の状態を回復させるといった最新の脳医学に基づく治療が、志望校への合格を勝ち取るためにとても有効です。
目を通していただければ嬉しいです。
✓ ヤル気・イライラ・集中力・記憶力・思考力の5つに関して、受験生の遺伝子のバリエーションに起因する脳の働きの格差が大きく、これを知ることが志望校への合格に大きな力を与えてくれます!
✓ 受験に特化した光トポグラフィー検査や各種の認知機能検査のデータを解析することで、受験生の脳がどのような働き方の癖を持っているのか科学的に解明できます!
✓ 根性で頑張るといった前近代的な方法で受験に取り組むと、逆に脳に対する悪影響が生じ、成績の低迷をもたらします!
✓ 遺伝子のバリエーションを無視し、他人が成功した方法を鵜呑みにして真似ると、脳に負担を与えることにより、受験うつなどに陥る場合が少なくありません!
✓ 5つに特別診療で、こうした問題を一気に取り除き、憧れの志望校への合格を手繰り寄せます!
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