連休の後に勉強のヤル気が出ない! 自宅でできる3つの対策とは?【受験専門の心療内科】
アメリカの「クリスマス鬱」がゴールデンウイーク明けに起こる!
学校の連休や休暇の後に学習意欲が低下する現象は、アメリカではクリスマス鬱として知られています。
アメリカでは、最も楽しい連休がクリスマス休暇ですが、終わった後に憂鬱になり、勉強意欲が低下するということが、昔から頻発しています。
これが「クリスマス鬱」と呼ばれている現象です。
クリスマス鬱は、大人にも起こる現象ですが 、これによって子供が勉強に対する意欲を失ってしまうというのも 、よく生じている現象なのです。
そのため、アメリカでは原因についての分析や、克服するための対策についても研究が進んでいるのです。
日本の中学生や高校生においても、ゴールデンウイーク明けに学習意欲の低下が見られますが、クリスマス鬱と共通点が多く、その対策も、クリスマス鬱に関するメンタル医学の研究結果がとても参考になります。
本記事では、クリスマス鬱に関する研究をもとに、ゴールデンウイーク明けにおける学習意欲低下の原因と対策について解説します。
まずは、サーカディアンリズムの再建が必要!
ゴールデンウイーク明けに勉強のやる気の低下が起こる最大の原因は、休息からの切り替えがうまくいかないことです。
ゴールデンウイーク明けには、リラックスした状態から学校生活に戻ることが求められますが、この切り替えを困難にしている大きな要因があります。
それは、ゴールデンウイーク中に、生活のリズムが乱れてしまっていることなのです。
ゴールデンウイーク中は、どうしても朝寝坊 夜更かしをしてしまい 、適切な睡眠-覚醒リズムである「サーカディアンリズム」が乱れがちです。
サーカディアンリズムとは、体内時計によって制御される24時間周期のリズムのことです。
このリズムが乱れると、勉強の意欲を維持する能力が脳内で大幅に低下することが、 研究データとして実証されています。
ゴールデンウイーク明けには、サーカディアンリズムを調整することが、勉強にとっても最も重要です。
朝は、かなり無理をしてでも早めに起床し、夜はダラダラとスマホを見るのをやめて、十分な睡眠時間を確保することで、体内時計を整えることができます。
また、朝に明るい光を浴びることや、就寝前にスクリーンの使用を控えることも助けになります。
これによってサーカディアンリズムを整えることができ、集中力や学習効率を向上させる効果が出るのです。
勉強する場所と休憩をとる場所を完全に分離する!
ゴールデンウィーク明けに勉強の意欲がわかない もう一つの理由は、勉強中 はしっかり集中する、 休憩中は心の底から リラックスすると言った、 オンとオフの切り替えがうまくできなくなってしまっているということです。
その対策のために、是非とも実践していただきたいのは、勉強する場所と勉強の合間に休憩する場所を完全に分離するということです。
多くの中学生や高校生が勉強部屋で勉強し、 休憩も自分の部屋で行うという場合が多いようです。
これが勉強の集中力を低下させ、さらに短時間に休息を取ることを困難にさせている大きな要因なのです。
人間の脳は 、今は勉強、 今は休憩といった自分の意志だけで脳内を完全にコントロールできるわけではありません。
実は、無意識のうちに自分が存在している場所の影響を受けているのです。
例えば 、学校の授業中では自宅よりははるかに 長時間にわたって 集中力が持続できるものです。
それは 学校と教室が勉強する場所だという強いメッセージを脳に与えているからです。
これと同じように、自宅の勉強部屋は勉強する場所だというメッセージを与えてくれればいいのですが、自分の勉強部屋はスマホを見たり ゲームをしたり といった 休憩する場所としても機能しています。
その場合は、勉強する場所だというメッセージを脳に与えてくれません。
また、同じ理由で、効率の良い休憩を取ることも妨げているわけです。
勉強中は勉強に集中し、休憩中は効率よく 心の底から リラックス効果を得るためには、勉強する場所と休憩を取る場所を完全に分離するというのが脳にとっての正しい対処 なのです。
脳の意欲の中枢をよみがえらせる運動の効果!
ゴールデンウイーク明けの勉強の意欲の低下を改善するために、次に実践していただきたいのは適度な運動です。
適度な運動は脳内で意欲を生み出すのに大きな役割を果たしている側坐核を刺激します。
また、体を動かすことで血液循環が促進され、酸素や栄養素が脳に行き渡り、この面からも学習効果を高めることができます。
さらに、運動によってストレスを軽減し、リラックス状態で勉強を継続する効果も出ます。
それから、運動はサーカディアンリズムの調整にも役立ちますので、二重三重にメリットがあります。
具体的には、一日のスタートを切る朝に有酸素運動を行い、脳に意欲を高める刺激を与えましょう。
ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、全身の筋肉を使って行われる運動です。
これらの運動は心肺機能を改善し、代謝を活性化させます。
朝の時間帯に行うことで、目覚めを促し、エネルギーをチャージする効果があります。
また、勉強中は、30分に一度のタイミングでストレッチを行いましょう。
デスクワークや長時間の勉強によって凝り固まった筋肉をほぐすことで、脳内で意欲を生み出す中枢が働きやすくなります。
特に肩や首、背中のストレッチは姿勢改善を通して、脳内でストレス耐性を高め、少々つらい苦手科目の勉強でも、しっかり集中力を維持できます。
もちろん、体の疲労を軽減し、リフレッシュする効果もあります。
ゴールデンウイーク明けに頻発する雑念の対策!
ゴールデンウイーク明けには、勉強中に、勉強とは全く関係のない雑念がわいてきて、勉強の集中力が低下してしまうということが頻発します。
雑念が病的に増える症状を「雑念症( Morbid Fear of Desultory Ideas)」といいますが、一時的に脳がこれと同じ状態になるというのが、ゴールデンウイーク明けに生じやすいのです。
こちらの対策については、以下の解説記事をお読みください。
Morbid Fear of Desultory Ideas
このページの要点は?
✓ 雑念症( Morbid Fear of Desultory Ideas)とは、頭の中で余計な雑念にとらわれ、集中力を高められない心の病です。!
✓ 脳が「受験うつ」の一歩手前の状態になっていたり、このままでは入試に落ちるかもしれないという恐怖感が強いと、雑念を払おうと思えば思うほど逆に雑念が膨張します!
✓ 騒音や振動など身体の外側から刺激を受けて雑念が生じる「外的雑念」と、自分の脳の中だけで雑念が生じる「内的雑念」と二種類があります。
✓ 普段の勉強中に雑念で集中力が低下する癖がついてしまうと、緊張感の高まる入試の本番で雑念が暴走し、解答が不可能になる場合もあります。
✓ 脳科学の研究により、簡単な方法で雑念をなくすことが可能です。具体的な方法をご紹介します。
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